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ヘリパッドを使わせない闘い続く〜沖縄・高江を訪ねて

   大阪教育合同労働組合 大椿裕子

 7月22日、大阪教育合同労働組合(以下、教育合同)の組合員たちが、沖縄県東村高江のN1ゲート前を訪れた。ちょうど1年前の同日、全国から集められた数百人の機動隊が押し寄せ、ヘリパッド建設に反対する市民を暴力的に排除しN1ゲート前を制圧、工事着工を強行した場所である。参院選で、辺野古新基地建設や高江ヘリパッド建設に反対する伊波洋一さん(現参議院議員)が、当時現職だった島尻安伊子沖縄担当相を大差で破り、歓喜に湧いた数時間後に、市民の命を危険に曝す強制排除は行われた。

 教育合同の一行は、その日、キャンプシュワブ前で開催された辺野古新基地建設に反対する「辺野古・大浦湾の埋め立てを止めよう!人間の鎖大行動」に参加。その後、高江に移動したため到着は夕刻近く、その頃には座り込みを続けている市民は帰途に着いていた。それでも、工事車両が出入りする入口付近を軌道隊車両と、15名ほどのALSOKの警備員たちが塞いでいた。17時のサイレンとともに警備員の数は半数ほどになったが、夜間も引き続き、ゲート前や山中に警備員を配置しているという。

 N1ゲート前のテントで、「ヘリッパットいらない住民の会」の伊佐育子さんが、ヘリパッド建設の概要と現状、そして1年前の強制排除について、写真や資料を交えながら、約1時間に渡り丁寧な説明をしてくれた。

 昨年12月22日、米軍北部訓練場の返還式が行われ、政府は、高江地区を取り囲むように作られた6つのヘリパットは「完成」したとアピールした。しかし、安倍政権が年内完成を急いだために、実際には工事の中身は完全な突貫工事だった。今年7月に入り、「完成」したはずのヘリパット工事が再開された。毎年3月〜6月末まではノグチゲラの繁殖期間にあたるため工事は中止されていたが、その期間も音の出ない工事は継続されていたと言う。

 高江の豊かな森は、「ブロッコリーの森」と呼ばれ、約4,000種を超える多くの野生生物が存在する生物多様性に富んだ場所である。しかし、ヘリパットを作るために木々を剥ぎ、ハゲ山を作り、砂利を運び込み敷き詰めた。生態系への影響が危惧される中、政府は2017 年 2 月 1 日に「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」に関する世界自然遺産推薦書をユネスコ世界遺産センターに提出。周囲を米軍のヘリパッドに囲まれ、頭上をオスプレイが飛ぶような環境を作り出しておいて、この場所を世界自然遺産に登録しようとする政府の矛盾に、伊佐さんたちは怒りを滲ませていた。

 ヘリパット工事の建設費は当初6億1300万円を予定していたが、現在、その約15倍、94億円に跳ね上がっている。内警備関連費が計約63億円を占めていることを聞かされると、参加者たちは思わず振り返って、立ち並ぶALSOKの警備員に目をやった。ヘリパット建設に反対する市民を排除するために、膨大な税金が警備関連費に投入されているのだ。

 伊佐さんは、「これまではヘリパットを作らせないための闘いだった。しかし、ここに住む私たちは、これからはヘリパットを使わせないための闘いをしていかなくてはならない」と話されていた。高江に暮らす人々の闘いは、今もなお続いている。

 辺野古の埋め立て工事が始まり、現在、高江での抗議行動に参加する人たちの数は減ってきている。昨年の夏から年末にかけ、全国から人々が駆けつけてきたような状況に、今はない。伊佐さんたちには、高江の問題が人々の意識から忘れ去られていくのではないかという危機感がある。「ヘリパットが作られてしまい、もう高江の問題は終わったと思っている人たちもいると思う。しかし、高江の問題は今も続いている。ここに暮らす人々は、毎日この問題に向き合い続けなければならない。ぜひ、これからも高江に足を運んで欲しい。高江の現状を伝えて欲しい」と強い思いを託された。

 高江、辺野古、宮古島、石垣島、政府の標的にされている沖縄を、これ以上孤立させないための連帯が私たちには求められている。


Created by staff01. Last modified on 2017-07-28 00:23:37 Copyright: Default

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