木下昌明の映画批評『弁護人』/「悪法」に挑んだ男の法廷闘争劇 | |
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●木下昌明の映画の部屋 238回 『弁護人』 「悪法」に挑んだ男の法廷闘争劇〜レーバーフェスタで上映ソン・ガンホが主人公に扮(ふん)した映画『弁護人』は、何度見ても圧倒される。当の韓国では青龍映画賞、大鐘賞など20冠を獲得し、観客数も1100万人を突破したという。なぜこの映画にひかれるのか。 舞台は1980年代の軍事独裁政権下と、遠い昔なのに、そこで繰り広げられる裁判は、これからの日本と二重写しにみえてくるからだ。映画は自殺した盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の若き日の実話を基にしている。前半は、高卒の主人公が食堂で食い逃げなどをしながらも弁護士になるさまをコミカルに。後半は一転して、食堂の息子が警察であらぬ罪で拷問をうけていると知って、彼が国家を相手どってたたかう緊迫したドラマに。 そこに頻繁にでてくる言葉は「国家保安法」で、日本語で騒がれた「共謀罪法」に手口がそっくり。国家保安法は、国家が犯罪の可能性があるとにらんだ者を犯罪者に仕立てる‟予防法”。主人公はこの悪法に真っ向から挑むのだ。 彼は開廷と同時に法律を駆使して裁判上の悪(あ)しき慣行や慣例を破っていく。それらのシーンの数々にハッとさせられる。「国家」観で対決する場面では、「主権は国民にあり」とする憲法がいかに大切かも教えられよう。必見の映画である。 実はこの映画、今回16回を迎える「レイバーフェスタ」の目玉の一つとして上映される。他にも『ニッポンのいま』と題して「現実」を切りとった三つの映像と報告がある。その一つ『外国人労働者の叫び』では、ベトナム人実習生が就労中に失明するが治療されず、使い捨てにされるのには唖然(あぜん)とさせられる。「仕事のこと、生活のこと、社会のこと」など、各人が目撃したり体験したことをまとめた3分ビデオ大会も見ものだ。 その他に音楽あり川柳ありだが、なかでもジャーナリスト、山口正紀の風刺にとんだフリップ芸「アベ語辞典」には興味津々。 〔追記〕3分ビデオでは、レイバーネット記事で反響が大きかった『この会社が私の人生を搾取したんです』のドキュメントがある。――これが目玉か! ※12月16日(土)10時から田町交通ビル6Fホールにて。問い合わせ03-3530-8588 Created by staff01. Last modified on 2017-12-14 10:16:30 Copyright: Default |