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郵政非正規「格差是正」へ一歩前進〜総額167万円の支払い命じた東京高裁判決

動画(8分半)

 非正規の郵政労働者3人が正社員との格差是正を求めて起こした「東日本・郵政労契法20条裁判」。12月13日、その東京高裁判決が出た。裁判所前で支援者が待ち構える中、判決時刻の午後2時過ぎ、原告の浅川喜義さん、宇田川朝史さんは、「全員勝訴」「前判決より前進」の垂れ幕を掲げた。原告も支援者も笑顔があふれた。


*裁判所前で気勢を上げる支援者たち

 判決は、年末年始勤務手当と住宅手当の正社員との格差全額の損害賠償を認めた。また、有給の病気休暇の格差に初めて損害賠償を認めた。3人の総額は約167万円で、高裁判決は日本郵便に対してその支払いを命じた。一審の東京地裁判決では、年末年始勤務手当が正社員の8割、住宅手当は6割を認める内容で約92万円の支払い命令だったが、今回の高裁判決では10割認定となった。夏期冬期休暇も一審判決と同じく不合理な格差と認められた。

 記者会見で、高裁判決の前進の理由を棗一郎弁護士は「地裁判決にあった“(正社員の)長期雇用のインセンティブ(動機付け)”の文言が今回は削られていた。正社員と同じように長期で働く非正規労働者の実態に、“インセンティブ”は説得力を持たないことを裁判所は自覚したのだろう」と語った。

 いっぽう原告たちの最大の課題だった夏期年末手当(賞与)の格差是正に、判決はまったくこたえなかった。原告浅川さんの2017年冬の賞与は15万円、同じ勤続10年の正社員は60万円で4倍の格差がある。棗弁護士は「判決は、賞与は労使交渉で決まるので格差は不合理ではないとしているがこれでは格差は縮まらない」と強く裁判所を批判した。

 原告の浅川さん(写真左)は「賞与が手つかずで課題は大きい。住宅費は切実で更新料を積み立てられない時は賞与でまかなわないといけない。最高裁でどう判断されるか。非正規の未来がかかっている」と訴えた。宇田川さん(写真右)は「有給の病気休暇が絶対必要と思い、その一念で裁判に立った。これが認められたことは大きい」と語った。

 また宇田川さんは原告が所属する「郵政産業労働者ユニオン」が果たした役割が大きいという。「珍しいと思うが私たちのユニオンは、正規と非正規が手をとりあって一緒に格差是正に取り組んでいる。裁判の証言台に正規職員が立ち、正規と非正規の仕事まったく同じ仕事であることを証言した。また正社員の組合員が給与の明細書を証拠として提出した。こうしたことがいい判決につながったと思う」と話した。

 原告は、夏期年末手当などの格差是正を求めて最高裁に上告する。「西日本・郵政労契法20条裁判」の高裁判決は、来年1月に予定されている。郵政職場で働く非正規労働者は全社員の半数近くを占める19万人。今回の判決の影響は限りなく大きい。〔佐々木有美〕

↓判決を見守る「東部労組メトロコマース支部」のメンバー。同様の非正規差別是正・控訴審判決が2019年2月20日にある。

●資料(jpg)=郵政20条裁判 判決内容(東京地裁・東京高裁・大阪地裁)

↓ユニオンの「号外」


Created by staff01. Last modified on 2018-12-14 14:54:01 Copyright: Default

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