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米軍医師の眼を通して沖縄を追体験〜演劇『太陽の棘(トゲ)』を観て

     甲斐淳二

11月9日の公演を見た。

戦後間もない沖縄の米軍病院に戦争経験のない若い精神科医が着任する。そこには戦争で精神を深く病んだ米軍の兵士達がいた。若き軍医は沖縄の絵描きたちと交流する。やがて絵描きたちとともに怒りともに泣き、やがてある事件を起こしてアメリカ本国に強制帰還させられる。

70年前の実話を基にした原田マハの同名の小説の戯曲化だ。若き軍医の沖縄との出会いが実に率直で自然で、この米軍医師の眼を通して私たちもまた沖縄を追体験することになる。

パンフレットの原作者・原田マハの一文で、この物語がどのように生まれたかが書かれていた。主人公の現在96歳の元軍医がサンフランシスコで健在であること、そして今回の戯曲化を喜んでいることが書かれている。この短い文章自体が感動的なドラマでもある。

舞台の展開にグイグイ引き込まれていく。10分間の休憩時間も後半が楽しみで待ちきれない。エンディングがいい。原作の力と脚本、演出の力が相まって素晴らしい時間を味わった。

出口で知り合いの女性が「お芝居を見てこんなに涙が出たのは初めて」とハンカチを握りしめていた。私は黙ってうなずいた。何か口にするときっと声が震えてしまうと思ったから。

*11月18日まで、東京・両国、シアターXカイにて
公演情報


Created by staff01. Last modified on 2018-11-11 19:41:36 Copyright: Default

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