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「ピープル to ピープル」で行こう〜日本の市民団体がソウル市長と面談

    白石孝 「希望連帯」代表

*左から著者・ソウル市長・瀬戸大作「希望連帯」事務局長(撮影=片山かおる)

 8月21日午前8時30分から9時40分、ソウル市庁舎市長室で、パク・ウォンスンソウル市長と私たち「日韓市民交流を進める希望連帯」訪韓メンバー13人が意見交換を行った。まず、それぞれがコメントを読み上げて交換、ここまでは報道各社への公開で、その後は率直な意見交換を行った。

 この時期になぜソウル市長との面談が実現出来たのか。市長がこう語ったことからその意図を理解できた。「韓国社会は様々な困難を乗り越えてきた、そしてキャンドルを経て成熟した。当初の『反日』から、今は安倍政権とその経済政策に怒りを集中し、『反日本人』とは、明確に区別している。この時期に日本の心ある市民と交流したことを知れば、さらに韓国市民の理解は深まるだろう。ローカル to ローカル、ピープル to ピープルだ」。

 その第一歩に私たちが選ばれたのは偶然か必然か、ただこの数年、継続してソウル市政をフォローし、日本では改革・革新市政と市民民主主義の紹介(出版)したことが信頼のベースにあったと感じた。なお、当日の取材だが、韓国メディアはほぼすべて来たが(写真下)、日本は北海道新聞1社のみ、これには声も出なかった。

 この訪問は、7月上旬に市長から秘書室長を通して、「最悪の韓日関係に憂慮している。それに対して市民レベルでの交流を進めることを双方で追求したい」というお声かけがあり、8月に韓国での反貧困、社会的連帯経済、ムン・ジェイン政権の労働政策に関する訪問調査の日程中で、お会いしようとしていたのが発端だ。

 8月2日の安倍政権の閣議決定で事態が激変、当初表敬訪問を予定していた「ソウル市広津区」の区長からはキャンセルの連絡が届き、ソウル市長との日程もキャンセルされるのではないかと心配していたが、数日前には予定通りという連絡を受けた。

 本文にも書いたが、多くの韓国自治体が日本との交流を中断し、不買運動などにも積極的に関与している状況にあって、ソウル市長があえて日本からの市民グループ訪問を受け入れた意味は大きい。

 韓国社会は「キャンドルを経て成熟してきた」という市長の言葉は重要だ。一方の日本はむしろ「未熟」になりつつある。安倍政権の対応然り、マスメディア報道然り、それをそのまま受け入れる日本世論、今や日本は世界から大きく取り残されている。

*追記:韓国メディアは21日中に20社以上が写真付きで詳細な報道を配信している。ソウル市も5分に編集したユーチューブ動画を配信した。


朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長のコメント

「目が覚めている韓日市民が前に出て平和の新しい歴史を書くべきです」

 白石孝代表をはじめとする希望連帯会員の皆さんにお会いしてうれしいです。

 今まで、韓国と日本の良心的な市民たちと両国の健康な市民社会は人間の尊厳と歴史の正義という人類の普遍的価値を尊重し、それを守ろうとする共同の行動をしてきました。

 日本の良心的な市民社会は、強制徴用者と慰安婦問題、歴史教科書歪曲など韓日間の過去の問題に深く共感し、解決のために共同して下さいました。私もやはり市民運動家の時期に日本の市民社会と緊密に協力して過去の問題について共に悩んだ経験があります。

 今まで過去の歴史を勇気をもって直視して被害者らと手を取り合って下さった日本の市民たちと市民社会にもう一度感謝申し上げます。

 広場の偉大な民主主義を作ってきた大韓民国の市民たちと市民社会も今や成熟した市民意識を示しています。安倍政府の過去の歴史否定、不当なホワイトリスト排除に反対してその手段として強力な不買運動を行いながらもそれが日本人に対する反対と敵対でなく、安倍政権とその不当な経済報復措置、そしてこの措置の背景になっている軍国主義的思考方式と一方主義※がターゲットだという点を明確にしています。
(訳注)「一方主義」=どちらか一方に偏って自身が主張する方向だけで行動する傾向や態度

