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LNJ Logo 「在位三十年記念式典」を前に行う彼の言動の検証
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情報提供 : 高井弘之

みなさんへ

高井です。 来たる2月24日に「明仁天皇在位三十年記念式典」が開かれます。政府によれば、「国 民こぞってこれを祝うため」だそうです。(「祝意の強制」)私には、そんなものを祝う いわれもつもりもありませんが、せっかくですから、この機会に、「護憲派」天皇として 広く評価される彼の言動の実態を、最近書いた拙著を要約・抜粋する形で、検証してみた いと思います。何度かにわたって、お騒がせします。読んでいただければ幸いです。 【「在位三十年記念式典」を前に行う彼の言動の検証―その1―】   海外派兵体制に協力する明仁天皇 「護憲派―平和主義者」と評価される明仁天皇は、憲法に完全に反する、戦後日本の自衛 隊―日本軍の海外派兵に重要な貢献をし続けている。彼は「天皇の地位」に就いてから、 昭和天皇のそれを継承して、自衛隊高級幹部が合同しての拝謁を受け続けていたが、自衛 隊が海外派兵を始めてからは、その直後から、派兵されて帰国した自衛隊員に「接見」し 、彼らに対する「ねぎらい」の言葉をかけている。   1992年、憲法違反であるとの反対意見からその成立が容易でなかった国連平和維持活 動(PKO)に自衛隊を派遣するための法律が成立し、国際平和協力隊が発足した。その 直後の1993年以降、天皇は何度も「接見」してその活動の報告を受け、「この任務が 滞りなく行われたことは意義深いことでした」(2011年10月18日、ハイチ・ゴラ ン高原・スーダン等々に派遣されていた隊員124名の拝謁を受けたときの言葉)などと ねぎらっている。   PKOだけではない。イラクやアフガニスタンへの明白な侵略戦争に参戦した自衛隊員に 対しても、天皇は接見し、「ねぎらい」の言葉をかけている。以下は、2006年12月 14日に、帰国した陸・海・空自衛隊員180人と「接見」したときの新聞記事である。   様々な階級の隊員が制服姿で整列する中、天皇陛下が「国際的な協力に参加し、力を尽く してこられたことを誠にご苦労に思います」とねぎらった。両陛下は隊員らと歓談、一人 ひとりに歩み寄っては「本当にご苦労さまでした」と声をかけていた(『朝日新聞』20 06年12月14日夕刊)   上のPKOやイラク・アフガニスタンへの派兵は、いずれも、完全な憲法違反であるそれ を形式上「合法化」するための法律を、違憲だとする野党や多くの市民・国民が反対する 中、与党が強行採決で「成立」させて行われたものである。「護憲派」と言われる明仁天 皇は、上記のような形・経緯で成立させられた違憲の法律による違憲の派兵に対して、上 のような「ねぎらい」、評価する行為を行い続けているのである。   これは、自衛隊―日本軍の海外派兵とそこでの行為を「よくやった」と評価・賛美・激励 する行為である。天皇自身が政府の違憲行為を評価していることを意味するこの行為は、 政府の違憲行為に対する国民の反発を和らげ、さらに支持を広げるはたらきをするだろう 。 また、この天皇の行為は、海外派兵任務に対する自衛隊員の「士気」を高めるはたらきを する。天皇が、これら海外派兵任務を遂行した隊員を評価し、ねぎらう行為は、他の隊員 たちの「やる気・やりがい」をも起こし、それは、「天皇陛下に褒めてもらえること」な のだと、「後に続く者たち」を生み出すはたらきもするだろう。   これは、「天皇―国家」が行う侵略戦争遂行任務に命を捧げるという、「天皇―国家」へ の貢献行為を褒め称えること(顕彰・英霊化・天皇の参拝)によって「後に続く兵士」を 生み出した、「兵士再生産装置」としての靖国の機能と同質のものだと言えるだろう。   明仁天皇は、あるいは、彼を「継承する」新天皇は、果たして、安倍政権が違法な手続き で成立させた違憲の「戦争法」による海外派兵隊員に対し、上と違った対応をするだろう か。本書でここまで書いて来た天皇の「実態」を踏まえれば、それは、幻想というしかな いだろう。    (拙著『民主主義にとって象徴天皇制とは何か―天皇制大讃美を目の前にして―』より抜 粋)

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