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被害者抜きの合意は解決ではない!/「日韓合意」ってなに?講演会
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被害者抜きの合意は解決ではない!〜「日韓合意」ってなに?講演会

    尾澤邦子
 

 一昨年の韓国におけるろうそく集会の波は、パククネ政権を倒し、ムンジェイン政権を誕生させた。パク政権が日本政府と2015年12月に行った日本軍「慰安婦」問題での「日韓合意」に対し、韓国では不満が高まっていた。被害者を無視した「合意」はありえないと。日本政府の「少女像撤去」の要求に対し、たちまちのうちに韓国各地30数か所に「平和の碑」「平和の少女像」が建立された。2017年ムン政権は、「日韓合意」では解決できないと「合意」を検証し、2018年1月9日、カンギョンファ外相が韓国政府の新方針を発表。これに対し日本政府は、「合意したのに」「蒸し返すな」とかたくなな態度をとっている。

 1月20日、かつしか女性会議の主催で、「日韓合意」ってなに?〜日本軍「慰安婦」問題の現状〜という講演会が行われた。講師は日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表のヤンチンジャさん(写真)。1時間半にわたる講演は、被害者と支援者が共に歩んで国際世論をつくり、また国内で若い人たちを中心とした運動が巻き起こっていることなどが、よくわかった。韓国政府による「合意」検討の基準は、被害者中心アプローチで、被害救済の過程で被害者の参加が何よりも重要だとしている。韓国政府は、日本政府に対し追加措置とか再交渉とかを求めていない。「自発的な措置を期待している」とのこと。「合意」にこだわりかたくなな態度をとり続ける日本政府を恥ずかしく思う。加害の歴史を事実として認めることから始めるべきだ。

 

 「韓国での運動は1988年から始まっている。韓国挺身隊問題対策協議会の運動は、被害者と支援者が一緒に歩むことによって、被害者自身が平和運動家になっていった」とヤンさんは話し始めた。 2015年12月28日の「日韓合意」について、その翌日被害者のキムボクトンさんは「政府と政府同士話し合ったことをおばあさんたちに一言の相談もせずに自分たちで妥結したということは、一体何の理由で妥結したというのか、どう考えても納得がいかない」と話した。被害者に何も知らされていなかったことに対し怒っていた。市民の反応は早かった。「少女像を守る大学生行動」はソウルの日本大使館前で「平和の碑」を守る座り込みに突入し、それは現在まで続いている。また全国32地方自治体の首長らは「平和の碑」建立を支持して全国連帯を結成した。1月14日には「日韓日本軍「慰安婦」合意無効と正義の解決のための全国行動」が発足。賛同団体約500、個人賛同約400人が参加。

 日韓政府間「合意」といっても、公式な文章はない。条約でもない。単に口頭で、それぞれの外相が発表した文章をホームページに載せているというもの。その内容は、�^岼舵慳簑蠅蓮�当時の軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している。安倍内閣総理大臣は、心からおわびと反省の気持ちを表明する。��韓国政府が設立する財団に日本政府の予算で10億円を拠出し、すべての元「慰安婦」の「名誉と尊厳の回復、心の傷の癒しのための事業」を行う。�N樟�府は�△料蔀屬�着実に実行されることを前提に「慰安婦」問題が「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」し、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することを控える。�ご攅饑�府は、在韓日本大使館前の「平和の碑」に関して「適切に解決されるよう努力する」というもの。

 日本軍「慰安婦」問題は、日韓だけの問題ではない。2014年6月、韓国、インドネシア、東チモール、フィリピンなどからも被害者が参加してアジア連帯会議が開かれ、日本政府への提言をまとめた。そこでは、「解決」とは、「被害当事者が受け入れられる解決策が示されたときにはじめて、その第一歩を踏み出すことができる」とした。そして、被害者が望む解決で重要な要素となる謝罪は、「誰がどのような加害行為を行ったのかを加害国が正しく認識し、その責任を認め、その謝罪が真摯なものであると信じられる後続措置が伴って初めて、真の謝罪として被害者たちに受け入れられることができる」としている。

 「謝罪」とは、加害者が事実を正しく認識すること、事実を認めることだ。「日韓合意」で日本政府は謝罪したというが、日本政府は歴史的事実を認めないまま10億円を出すことで決着つけようとしていると、キムボクトンさんは「歴史をお金で買おうとするもの」と非難した。きちんとした事実認定に基づく謝罪ではなかったので、被害者たちは謝罪として受け入れられなかった。また解決への第一歩にもならなかった。この問題に対し韓国の市民たちは怒っているが、何故怒っているのか日本のメディアは全く伝えようとしない。「日韓合意」では、真相究明、再発防止措置にもいっさいふれておらず、また重大人権侵害問題に「最終的・不可逆的解決」はありえない。「日韓合意」以降、韓国では若い人たちに運動が広がっている。

 韓国政府の新方針で「日本政府が拠出した10億円は韓国政府の予算で充当」と発表された。そして「再交渉は求めない」「日本が自発的に国際的な普遍基準に則って、真実をありのまま認め、被害者の名誉と尊厳の回復と心の癒しに向けた努力を続けてくれることを期待」としている。1月10日、ムン大統領は「新年の辞」の後、「なぜ再交渉を要求しないのか」という記者の質問に対し「慰安婦問題は、真実と正義の原則によって解決するしかないと思っている。日本がその真実を認め、被害者のハルモニたちに誠意を尽くして謝罪し、そしてこれを教訓にして今後、再発防止のために国際社会と共に努力していくならば、ハルモニたちも、その被害について許すだろうし、日本を許すだろうと思う」と話した。

 2016年3月、国連人権専門家たちが「日韓合意」について勧告や声明を出した。3月11日に出された3人の国連人権専門家による共同声明は「(日韓合意は)重大人権侵害に関する国家責任の基準に合致していない。過去の日本政府と軍部の明らかな責任を認める、明確で公式な謝罪と適切な賠償が被害者たちを保護し真実と正義を守ることができる」としている。

 キムボクトンさんは、1月6日、入院先の病院に面会に訪れたムン大統領に対し、「10億円は日本に返し、「和解・癒し財団」は解散したらいい」と話したとのこと。

 ヤンさんは最後に「国が被害者や国民の意見に耳を傾けて、国際的なリスクを負ってまで方針を転換するということを、(日本は)全く理解できない社会になっているということを、私たちは日本の市民としてどう考えればいいのか」と話して講演を結んだ。

●関連情報「韓国政府の新方針に対する全国行動声明」


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