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LNJ Logo 8.31北海道庁前行動〜国・東電の「トリチウム放出」方針に批判相次ぐ
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8月31日(金)も、通算305回目の道庁前行動が行われた。

この日の行動では、福島第1原発敷地内の汚染水タンクに保管されているトリチウム汚染水を海洋放出する方針が示されたことに対し、批判が相次いだ。

常連メンバーからは、トリチウムが人の健康に与える影響、海洋生物への影響をはじめ、海の汚染が必ず食物連鎖を通じて猛毒となって人間に跳ね返ってくることを過去の公害の例から指摘する人など、次々と批判の声が上がった。

とりわけ、常連メンバーのインド人・ラトリさんの発言が秀逸だった。「日本政府は今、トリチウム汚染水を薄めて海に流そうとしている。日本政府がこんなことを計画している理由は、彼らが嘘も薄めて海に流す政府だからだ」とウソ、隠ぺい、ごまかし、はぐらかしだらけの安倍政権を厳しく批判した。

最後に黒鉄のスピーチ全文を紹介する。本来、このスピーチは先週(8/24)の行動で読む予定のものだったが、JR北海道研究会への参加が急遽決まって先週の行動に参加できなかったため1週繰り下げた。8月19日、泊原発地元の岩内町で行われたシンポジウムに参加した率直な感想である。

(写真は発言する畠山和也・前衆院議員(共産))

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 みなさんこんにちは。

 先週19日、泊原発地元の岩内町で開かれたトマロックイベントに行ってきました。この中で、「どうする原発に頼らないマチづくり」と題した公開シンポがありました。私がこの公開シンポに参加することにしたのは、立地自治体をどうするかが日本の脱原発のカギを握ると考えたからです。

 福島第1原発事故が起きるまで、日本の原発問題はいわば川に例えるなら「川下」に当たる消費地の問題だと考えられてきました。事故前の原発依存度は30〜35%もあり、結局、「原発がないと電気が足りないじゃないか」という反論を受ける状況だったわけです。事故後、この状況は一変し、日本は省エネ化の進展によって原発を動かさないまま5年近くも過ごすことができ、電気が足りないとの原子力ムラの宣伝は嘘だとわかりました。日本財団の調査では、東京電力管内では事故後、ピーク時における電力使用量がなんと15%も減少していました。自分たちが利益だけ享受し、被害や不利益は地方に押し付けていた罪を自覚した首都圏の市民と企業は、福島原発事故をきっかけに便利さも明るさもまったく手放さず、生活スタイルの改善と工夫でこれだけの省エネを実現したのです。

 電力消費地がこれだけの努力で省エネを実現してみると、後に立地地域の問題が残りました。消費地が原発の電気はいらないと声を上げても、立地地域が「買ってもらわなければ我々の生活が成り立たない」と生活を盾にとって原発再稼働を目指す傾向が明らかになり、原発は立地地域の問題に変わったのです。

 公開シンポでは、元岩内町の助役だった不動産会社の経営者の方が「自分は原発推進派」だと断りつつ、こんな話をしました。立地地域は原発の危険性と引き換えに町を売って食べている。現役だったころ、町長からは「安全だけは確保せよ、何かあればいつでも原子炉を止めるという気概がなければ安全は守れない」といわれたそうです。原発推進派にも原発が自分のすぐそばにあってもいいという人は皆無だという思わぬ話もされました。

 「原発反対運動がなければ首長、議員が内心では原発は危険だと思っていても声を上げられなくなる。だから健全な原発反対運動は必要だ。そんな健全な反対運動があるのは地元では岩内だけ。泊村にも共和町にも神恵内にもない」という話を聞き、私たちがここで毎週、声を上げ続けていることの正しさを感じました。しかし一方「東京、札幌の反原発運動は原発反対だけでもいいが、岩内では別のものが必要だと思う。原発がなくてもこれで食べていけるというものが必要だ」というお話があり、これには考えさせられました。原発に何十年も依存してきた地域は自立が不可能になっており、言葉は悪いですが「要介護自治体」状態です。無責任だし、そもそも私たち市民がなぜ立地地域の将来や産業構造の転換のことまで考えてやらなければならないのか、そこまでしなければならないのかと怒りがわきます。しかし、彼らの姿を見ているとやはりそれに私たちが取り組み、様々な提案をしていく必要もあるのだろうと思いました。だからこそ先の国会に提出された立憲民主党の原発ゼロ法案には、立地地域の経済振興や産業構造の転換に対する支援が盛り込まれたと聞いています。

 この元助役の方は、観光業で地域おこしをしているニセコ町も結局は地元資本ではなく、道外や海外の資本の植民地になっている現実を挙げながら、地場産業を作ることの重要性を指摘しました。地場産業を作ることで、経済活性化のために原発を誘致し、支持している人たちは地場産業で頑張れる。原発反対の人も「原発がなくてもこれで食べていける」と主張できる。両方が幸せになれる道ではないかとのことでした。地元が原発賛成、反対の分断を超えるひとつの道ではないかと思いました。

 質疑応答では、福島の厳しい現実への理解がない、明日にも事故が起きるかもしれないのにあまりにものんびりしすぎている、とパネリストへの厳しい批判もありました。しかし、この点を乗り越えないと脱原発はいつまでも実現しません。それに、原発推進側の元助役という立場を明らかにして公開シンポに臨めば厳しい批判を受けると自分自身もわかっていたはずです。そうした批判を覚悟のうえで、推進側の人物があえて反対派の前に身をさらし、批判も受けたことに一筋の光も感じました。

 原発に半世紀近くもどっぷりつかってきた立地自治体を変えるのは並大抵のことではありません。しかしそれは避けては通ることのできない道です。ここに集っている皆さんの知恵も借りながら、1日も早い脱原発が実現するよう、ともに考えていかなけばならないと考えさせられる公開シンポだったと思います。
 
 今日は以上で終わります。ありがとうございました。


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