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LNJ Logo 根津公子の都教委傍聴記(9/13)/校長の約半数が学習指導要領を超える性教育を求めている
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●根津公子の都教委傍聴記(2018年9月13日)

校長の約半数が学習指導要領を超える性教育を求めている

 定例会は第2、第4木曜の午前中と決まっているのに、教育委員はしばしば欠席する。今日は遠藤教育委員と北村教育委員が欠席。5人中2人が欠席という有様だ。しかも、欠席理由は明らかにされない。私が傍聴を始めたのは2011年4月だが、すぐに欠席が目につき担当課に、ア.「欠席理由を告げてほしい」と要求し、イ.「欠席した場合、報酬は減額されるのか」を質問したところ、欠席理由は未だ告げられず。教育委員の報酬は月額432,000円、欠席しても支給されるとのことだった。これだけ高額の報酬を得ているのに、他事を優先して定例会は欠席する。あまりに無責任ではないか。

 議案は「教員等の懲戒処分案件(停職以上:筆者)」が5件(非公開)、報告は公開が「都立高校入学者選抜実施要綱・同細目について」と「性教育(中学校)の実施状況調査結果について」、非公開が「教員の懲戒処分について(戒告・減給:筆者)」。都教委HPを見ると、9月12日付で7件の懲戒処分(免職から戒告まで)がアップされている。

 以下、「性教育(中学校)の実施状況調査結果について」報告する。

 調査は8月に、都内全中学校の校長を対象に行い、回収率100%とのこと。調査結果は次の 銑ぁ
’間授業時数は1年生では「1〜10時間」が57%、「11〜20時間」が31%。
2年生では「1〜10時間」が67%、「11〜20時間」が16%。
3年生では「1〜10時間」が35%、「11〜20時間」が33%。
∪教育に関する管理職の意識(とてもそう思う そう思うの割合) 11項目の設問のうち、主だった6項目をあげる。
・生徒は、性に関する正しい知識を身に付けている。 52%
・学習指導要領に示されていない内容を指導することも必要だと思う。 46%
・教員は、専門知識に基づいて性教育を行うことができている。 65%
・性に関する授業は、医師等の外部講師を活用することが効果的である。 89%
・性教育を行う際に、都教委等から医師等の外部講師を派遣してほしい。 79%
・都教委等から、性に関する指導資料等を配布してほしい。 80%
H鯒ニ,篆郵妊娠中絶等、学習指導要領に示されていない内容の授業の指導について
・授業で指導している(する予定である)学校が9%(55校)、していない学校が91%(569校)
・指導している内容は、避妊法、人工妊娠中絶、コンドームの利用、性交、望まない妊娠
・指導は保健体育が71%、学級活動や学校行事が17%、総合的な学習が10%
・指導している理由は、
 様々な情報が氾濫している状況で、情報を選択するための正しい知識を身につけさせることが必要なため。/性感染症を教える中で、知っておいたほうがよいため。/命の大切さを知り、望まない妊娠をさせないため。
・事前の周知は
 生徒に対しては80%、保護者に対しては73%が「している」 ずG度、性教育に関する外部講師の活用状況は
 外部講師を活用した指導を実施した(する)学校は23%
 外部講師の職業は、助産婦36%、保健師17%、外部医師10%、大学教員6%、学校医・看護師各2%

《調査に至る経過》

 今年3月の文教委員会で古賀自民党都議会議員が足立区中学校の性教育を問題視したことを受けて、都教委は4月26日の定例会で学習指導要領を超えた性教育について次のような見解と今後の対応を発表した。「『性交』『避妊』『人工中絶』といった中学校学習指導要領保健体育にないことばを使った授業は不適切。保護者の理解を必ずしも十分得ないまま授業が実施されていた。」今後は、「学習指導要領を基本とする。すべてを集団指導で教えるのではなく、集団指導で教えるべき内容と個別指導で教えるべき内容を明確にする。学習指導要領を超える内容を指導する場合には、事前に学習指導案を保護者に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施するなど」とした。

 なお、この都教委の「不適切」見解に対して、北村教育委員から「現場では萎縮せず、取り組んでほしい」との発言はあったものの、北村教育委員を含め、「保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施する」ことに賛成する発言が相次いだ。

《教育委員の発言》

 「医師や外部講師であっても、性に関しては統一見解がない。学習指導要領を超えることについて、都教委はどうするかを出すべき」「学習指導要領内のものと個別で指導すべきものについて、都教委は早急に着手すべき」など。中井教育長が「学習指導要領外のものについて、子どもの現状から個別に丁寧に対応する。外部専門家の派遣をしていきたい」と述べてこの件は終了となった。

《報告と発言から思ったこと》

 「避妊法や人工妊娠中絶等、学習指導要領に示されていない内容」を教える学校が1割近くもあったことに驚いた。2003年、都教委が七生養護学校の性教育への弾圧・介入や学校から性に関する図書を撤去させるなど、性教育を否定する方針をとってきた中で、現場の教員たちは生徒たちの現実を前に、論議し実践してきたということだ。

 報告の「指導している理由」にまったく同感する。この9%の学校の校長は、都教委が打ち出した「保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施する」ことについて「全生徒が学ぶべきこと」だとする要望や反論を調査の「自由記述欄」にしたのだろうか。また、「学習指導要領に示されていない内容を指導することも必要だと思う」校長が46%。校長の約半数が学習指導要領を超える内容を教える必要性を感じているのだ。この数字の重みを都教委は受け止めなければいけない。受け止めて、4月26日に出した都教委見解を撤回し、足立区中学校に謝罪するところから始めるべきだ。

 この報告を受けてもなお、教育委員は、「保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施する」のが適切との考えが揺らぐことはなかったのだろうか。

 もう一つ気になったのが、「医師や外部講師であっても、性に関しては統一見解がない」云々の発言だ。この発言は、性(教育)について都教委見解を出し、それに沿った医師や外部講師を派遣する。都教委見解と異なる医師や外部講師は派遣の対象としないということのよう。そのような派遣となれば、4月26日に発表した都教委見解と相まって、現場では学習指導要領を超える内容を教えることができなくなっていくのではないかと危惧する。


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