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●2019年2月発行「スペース21」110号より転載紹介

いわゆる〈徴用工問題〉について〜「日韓条約で解決済み」は誤り

    大口昭彦(弁護士)

*路上で会見する「徴用工」代理人弁護士(新日鉄前 2/15)

1 昨年秋以来、韓国人元徴用工に対する新日鉄を始めとする大手企業の補償問題が、大きな問題になっている。我々は、あくまでも日韓人民連帯の立場から、この問題をいかに考えるべきであろうか。

 2017年11月に私は、スペース21の総会に於いて、韓国人元軍人軍属の靖國神社合祀問題・徴用工への未補償問題等について報告する機会が与えられたのであるが、そのときに触れた後者の問題が、現実に大きな政治課題として顕在化するに至っているわけである。

 与えられた紙幅が少ないので十分には論じられないのであるが、私は、最低限の結論として、以下を強調しておきたい。

々餾殍,猟蠕發ら見ても、「日韓条約で解決済み」は誤りである。
◆峇攅饋佑寮禅畍△蓮韓国政府が解決する」と約束された事実は無い。
F韓請求権協定によって、韓国に5億ドルの現金が渡ったかのような理解は、全くの認識不足であり、誤解である。
て本の財界は、安倍政府の不見識な反動姿勢に黙従するのではなく、アジアで生きている民間人としての見識を以て主体的に解決に当たるべきである。

 日本の人民は、このことを財界・政府に対して強く要求してゆくべきである。

2 すでに周知のとおり、日本政府は韓国大法院判決に対して、まさに逆上し、安倍首相を先頭に、河野外相までが「日韓条約で解決済み・韓国の不信義」「国際法違反・国際司法裁判所に訴える」などとわめき散らしていた。しかしこれは不見識の極みであり、日韓間の国際関係を敢えてこじらせるものであって大きな誤りである。遺憾ながら、マスコミも一部を除いては、これに同調するかのような論調を示していることは、強く批判されるべきである。

3 まず「日韓条約で解決済み」という認識が大きな誤りである。これは、国家の外交保護権が放棄されたにすぎず、個人の請求権には関係が無いことは、国際法の常識であって、日本政府自身がそのように説明してきたものであることは、前回の報告でも明確に指摘したところである。

 「国際法違反」などと騒げば騒ぐほど、自身の無知不見識をさらけ出し、日本政府の嘘つきぶりを世界に示すのみである。首相もようやくに問題の構造が少しは分かってきたのか、今般、日韓請求権協定に定める「協議」を韓国政府に申入れたと報道されている。しかし、この「協議」で解決に至る可能性は無いから(本来それが望ましいことはもちろんである)、最終的には条約に従って、第三国(アメリカ)の仲裁に委ねられることになるであろう。この場合、「解決済み」なる日本政府の主張はそのままでは通らないであろうと思われる。

4 本来は、この問題は責任を問われた各企業が自主的・理性的・紳士的に解決すべき問題であった。事実、かつて新日本製鐵(株)は旧日本製鐵関係の元徴用工との間で、企業として最初の和解を行い、戦後補償問題解決の先鞭をつけていた。にもかかわらず、その後他の当事者との関係では無益に争って今般の判決に至り、また、株主総会でも「裁判所の判決が出れば従う」と明言していたにもかかわらず、いざ判決が出てみると,安倍の不見識にそのまま調子を合わせてしまっているのは、許されない。

 昨年韓国から、徴用工の代理人である弁護士がわざわざ来日し、「差押などは行いたくない。円満な解決に向けて協議したい」と申入れに赴いたにもかかかわらず、面会を拒絶して玄関払いを行い、その後も傲岸な態度をとり続けた。その結果遂に、新日鉄の保有するポスコの株式が差押さえられるに至ってしまったことは、上記同様、本来的解決のための芽を企業自らが潰してしまったものであって、いずれ新日鉄は、自身のそのような傲慢な態度の誤謬性を思い知らされることになるであろう。

 それと共に、このような企業の対応を許してしまっている我々日本社会について、我々は深い反省と運動への決起が必要とされていると言うべきである。

5 なお、若干附論するならば、

 峇攅饑府が、自らの解決を約束した」事実は無い。そう言うのであれば、日韓会談の議事録を公開すべきである。現在、韓国政府からは公開されているが、そのような記述は存在していない。これに対して、日本政府は公開を拒否し、公開請求に対して裁判所も基本的にこれを認めてしまっている。
 このような相変わらずの秘密外交は、強い非難に値する。事実としては、そのような記述は日本側の議事録にも存在してはいないと考えられる。だから出せないのである。

△泙親韓条約の結果〈無償3億ドル・有償2億ドル・民間借款3億ドル〉が、日本政府と朴正煕韓国政府との間で合意された。このうち有償・借款部分が問題にならないことは、それだけで明白であろう。

 しかも、この無償とされた3億ドルであるが、別にこれが現金として渡されたわけではない。そうではなく道路・港湾施設その他のインフラ整備に関する物品・役務の提供と枠づけられて行われたのであった。

 (当時財界に於いては、「大きな声では言えないが、日本の経済にとっても大きなメリットがあるのだ」との話が行われていたのが実情である。たしかに、日本からは商品・役務が大規模に販売されることになるわけであるから、「大きなメリット」であった。日本経済はこの時期、いわゆるベトナム特需と日韓条約による経済援助によって、大きな利潤を上げたのであった。また、朴正煕政府は、これらのインフラ整備等をも原始蓄積としたうえでの、開発独裁政策の強行・強搾取強収奪により、一定の経済発展を実現したのである)。

 いずれにせよ、韓国人個人に対して、徴用工時代の賃金その他の補償が、現金で行われたという事実は(一部の死者についてなされた30万ウオンの補償を例外として)、全く存在してはいないのである。

 この点についても、日本社会は全く誤解しており、嘘にまみれた安倍政府の反アジア的政策によって、事が進んでいるかの如くであることについては、我々日本人民の責任も大きいと言わねばならない。

*「スペース21」TEL&FAX 03-3258-9649 メール space21.awajicho@gmail.com


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