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立憲民主党は「期待」できる政党なのか

2017年10月23日 | 政治・選挙

     

 総選挙の結果は、事前の「世論調査」通り、「自民圧勝」に終わりました。公明、維新、希望を含め改憲勢力が3分の2を超え、いよいよ憲法「改正」が問われることになります。

 そんな中、「野党」で唯一「躍進」した立憲民主党に対し、「民進党の理念・政策や野党共闘を重んじる筋の通し方への共感もあった」(23日付朝日新聞社説)などと賛辞が送られ、「野党共闘」を望む人たちからも「期待」が高まっているようです。自党は議席を半減させた日本共産党の志位和夫委員長も、「立憲民主党が躍進して嬉しい」(22日夜各社のインタビュー)と述べています。

 しかし、果たして立憲民主党はそうした「期待」に応えられる政党でしょうか。
 立憲民主党の実態を3つの視点から検証します。

<生い立ち>

 ●民主党政権の責任…枝野幸男代表をはじめ主要メンバーは民主党政権時代に中枢にいた人たちです。民主党政権は市民の期待を数々裏切りました。辺野古新基地を推進したのも、朝鮮学校の無償化にストップをかけたのも、尖閣諸島を「国有化」して緊張を高めたのも、民主党政権です。枝野氏自身、菅直人政権の官房長官として、「3・11」で「ただちに人に影響はない」という無責任な会見を繰り返した本人です。
 こうした民主党政権の汚点を枝野氏らはどう考えているのか。責任ある総括はいまだになされていません。

 ●民進党と希望の合流の責任…前原誠司氏の希望の党への合流が、「野党共闘への背信行為」(共産党・志位委員長)であることは論を待ちません。小池百合子氏とともに前原氏は「自民圧勝」の陰の立役者です。
 しかし、その責任は前原氏だけにあるのではありません。民進党が希望の党への合流を正式に決めたのは、9月28日の両院議員総会です。ここで希望との合流が、「満場一致」で決まったのです。つまり枝野氏(当時代表代行)はじめ立憲民主党のメンバーも全員、希望との合流に賛成したのです。
 その後、小池氏による「排除」が始まり、排除されそうになったので枝野氏は立憲民主党を立ち上げました(10月2日)。もし小池氏がもっと巧妙にやっていれば、枝野氏らはあのまま希望の党にとどまっていた可能性は小さくありません。
 野党共闘に対する「背信行為」である希望の党への合流には、枝野氏らにも責任があります。この点を不問にすることはできません。

<政策>(以下、政策の引用は21日付中国新聞=共同配信の各党一覧表から)
 立憲民主党の政策は、果たして安倍・自民党との「対抗軸」になるでしょうか。

 ●「安保法制反対」の次は…同党が安保法制に反対するのは、集団的自衛権の行使にあたるという理由です。そこで安保法制を廃止したあとは、「領域警備法の制定と憲法の枠内での周辺事態法強化で…専守防衛を軸とする現実的な安保政策を推進」するとしています。
 しかし、集団的自衛権と個別的自衛権の境目はあいまいです。共産党は周辺事態法にも反対しています。「現実的な安保政策」とは何でしょうか。

 ●「9条改悪反対」も条件付き…憲法9条の改悪については、「安保法制を前提にした憲法9条の改悪に反対」としています。ということは「安保法制を前提」にしなければ9条の改定も否定しないということになります。

 ●辺野古新基地に反対せず…もともと辺野古新基地を推進してきた同党のメンバーたち。今回の選挙でも「辺野古移設については再検証する」というだけで、「反対」とは明言しませんでした。

 ●北朝鮮への圧力強化では自民と同一…「北朝鮮を対話のテーブルにつかせるため圧力を強める」というのは、安倍首相と変わりません。「平和的解決に向け」とは言っていますが、軍事的圧力も否定していません。経済的圧力の強化も市民を苦しめるだけで、人道に反します。

 ●あいまいな「原発ゼロ」…「一日も早く原発ゼロへ」としながら、「再稼働は現状では認められない」とし、状況が変われば「再稼働」を認めることを示唆しています。

 ●「消費税10%」も基本的に容認…「将来的な国民負担の議論は必要」としながら、「直ちに消費税率10%へ引き上げることはできない」と、今後の「10%へ引き上げ」容認に含みを持たせています。

<連合との親密な関係>

 立憲民主党の性格を見るうえで重要なのは、連合(神津里季会長)との親密な関係です。
 枝野氏ら幹部は党を立ち上げた直後(10月6日)に、そろって連合本部を訪れ、支援を要請しました。そして選挙が終わった翌日の23日にも、連合を訪れて神津会長と会談し、「連携」を確認しました(写真中)。

 連合は労働組合の本旨に反し、大企業との協調をすすめる一方、組合員に対し「特定政党支持」という反民主的な締め付けを行って政治に関与しています。連合が共産党との共闘を強く嫌っていることは周知の事実です。同党が「原発ゼロ」の立場にきっぱり立てないのも、連合との関係があるからです。

 そのような連合に再三支援を要請し、連携するのは、立憲民主党自身の民主性に大きな疑問符を付けるものです。だいいち、連合との親密な連携と、共産党との共闘をどうやって両立させるつもりでしょうか。

 以上、立憲民主党の実態を3つの視点から見ましたが、根底にあるのは、同党が日米軍事同盟(安保条約体制)を容認・推進する政党だということです。
 自民党政治のほんとうの対抗軸になるには、安保・外交の面はもちろん、経済の面からも、日米軍事同盟に反対することが不可欠です。
 日米軍事同盟(安保条約)に反対する世論は現時点では多数派ではありませんが、その旗を掲げ続け、地道に支持を増やしていく以外にありません。
 日米軍事同盟を容認する限り、自民党の補完勢力にはなっても、真の対抗軸にはなりえません。


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