 安倍政府の不当な経済報復措置は、長い時間、多くの危機と葛藤にもかかわらず、平和的かつ共生的に発展してきた韓日関係を凍りつかせ、一般的に確立された自由貿易の国際的秩序を打ち倒そうとするものです。

 そのような意味で韓日関係を回復して新しい友好を構築するために反日、反韓のフレームに閉じ込められないという白石孝希望連帯代表の提案を積極的に支持します。

 大韓民国と日本両国は最も近い隣国です。
 大韓民国の諺に雨が降った後に土地がより一層固くなるという言葉があります。今回の交流を契機に、友情と平和が支配する新しい韓日関係の基礎が堅固になることを期待します。

 国家的利益を越えて人類普遍的な価値がより一層堅固になり、歴史の正義を正しく確立する出発点になることを希望します。いまや私たちは歪曲と葛藤の歴史を書いて後戻りする現実を「平和」と「未来」に転回しなければなりません。

 そして新しい時代の歴史を書くことができる最も強力な力は市民から出てくると信じます。政治と政権は有限ですが、市民と国民は永遠であるからです。目が覚めている両国市民が未来に進むための力強い連帯に進んで行きましょう。
 私もすべての力を尽くして協力します。(仮訳:脇田滋龍谷大学名誉教授)

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2019年8月21日

朴元淳ソウル市長表敬訪問に際して
日韓市民交流を進める「希望連帯」からのアピール

 日韓市民交流を進める「希望連帯」 代表 白石孝

 私たち希望連帯は、朴元淳ソウル市長が進める格差是正、普遍主義、社会的連帯経済など市民社会を根本的に変革の試みに共感し、継続的にソウル市を調査訪問してきました。7年にわたって調査報告を行い、ソウル市の改革・革新的な取り組みに学び、日本の政治と地域を変える力にしようと活動しています。

 安倍政権は、日本国内にある嫌韓意識を煽り立て、韓国の保守反動勢力と連動して文在寅政権攻撃をしています。「内憂を外患」として国内問題から目をそらそうとする卑劣な政策ですが、残念なことに日本国内では一定の効果を上げています。しかし、韓国市民は安倍政権の意図を見抜き、「反日」に染まらず「反安倍」を明確に掲げ反撃しています。むしろ今求められているのは日本市民社会が安倍政権の言動を正し、日韓連帯運動を盛り上げることです。まさに日本の市民運動の真価が問われています。

 日本政府は「信頼関係が著しく損なわれた」として8月2日、「ホワイト国リスト」から韓国を除外する閣議決定を行ったことはWTO規約など国際法に違反するばかりでなく、日韓関係を根底から破壊しようとする一方的で卑劣な行為です。私たちは日韓市民連帯の立場から、8月8日、他8団体に呼びかけ共同記者会見を行い、日本政府に抗議のアピールをしました。

 朴元淳市長は、3月3日「政府が誤った時に解決できるのは両国の市民運動」と語っています。私たちはこの言葉を受け、最悪という日韓の政府関係を修復してさらなる友好を構築するには、今こそ日韓の市民の交流と連帯しかないと確信してアピールします。

1 現在の日韓問題の本質は、安倍政権による一方的で卑劣な文在寅政権への攻撃です。私たちは「反日・反韓」に染まることなく、「反安倍」で団結して反撃します。1910年日韓併合からの侵略の歴史を正当に認識し、日韓請求権協定は日本からの恩恵だとか、韓国大法院判決は協定を無視しているという誤った歴史認識を日本社会から払拭します。新自由主義政策の下、日韓ともに格差が拡大し、貧困が深刻化しました。それに対して韓国では民主の精神であるキャンドル革命によって保守政権を打倒しました。キャンドル精神によって誕生した文在寅政権は、対極にある安倍政権から攻撃を受けています。反安倍でまとまり、日韓市民の交流と連帯で友好関係をさらに強めていきます。

2 日本においてはマスメディアが余りにも偏向し、安倍政権に忖度、迎合して事実を歪曲した報道が垂れ流され、世論をミスリードしています。私たちは、心あるメディア関係者や市民による共同作業で、報道調査活動(ファクトチェック運動)を行います。その活動を通して、誤った方向に導かれている日本世論に正当な歴史認識に基づいた事実を提供します。


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