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ブレない不器用な男のたたかい〜国労闘争団「岩崎松男さんを偲ぶ会」開かれる

パク・ヒャンミさんの追悼歌(6分)

 6月24日、東京・スペースたんぽぽで「岩崎松男さんを偲ぶ会」が開かれた。岩崎さんは元国労闘争団で、30年前の国鉄分割・民営化で解雇された1047人の一人。鹿児島で解雇されたが上京して専従としてたたかってきた。近年は地元の反原発運動にも関わっていたが、今年2月がんのため68歳で亡くなった。韓国民衆歌謡グループ「コッタジ」応援団の中心メンバーでもあり、偲ぶ会には韓国からコッタジ関係者が2名来日した。コッタジ歌手のパク・ヒャンミさんは金芝河の詩に歌をつけた「鳥」を歌って追悼、会場を魅了した(写真上)。

 「偲ぶ会」は本人にふさわしく明るく楽しい集いになった。呼びかけ人のスピーチで名古屋哲一さん(写真上)は「私は郵政だったが、同じ解雇仲間でウマがあった。かれは上が変わってもブレなかった。たぶんブレたり他の選択を考える頭がなかっただけかも…。不器用な人間だった」と笑わせた。そして「とにかく本をよく読んでいて教えてもらった」という。同じ闘争団仲間の成田雄一さんは「闘争団で一番尊敬できる先輩。遺志を継いでいきたい」と語った。ビデオプレスの佐々木有美さんは、エピソードを話そうとしたが思いがこみあげて絶句。代わりにこの日のために書いたメッセージを読みあげた(下段参照)。


 *「四党合意」に反対し「国鉄労働組合歌」を歌う岩崎さん(中央)/2000年秋

 会場に流された映像は、2000年「四党合意」で国鉄闘争が危機に陥ったときに「四党合意」反対の先頭に立っていた岩崎さんの勇姿だった。臨時大会の「演壇占拠」のシーンも流れた。この日は国労関係者も多く、「俺はあの時あそこにいて壇上に突っ込んだ」「俺は呼び水をつくった」など「自慢話」に花が咲いた。全部で51人が参加したが、参列者は次々とマイクを握り、岩崎さんのエピソードや思い出を語った。国労関係だけでなく、「東京総行動」で一緒にたたかった仲間、「コッタジ応援団」の仲間、「労働情報」のメンバーなど幅広い人たちだった。

 『地域と労働運動』編集長の川副詔三さん(写真上)は「四党合意は、国鉄闘争が敗北するか生きのこるかの分岐点だった。あのとき岩崎さんは仲間と『貫徹グループ』をつくり、四党合意をつぶすことに人生を賭けた。そして四党合意はつぶれ、その結果2010年の名誉ある解決につながった。これはかれの人生の勲章だと思う」と岩崎さんのたたかいと生き方を讃えた。

 鹿児島の妻(幸子さん)からは、鹿児島焼酎の差し入れとお礼の手紙が寄せられた。そこには「主人は全身全霊で自分の信念を貫き、それに伴う人と人との結びつきを唯一の喜びとし、残された命を鹿児島の地で変わることなく全うしたのだと思います」と記されていた。なお岩崎さんは2001年2月のレイバーネット設立以来の会員だった。(松原明)

*「四党合意」とは……2000年5月に当時の与党3党(自民・公明・保守)と社民党が合意。「JRに法的責任がないことを国労が認める代わりに組合員の雇用や和解金について検討する」という内容で、国労に提示。国労本部は受諾したが、闘争団は「私たちの人生を勝手に決めるな」と反対運動を展開し、結局、四党合意は挫折した。

●呼びかけ人・佐々木有美さんのメッセージ

 今年の2月、岩崎さんががんと知り、お電話で話したのが最後になりました。胃の調子が悪くて、何も食べられないが、これから治療に入るので、その成果がでるのが楽しみだとおっしゃっていました。声は元気でとてもその月のうちに亡くなるとは思えませんでした。ご逝去の知らせを聞いて、驚きましたが、どこか岩崎さんらしい潔さを感じたのも事実です。

 わたしにとって岩崎さんは、まず第一に国労闘争団の闘士です。2000年、国労本部が四党合意で闘争団を裏切り、闘争を収束させようとしたとき、岩崎さんは真っ先に「貫徹」グループを立ち上げ、反旗を翻しました。小柄な体に闘志をみなぎらせ、本部派と渡りあう姿は忘れられません。7月の臨時大会以後、いくつかの大会を経て、ついに2001年1月、四党合意は通ってしまいましたが、その後も反対の旗をまもり鉄建公団訴訟原告団として、東京にいて獅子奮迅の活躍をされました。

 ふだんは、ユーモアにあふれた優しい人でしたが、人間として労働者として筋の通らないことには徹底して闘ったのが岩崎さんでした。またお会いできないと思うと寂しくてなりません。でも、ダジャレの一つも飛ばしながら、どこかで見守ってくれているような気もします。岩崎さん、これからもどうぞよろしく。


Created by staff01. Last modified on 2017-06-26 16:32:00 Copyright: Default

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