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「森友文書」改ざんと「前川授業」圧力

2018年03月20日 | 憲法と安倍政権

     

 「森友文書」改ざんに関する19日の参院予算委員会集中審議(写真左)。

 矢面に立って議員の質問に答えていた財務省の太田充理財局長が気色ばんだ場面がありました(写真中)。野田政権(民主党)の秘書官だった太田氏が安倍首相を貶めるための答弁をしているのではないか、という自民党・和田政宗議員の質問。それに対し、こう反論したのです。 

 「私は公務員としてお仕えした方に一生懸命仕えるのが仕事なので、いくらなんでも…」
 
 なんとしても安倍首相を守ろうと荒唐無稽な質問をした和田議員は醜悪ですが、太田氏の発言もおかしくないですか?

 森友学園への国有地払下げ決裁文書から、「安倍昭恵総理夫人」や「日本会議」の記述が削除された公文書改ざんが問題になっているさ中、前川喜平前文科次官の中学校での授業(2月16日、名古屋市)に対し、文科省が学校側に15項目の「質問」をし録音データの提出を求めて圧力をかけた(3月1日)問題が発覚しました(写真右)。

 2つの問題は、直接的な関連はありませんが、根っこは一つではないでしょうか。

 「森友文書」の改ざんは、「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」(公文書管理法第1条)である公文書を、時の政権が改ざん・偽造し、国会に虚偽報告を行ったという、憲法(第66条)の議院内閣制の根幹を揺るがす大問題です。

 一方、「前川授業」への圧力は、「教育は、不当な支配に服することなく」(教育基本法第16条)とする公教育の基本を侵害します。

 いずれも憲法、教育基本法という国の根幹中の根幹の法規に反する点で共通していますが、ここではもう1つの重要な共通点に着目します。それは、行政官庁・国家公務員と政権党(自民党)・政治家の関係です。

  「森友文書」改ざんは、安倍首相(官邸)筋の指示、あるいはその意向を忖度して財務省が行ったことは明白です。一方、「前川授業」に対する文科省の圧力は、自民党文科部会長の赤池誠章参院議員、部会長代理の池田佳隆衆院議員からの「問い合わせ」という名の圧力によって文科省が行ったことが明らかになりました。

 共通しているのは、政権や政権党(自民党)の議員が、行政官庁(財務省、文科省)を自分の領地であるかのようにとらえ、官僚を家来のように使っていることであり、官僚の側はあたかも領主に仕えるかのように政権(党・議員)の指示・意向に従っていることです。

 これは根本的な誤りです。その誤りの意味を、関連法規で確認しておきましょう。

憲法第15(公務員の選定)
 第1項「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」
 第2項「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」

国家公務員法第1(目的)
 第1項「この法律は、国家公務員たる職員について…職員がその職務の遂行に当たり、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導さるべきことを定め、以って国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする」

 公務員(官僚)が「奉仕」すべきは、時の政権(党・議員)ではなく、「国民全体」です。それが公務員の義務であり、公務員の「選定・罷免」は「国民固有の権利」なのです。

 冒頭の太田理財局長の発言。太田氏は「公務員として」、時の政権(首相)に「一生懸命仕えるのが仕事」だと公言しましたが、それは間違いです。中央官庁の官僚が「公務員として」「一生懸命仕える」べきは政権(党・議員)ではなく「国民」です。公務員が「忖度」すべきは政権の意向ではなく、「国民」の利益です。

 この原則が、永年の自民党政権により、とりわけ安倍政権によって踏みにじられ、政権党と官僚の間に事実上の「主従関係」ができあがり、それが当たり前のように通用してきた。そこに日本の政治・行政の根本的な病巣があるのではないでしょうか。

 その政権(党・議員)は、公務員を利用するだけ利用して不要・邪魔になれば、責任を公務員に転嫁して情け容赦なく切り捨てて我が身を守ろうとします。それが今、佐川宣寿前国税庁長官に対して安倍政権が行おうとしていることではないでしょうか。

 「森友文書」改ざんと「前川授業」への圧力の同時進行は、偶然のようであってけっして偶然ではありません。
 憲法、国家公務員法、教育基本法などの原則に立ち返り、主権者・国民と公務員の関係を再構築することが急務です。


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