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韓国サンケン労組16名が復職!〜しかし実態は「追い出し部屋」だった

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 昨年秋から、解雇撤回を訴えて日本遠征を続けている韓国サンケン労組。4月28日には、韓国の中央労働委員会が「解雇不当」「原職復帰」の命令を出した。組合員16名は、5月12日に復職したが、喜びもつかの間、迎えたのは、設備も何もないガランとした大きな部屋に16の椅子だけだった。生産工場の売却を進めている会社は、復職した組合員に、営業や技術・設計部門などへの配置転換を行うという。これは、生産現場の経験しかない組合員を自主退職に追い込む嫌がらせだ。国鉄分割民営化の時、労働者に仕事を与えず自主退職に追い込もうとした国鉄当局を思い出させる。

 5月17日、水曜日恒例のサンケン電気東京事務所(池袋・メトロポリタンプラザビル)前の集会が開かれた。組合リーダーのキム・ウニョンさん(写真)は、インタビューに「今回の会社の復帰命令は、中労委の出した原職復帰の趣旨とはまるで違う。わたしたちは、ほとんど監禁状態だ。これは労働権侵害のみならず人権侵害。絶対許すわけにはいかない」「会社は私たちと直接話し合い、原職に戻すべきだ。2015年2016年の株主総会で、生産部門の中止が決まった。2017年、今年の株主総会では、生産開始を決めさせる」と力を込めた。

 この間、18名の組合員が家庭の事情などで、やむなく会社の希望退職に応じた。ウニョンさんは、「わたしたちは彼らが去ったことについて決して非難したり、憎んだりしない。みんながあそこまでがんばったからこそ、解雇慰労金も増額されて受け取れた。今回の復職を最も喜んでくれたのは彼らだし、今の状況に心を痛めているのも彼らだ。彼らはまだ私たちの仲間だ」。彼女の笑顔が印象的だった。韓国サンケン労組は、職場復帰という節目を迎え、さらに本当の原職復帰へと闘いをすすめる。ウニョンさんは、ムン新大統領に直訴の手紙を書いたという。〔佐々木有美〕

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<現地の韓国サンケン労組・記者会見文>

韓国サンケンの欺瞞的な復職措置、私たちはさらに大きく闘い続けます

 現場に戻ろうと叫び、ようやく7か月ぶりに私たちは会社の中に入ることができました。会社側による一方的で急な復職命令でしたが、毎日テントに出勤するのではなく、私たちの汗と思い出がぎっしり詰まった現場に戻れるという期待に、笑い声も聞かれるほどでした。

 でも、工場に戻った私たちを迎えたのは機械でも人でもなく、がらんとした工場に並べられた椅子でした。そして、生産現場への原職復帰ではなく、営業職とR&Dセンターに行けという強要のみでした。会社側は地方労働委員会の復職裁定を履行するとしながら、「原職」ではない復職で、裁定を履行するかのようにしています。さらに、復職を実施しながら、労働委員会の不当解雇の裁定を不服とする行政訴訟を進めています。

 韓国サンケンの会社側は復職だとしていますが、元々解雇の理由としていた「生産部門の廃止と外注化」の立場は変えずに、むしろ労働協約の手続きを無視した生産工場の売却を進めながら、欺瞞的な復職を断行しました。

 数十年間、生産現場で働いてきた労働者を生産現場の売却と物量がないという理由で営業職と研究職に配置転換をすれば、今後会社側が再び解雇可能な手段になり得ます。業務の低成果と不適応などを理由に自分から辞めるように仕向け、解雇の手段として利用できる「偽装」復職命令の可能性になっています。このような狡猾な復職の憂慮にも関わらず、当面は復職を選択せざるを得ない状況です。しかし、私たちは「偽装」復職ではないことが確認される時まで、今の闘いを続けて行くことでしょう。

 私たちは生産部門の再稼働、工場売却の反対、まともな雇用を守るために闘い続けます。現在も韓国サンケンの工場に入出庫している納品と出荷を確認しており、日本の本社を通じて16人が働ける生産物量の確保は可能だと判断しています。会社は本当に事態解決を望むなら、このような「下劣なやり方の復職」により問題を矮小化しようとしてはなりません。雇用が保障されるきちんとした復職を求め、「現場に戻ろう」とする叫びは、さらに大きくなることでしょう。

 2017.5.15 全国金属労働組合慶南支部


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