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被ばく隠してオリンピックやるの!〜「脱被ばく」新宿デモに170人

 5月11日午後1時。新宿アルタ前に、続々と人が集まってくる。「子どもを被ばくから守ろう!家族も自分も!」のスローガンですっかりお馴染みになった新宿デモ。この日で12回目だ。(主催は脱被ばく実現ネット)

 オリンピックのチケット販売も開始され、復興キャンペーンに拍車がかかる。4月10日には福島第一原発が立地する福島県大熊町が、ついに避難指示を解除したが、本当にこれでいいのだろうか。

 浪江町出身の元原発作業員・今野寿美雄さん(写真)がマイクを握る。「福島第一原発が今どうなっているか話します。事故後、ベントに使われた一、二号機の排気筒。この支柱が腐って倒れそうなので、20日から切断作業をすることになりました。今、作業員が模擬の排気筒を作り、150台のカメラを使ってリモコン操作しながら解体作業の訓練をしています。私は東電本社に『行程に追われることなく慎重に作業させてほしい』と要請しています。放射能が拡散する可能性があり危険極まりない作業なのですが、やらないともっと大変なことになる」「そんな状態の中、でたらめな帰還政策が続いています。役場を開庁したり、学校を作ったり、認定保育園を作ったり。これでは子どもたちを守ることはできない!」と力をこめた。

 弁護士の柳原敏夫さん(写真)は、チェルノブイリ法を日本で制定させようと頑張っている。「福島の小児甲状腺がんだけでなく、白血病や脳腫瘍も増えている。とにかく放射能から逃げることが最高の救済だ。チェルノブイリ法は世界初の人権宣言。広島や水俣のように病気になってから対処するのではなく、一定の汚染地に住む人は避難することができるという予防原則の立場にたつ。三重県伊勢市で市民が立ち上がり、条例を作る準備が進められている。ぜひこの動きを広げたい」。 

 また、郡山市在住の黒田節子さんも「ソ連は警察国家なのに市民が立ち上がり、事故から5年後にチェルノブイリ法をつくった。福島はもう8年たったのに野放し状態。いくつ裁判をやって、何人病気になるまで待てばいいのか。チェルノブイリ法日本版は、誰がどう見ても必要な法律だ」と訴えた。


*汚染は福島だけではない。「17都県・放射能測定マップ」の紹介をする藤田康元さん


*いくたまんじさん(右)は母子避難者に向けた子守歌を歌った

 運動によってかちとった成果もある。ひなん生活を守る会代表の鴨下祐也さんは「全国で避難者が訴訟を起こし、10の判決が出された中で千葉地裁以外は、東電だけでなく国の責任をも認める判決を出した。また、いわき市から避難した私たち家族は『偽物の避難者』『避難しなくてもいいのに避難した人』と言われていたが、東京訴訟によって区域外からの避難者も被害者だと認められた。また『安全な被ばくはない。被ばくはすべて危険』ということも裁判所に認めさせた」とした上で「それが具体的な対策に結びついていない。東京都でも住宅提供は2年前に打ち切られた。だからといって線量の高い自宅に戻るわけにはいかないので、無理やり残留しているのが現状だ」と明かした。

 たんぽぽ舎共同代表の柳田真さん(写真)は「今は、原発をやめられる絶好のチャンス」といい、二つのことを話した。「まず、テロに対処するための特重施設(特定重大事故等対処施設)を、5年以内に完成させることが原発稼働の条件になっている。来年3月には川内原発一号機、5月には二号機、8月には高浜原発が期限を迎えるが間に合わないだろう。原子力規制委は延長は認めないと言っているので止まるのは必至だ」「東海第二原発も安全対策費として3千億円かかるが、日本原電にはそんなお金はないので東電が肩代わりするという。これには東電社内からも反発が出ている。原子力側にとっても痛いことが続いている」

 その後、福島からの避難者を先頭に、新宿を一周するデモに出発。電光掲示板の温度は29度。汗をかきながら、およそ170人が「原発事故は終わってない」と声をあげた。沿道からは拳をあげたり拍手する人も多かった。まだ8年。福島だけの問題ではないのだ。(堀切さとみ)


Created by staff01. Last modified on 2019-05-12 21:13:59 Copyright: Default

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