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肝心なのは「安倍政権の終焉」ではなく「安倍政治の終焉」

2017年09月28日 | 野党共闘

       

 衆議院は今日28日解散され、野党第1党の民進党は、27日に発足したばかりの「希望の党」に吸収されて消滅しようとしています。きわめて奇妙な現象と言わねばなりません。何がそうさせているのでしょうか。

 キーワードは「安倍政権の終焉」です。前原民進党代表の「どんな手段を使ってでも、どんな知恵を絞ってでも安倍政権を終わらせよう」(27日)という言葉がそれを端的に示しています。
 前原氏だけではありません。共産党の志位委員長はじめ野党はすべて「安倍政権を倒す」の1点で「共闘」してきました。「革新的」メディアもまた、「今必要なのは「反安倍」で結集」(27日付沖縄タイムス)することだと後押ししてきました。

 小選挙区制という非民主的な選挙制度の下では、自民党に対抗するには野党が1つになるしかない、というのは単純な論理です。「当選」を至上命題にするなら、「政策の一致」など建前(二の次三の次)で、とにかく1つになること。そして「人気」のある(とみられる)党首を表に立てること。それが小池氏や前原氏がいまやろうとしていることです。

 果たしてそれでいいのでしょうか。

 仮に「希望の党」の下に結集した野党が大勝し、望み通り安倍政権が倒れ、「小池政権」が誕生したとして、それで日本の政治・社会の何が変わるのでしょうか。

 27日の「希望の党」の結党式で、小池氏は「寛容な改革保守」などという抽象的な言葉を並べただけで、具体的な政策は何も述べませんでした。「6項目の綱領」なるものもスローガンの羅列です。票目当てに「反原発」を掲げたものの、あくまで「原発ゼロをめざす」(小池氏、25日の記者会見)というだけで具体性はなく、これから「原発ゼロへの工程表作成」(25日付共同配信記事)をするというだけです。

 すべてが曖昧な中で、小池氏が唯一明確に言い切ったことがあります。それは、民進党議員が「希望の党」へ合流するための「条件」です。
 「北朝鮮情勢も緊迫しており、ただ平和を訴えていればよいというものではありません。極めてリアルな安全保障政策についてこられるかどうかです」(27日、写真左)

 「極めてリアルな安全保障政策」とは、日米安保条約(軍事同盟)と戦争法(安保法制)による日米軍事一体化、北朝鮮敵視政策、「核抑止力」論による核兵器禁止への敵対にほかなりません。

 これこそ「希望の党」の根幹的政策であり、小池氏が譲れない一線です。これまで小池氏が防衛大臣を含め自民党議員として一貫して日米安保体制を推進してきたことから、それは当然の帰結です。安倍首相が「小池さんとは安全保障、基本的な理念は同じだ」(25日の記者会見)と言うのはそのためです。

 「安倍政権」と「小池政権」は、日米安保体制(軍事同盟)を政権の根幹とする点でなんの違いもないのです。

 付け加えれば、小池氏は「日本会議議連」の副会長を務めたこともあり、また都知事として今年の関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文を取りやめるなど、日本の植民地政策、侵略戦争の歴史に無反省な「国家観」においても、安倍氏ときわめて相似しています。

 このような小池氏を首班とする「小池政権」が万一誕生しても、これまでの自民党政治は何も変わりません。基本的に自民党政治を踏襲した民主党政権が哀れな末路をたどったことは記憶に新しいところです。「小池政権」が、政治の変革を望む有権者にそれ以上の失望感を与えるのは目に見えています。

 ただ失望させるだけではありません。今の起こっている事態を少しレンズを引いて見れば、自民党政権に代わる、第二自民党政権をつくろうという動きがあり、それに野党第1党はじめ野党各党が吸収され、日本の政界には本当の意味の野党がいなくなる、今日的な国家総動員体制が作られようとしている、といえるのではないでしょうか。

 肝心なのは、「安倍政権の終焉」ではなく、「安倍政治の終焉」です。

 具体的には、戦争法を廃止し、対米従属の日米軍事同盟(安保条約)を廃棄して非核・非同盟・中立の日本へ舵を切ることです。
 安保条約の廃棄がすぐに一致点にならないというなら、次のスローガンでの共闘をすすめるべきです。
 「軍事費を削って、福祉・教育へ回そう
 5兆円を超える軍事費(その多くはアメリカからの巨額の武器・装備購入)を大幅に削れば、消費税を上げなくても社会保障や教育、国の借金返済へ予算を回せます。

 これこそ「安倍政治の終焉」の具体的な方向ではないでしょうか。

 選挙は議席を取るためだけにあるのではありません。真の政治改革を実現するための学習・教育・宣伝の機会でもあります。すぐには当選しなくても、多数派の形成へ向かって妥協せず一歩一歩前進する。それが選挙ではないでしょうか。


Created by staff01. Last modified on 2017-09-29 14:07:10 Copyright: Default

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