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LNJ Logo アリの一言〜「3・1朝鮮独立運動」から100年、いま日本人が学ぶべきもの
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「3・1朝鮮独立運動」から100年、いま日本人が学ぶべきもの

2019年02月28日 | 朝鮮と日本

     

 あすは朝鮮民衆が日本の植民地支配に抗して決起した「3・1朝鮮独立運動」から100年です。朝鮮半島が新たな情勢を迎えようとしているいま、そして安倍政権が沖縄(琉球)の意思を踏みにじり、また在日朝鮮人への差別政策(高校無償化からの排除など)を続けているいま、「3・1運動」から私たち日本人がくみとるべき歴史的教訓はきわめて大きいものがあります。

  1910年、武力を背景に朝鮮を「併合」した帝国日本は、天皇直属の総督が三権をすべて掌握する独裁者となり、憲兵(武断)政治で朝鮮人民を徹底的に弾圧しました。また、「土地調査事業」(1910〜18)、「会社令」(1910)などで朝鮮の土地、産業を強奪しました。
 こうした日本の植民地支配に抗して民衆が蜂起したのが「3・1運動」です。(写真左は当時のようす。中は「独立宣言」を起草した人たちの像がある「3・1公園」、右は総督府跡=いずれもハンギョレ新聞電子版より)

  「1919年3月1日から始まり、およそ1年もの間朝鮮全土をおおった3・1運動は、ひとりの英雄的な指導者によって象徴されるような質のものではない。多くの無名の人々の、もちこたえてきた独立への意志が、ひとつに合流した民衆運動であった」(梶村秀樹著『朝鮮史』講談社現代新書)

  「日本は独立を願う朝鮮民衆の闘いを鎮圧するため憲兵、警察、軍隊など総動員し、全国各地で流血的な虐殺を強行した。日本による公式集計によっても、死者7500名、負傷者1万6000名、検挙者4万6000名を数える。失敗に終わったとはいえ、3・1人民蜂起は民族史上において特筆されるべき輝かしい愛国闘争であり、以後、朝鮮における民族解放運動の歴史的な転換点となった」(金昌宣著『加害と被害の論理』朝鮮青年社)

  運動の出発点であり象徴になったのが、33人の民族代表によって作成された「独立宣言」でした。

  「3・1独立宣言」の重要な特徴は、それが「決して日本の植民地支配に対する糾弾の宣言ではなく、日本と共にアジアの平和のために努力しようではないかという呼びかけである」(中塚明・奈良女子大名誉教授、2月8日都内の講演で。2月12日付朝鮮新報)ことです。

  <日本は、朝鮮との開国の条約(江華島条約)を丙子年(1876年)に結び、その後も様々な条約を結んだが、そこに書かれた約束を破ってきた。しかし、そのことをわたしたちは、いま非難しようとは思わない…わたしたちは、彼らが、わたしたちの作り上げてきた社会の基礎とこれまで受け継いできた民族の大切な歴史や文化の財産とを、馬鹿にして見下しているからといって、そのことを責めようとはしない。わたしたちは、自分たち自身を立派で確かな存在にしていこうとしていることに忙しいのであって、ほかの人をあれこれ恨む暇はない。…いま、わたしたちが行わなければならないのは、よりよい自分を作り上げていくことだけである。(中略)

 いま、わが朝鮮を独立させることは、朝鮮人が当然得られるはずの繁栄を得るというだけでなく、行うべきでない政治を行い、道義を見失った日本を正しい道に連れ戻して、東アジアをささえるための役割を果たさせようということであり、同時に、そのことによって中国が感じている不安や恐怖をなくさせようするためでもある。つまり、朝鮮の独立はつまらない感情から求めているわけではないのである。>(「3・1独立宣言」より。「3・1独立運動100周年キャンペーン実行委員会」が朴慶植『三・一独立運動』平凡社などを参考に訳したもの)

  「3・1宣言」のこうした民族自決思想、国際的視点は、ロシア革命(1917年)やウィルソン米大統領の民族自決宣言(1918年)の影響を受けたものと言われており、今日の朝鮮人民運動に引き継がれています。

  私が「宣言」を読んでとりわけ感銘をうけたのは、次の個所です。

  <ああ、いま目の前には、新たな世界が開かれようとしている。武力をもって人びとを押さえつける時代はもう終わりである。これまでの歴史のなかで、絶えることなしにずっと、磨かれ、大切に育てられてきた、人間を大切にする精神は、まさに新しい文明の希望の光として、人類の歴史を照らすことになる。新しい春が世界にめぐってきたのであり、すべてのものがよみがえるのである。>(同)

  これは日本の植民地支配に対する非暴力の抵抗宣言であるだけでなく、一切の武力・軍事力による抑圧・支配の拒絶であり、「人間を大切にする精神」でこそ「新しい文明・人類の歴史」はつくられるという、崇高な思想・理念です。

  それから100年。核兵器と軍事同盟による支配が世界を覆っているいま、そして日米軍事同盟(安保条約)によって沖縄が軍事植民地化され、自衛隊が米軍との従属的一体化を強めているいま、わたしたちは、日本の朝鮮植民地支配の加害責任を胸に刻むとともに、「3・1宣言」のこうした思想・理念に学び、その実現へ向かって努力する歴史的責任があるのではないでしょうか。



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