本文の先頭へ
LNJ Logo 木下昌明の映画の部屋 : 権力とたたかう放送記者たち/チェ・スンホ監督『共犯者たち』
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 0602eiga
Status: published
View


<木下昌明の映画の部屋・第242回>

権力とたたかう放送記者たち〜崔承浩(チェ・スンホ)監督『共犯者たち』

 韓国の崔承浩監督のドキュメンタリー映画『共犯者たち』が昨年8月に韓国で公開され、評判を呼んだ。これは政治権力と放送人との10年に及ぶせめぎ合いの歴史に焦点を当てている。これをみると、いま躍動している韓国の実情がよくわかる。

 2008年、李明博(イ・ミョンバク)が政権を握ると、公営のKBS(韓国放送公社)とMBC(韓国文化放送)が批判報道を展開した。それに李大統領は我慢ならず、経営陣の首をすげかえ、批判的な記者やプロデューサーらを次々に配転・停職・解雇し、「こんにちは大統領です!」という公報番組まで作ってしまう。権力が放送局を「占領」したのだ。(*写真=映画のポスター「間違ったニュースをお伝えします 相変わらず私たちを騙している 共犯者たち 8月17日公開」)

 MBCの調査報道部にいた崔監督(写真下)も、解雇された一人。そこで崔らは共同で「ニュース打破」という独立メディアを立ち上げ、反撃に出る。「ニュース打破」は、事実を隠蔽(いんぺい)するためにフェイク(偽)ニュースを流して国民を欺きつづける番組に抗して狄深造呂海譴澄″と「ユーチューブ」などオンラインのツールを使った報道だ。崔は、権力にべったりの経営陣を待ち伏せして追いかけ、直撃インタビューを試みる。まるでマイケル・ムーアではないか。

 そして政権が李から朴槿恵(パク・クネ)に引き継がれて、旅客船セウォル号沈没事故が起きる。この時、テレビ局は一斉に「乗客は全員救助された」と報じた。現地からは「まだ300人が船の中だ」と悲鳴が上がっていたが、無視したままだった。実は、事件を小さく見せようとする青瓦台(官邸)からの指示があったからだ。それが映像で時を追って暴露されていき、唖然(あぜん)とする。

 この崔らの活動に呼応して、170日に及ぶ放送労働者のストライキも展開される。一人のプロデューサーがスマホで自撮りして動画で中継しながら「社長は出ていけ!」と叫ぶシーンには圧倒される。

 それにしても、崔が昨年12月、MBCの社長にまでなったのには驚かされた。――やるじゃない!(『サンデー毎日』2018年6月10号)

※上映&監督あいさつは6月9日19時より、ZERO小ホールほか。電話080-3483-9998

〔追記〕なお『月刊東京』6月号に「権力とたたかうメディア」と題して『共犯者たち』についての長めの批評を書いています。この映画は〈レイバーネット〉を展開するわたしたちに学ぶべき多くのことを教えてくれます。必見!


Created by staff01. Last modified on 2018-06-03 15:18:53 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について