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空気が入ったレイバーネット総会〜「韓国民主主義」の息吹伝えた白石孝講演


 *二部で講演した白石孝さん

 例年にもまして参加者も多く、多彩な顔ぶれ。3月24日「スペースたんぽぽ」で開かれたレイバーネット総会は、ディスカッションが活発で「空気が入った」「元気が出る」総会となった。レイバーネットはことしで18年目を迎え、財政難や高齢化問題など厳しい状況にあったが、それを吹き飛ばすような会になった。

 第一部では、会のあり方について報告・ディスカッションがあった。去年から記事を書き始めた新人記者からは「事実報道とメッセージ性をどう出したらいいのか悩んでいる。記事を書くポイントを知りたい」と問題を投げかけた。それに対して先輩の書き手から、「一番いいたいことを押し出すこと」「なるべく短く、だらだら書かないこと」「事実報道だけでなく、天候とか音とかその場の空気感をつかんで伝えること」「5W1Hは基本だが大事なのは取材者の心」「ネット記事は活字媒体と違って、読む人は冒頭のみをさっと見て判断するので見だしなど最初のつかみが大事」等々、貴重なアドバイスがあった。

 各専門部の報告では「ブッククラブ」から詳しい報告があり、新たに出来たばかりの「シネクラブ」からは抱負が語られた。話題になったのは国際部。英文ニュースを長年続けてきた国際部だが、翻訳者の減少などで仕切り直しを考えているという。議論では、レイバーネットTVメンバーから「動画ニュースに英語字幕を付けて配信できないか」との提案があり、「それはいい」と一気に具体化した。コラボが生まれた瞬間だった。またこれまで海外から日本に伝える情報が弱かったが、新方針では、米国「レイバーノーツ」の主な記事を毎月紹介する企画を進めることになった。

 会の大きな課題である「世代交代、シニアからミドルへ」について意見交換をした。オブザーバー参加のたんぽぽ舎の柳田真さんは「たんぽぽ舎も同じ悩みがあるが、うちは若い人にシフトというだけでなく二本立てでやっている。60代、70代の人たちについては『お互いあと5年は健康寿命で頑張ろう』が合言葉。健康面などいろんな側面で助け合っており、それがデモの参加人数アップにもつながっている」と話した。単なる世代交代ではなく「二本立て路線」があることを再認識させられた。

 二部の特別企画「韓国民主主義から学ぶこと」は「ソウル革新パーク」の映像上映に続いて、『ソウルの市民民主主義〜日本の政治を変えるために』を刊行したばかりの白石孝さんが熱く語った。朴元淳(パクウォンスン)ソウル市長がやっているのは、「ソウル型ニューディール政策(大恐慌時に公共事業拡大で克服した経済政策)とも言われているが、じつは日本やヨーロッパの実践モデルを導入し具体化したものだという。日本と違うのは「哲学」があり政策に一貫性があること。「労働者の人間性を取り戻す」という哲学に裏打ちされた政策は、深く具体的である。「残業ゼロ」政策は「ゼロ」にするのはいいが収入が減り労働者が時間を持て余すという問題が生じる。それをどうするか、アフター5の労働者の生活面まで考え抜いた施策を立案している。アベとは違う本当の意味の「働き方改革」なのである。

 また、行政の企画立案に労働組合メンバー・市民活動家・学者・研究者まで入っている。「えっ」と驚くような話の連続だったが、それをなしえたのは「韓国キャンドル市民革命」によって培われた人々の民主主義意識の高さだった。韓国憲法第一条「大韓民国の主権は、国民に存し、すべての権力は国民から由来する」をソウル市長も市民もあたりまえのこととして、実践している。「国民主権」の憲法をもつ日本が恥ずかしくなる。ソウル市長の政策はムン大統領の政策にも影響を与えていて、方向性は同じだ。世界の流れを変えるような「希望のキャンドル」が、お隣の国ではしっかり灯されている。そんな熱気を浴びたレイバーネット総会。出席者の顔がみんな「上気」していたのはそのせいかもしれない。

 こうしてレイバーネット総会は、18年目のリニューアルにふさわしいスタートになった。全体の参加者は35人、二次会は19人だった。財政危機脱出のために呼びかけた50万円緊急カンパも、ほぼ達成の見通しになった。感謝するとともに、引き続き皆さんのレイバーネットへの参加・協力を呼びかけたい。(レイバーネット事務局)


Created by staff01. Last modified on 2018-03-26 14:27:31 Copyright: Default

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