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〔解説〕レイバーノーツ6月号では、5月8日に配車大手企業ウーバー社が株式上場されるのに抗議する全米12都市でのストライキなどの抗議行動を報道している。ここではロサンゼルスとニューヨークでのストライキを中心に翻訳し、シカゴとベイエリアは抄訳した。(レイバーネット日本国際部 山崎精一) *毎月1日前後に「レイバー・ノーツ」誌の最新記事を紹介します。

ウーバー株式上場に運転手がストライキ

   ジョー・デマニュエルホール

 ウーバー社の株が上場された5月8日に世界中のライドシェア運転手が集会やストライキを行った。ウーバー社とリフト社に抗議する初めての世界同時抗議行動はロンドンとメルボルンと全米12の都市で取り組まれた。

 ストライキが行われている間にリフト社の株価は上場されて以来の最安値を記録した。ウーバー株の損失は上場初日の損失としては米国史上で最大であった。

 この間、ライトシェア会社の莫大な利益を生んできた運転手たちの収入はここ数年下がり続けている。多くの運転手が会社の甘言にだまされて高価な車を購入してその負担が重くのしかかってきていた。そこで、運転手たちは反撃に出た。

●ロサンゼルスから反撃

 ウーバーの株式上場に対抗して最初にストライキを呼びかけたのはロサンゼルスに基盤を置く独立組織、ライドシェア労働者連合RDUであった。RDUは昨年、度重なる賃金引き下げに反対して結成された。最低賃金率、正当な理由のない契約解除を禁止する条項、運賃から会社が差し引くコミッションを10パーセントに制限することを要求している。

 ウーバー社はコミッションは最大でも25パーセントだと主張している。(リフト社は20パーセント)しかし、コミッション以外にも料金から差し引かれる項目があり、実際に運転手が得るのは75パーセントや80パーセントより低い。

 運転手と支援者たちはロサンゼルス国際空港で一日中集会を行い、ピケを張った。RDUは運転手たちにアプリを24時間切ることを呼びかけていた。

 ロサンゼルスでのライドシェア運転手のストライキは今回が初めてではない。運転手に支払われる距離報酬が25パーセント引き下げられたのに反対して3月25日には25時間ストライキが行われている。この行動がマスコミと他の運転手組織の注目を集め、ウーバーの株式上場に向けた共同した取り組みのきっかけとなった。

 ストライキを呼びかけたRDUは他都市の同様な団体に働きかけを始めた。カリフォルニア州ベイエリア地域では地域組織の支援を受けて「立ち上がるギグ労働者GWR」が組織化を始めていた。

●ニューヨークで競合する二組織


*5月8日ロサンゼルス空港でのピケ風景 /「ニューヨークタイムズ」掲載の写真

 5月8日、ニューヨーク市では二つの運転手組織が異なる行動を行った。

 ニューヨーク・タクシー運転手アライアンスNYTWAは朝のラッシュアワー時に2時間ストライキを行い、午後にはウーバー社のニューヨーク本社前で抗議行動を行った。

 NYTWA会長のバアイラビ・デサイによるとロサンゼルスの運動の高まりを受けて、数日の間にストライキを準備した。

 2013年にはNYTWAの活動家のインダー・パーマーさんは時給で37ドル稼いでいたが、いまでは週70時間から80時間働いて時給9.8ドルである。

 このストライキに何人参加したのかは分からない。しかし、その日の午前8時のウーバーのアプリ画面をマンハッタンで写した画像をNWTWA会員のビグ・ハイダーさんが示している。画面には車が一台も写っておらず、通常の2.2倍の運賃が表示されている。ウーバーは車の供給が足りない時に運転手を惹きつけるためにこのような割り増し運賃制度を使っている。

 もう一つのライドシェア運転手組織、独立運転手ギルドIDGは同日ストライキは呼びかけず、別行動を取った。NYTWAがストライキをやっている間にウーバー本社前で集会を行った。またIDGに加盟する運転手たちはブルックリン橋をゆっくり走行する抗議行動を組織した。

 IDG理事長ブレンダン・セクストンはストライキになぜ参加しなかったと問われ、こう回答した。「生活できる賃金を要求して世界同時行動として全国でストライキしている労働者と連帯して行動する。しかし、ストライキで要求している内容は我々は既に勝ち取っている」。ニューヨーク市議会は2018年末に運転手の手取り最低時給を17.22ドルとする条例を可決している。

 国際機械工労組IAMの加盟組織であるIDGはウーバー社とは複雑な関係にある。ジャーナリストからの繰り返しての取材に対して、IDGはウーバー社と秘密の合意があることを一部分明らかにしている。それは運転手が独立請負業者とされていることを問題にしないことと引き換えにIDGはウーバー社から資金提供を受けている、とのことである。さらにストライキ放棄条項も合意に含まれている。

 ウーバー社とこのような関係を持っている組織は、分かっている限りでは、IDGだけである。

 シカゴでもシカゴ・ライドシェア・アドボケッツCRAという組織がストライキではなく、市庁舎前のピケを呼びかけた。


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