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「若い人を育てることが運動」〜韓国サンケン労組・キムウニョンさんインタビュー

 このインタビュー記事は、2月20日に掲載した「私はこうして活動家になった!〜韓国サンケン労組・キムウニョンさん」の続編です。前回は生い立ちが中心でしたが、今回は運動面の話を軸に紹介します。【佐々木有美】

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 ウニョンさんが来日したのは、今回で5回目だ。1998年、初めて来日したとき、驚いたことがある。地下鉄の中が、とても静かでシーンとしていること。韓国の地下鉄は市場のように活気がある。日本人が話をする余裕もないほど疲れ切って生活もたいへんだとわかったのはその後だ。今回の遠征では、メトロコマース労組との交流で非正規労働者の実態を知った。またフジビ資本が労組へスラップ訴訟を起こしているのを聞いてショックを受けた。日本は政治的にも経済的にも世界で高い地位にあり、労働問題も先進国だと思ってきたが、実際はそうではない。むしろ韓国よりもいろいろな問題があることに驚かされた。

●自分の背中を見せて後輩を育てる

 韓国サンケン労組を支援する日本の人々の情熱と献身性に衝撃を受けると同時に、労働組合の多くの活動家が年配者で、若い人が少ないのも気になるという。この問題、どうすればいいのかと、彼女に率直に聞いてみた。「自分の人生の中で、大きな役割を果たしたのが高校時代の先生や先輩だった。わたしという人間を作ってくれた人たちがいたからこそ、今のわたしがいる。ある先輩は、『君がどれほど運動をよくやったかは、何人の活動家を育てたかということにつきる』と話した」。さまざまな経緯と要因があって、日本の労働運動の現状がある。でも一人一人が自分の背中を見せて後輩を育てることからしか、道は開けないとウニョンさんは話す。

●韓国サンケン労組の日常活動は

 それでは、韓国サンケン労組はどのように活動してきたのか。サンケン労組は、年17時間、業務時間内に組合員教育をする時間を勝ち取っていた。その中で、労働運動の意義、労働者の生き方、国内情勢などについて小さな班に分かれて勉強・討論する。組織争議部、文化体育部などがあって、定期的に会合を開き、自主的に活動していた。文化体育部では、ユルトン(律動)や歌の練習、映像作りなどもする。専門部の活動や提案は、必ず幹部会議に反映された。いつも一緒に考え一緒に行動する態勢があった。だから地域のさまざまな集会や闘いはもちろん、セウォル号沈没事件、キャンドル集会などにも先頭に立った。他の組合の人たちが行かないところにでも飛んでいった。

●大企業中心、幹部の保守化など問題山積

 韓国の労働運動についても聞いてみた。「韓国の労働運動は、大企業中心、男性中心の運動になっている」と話し出したウニョンさん。優秀な活動家がいても、小さな企業や、女性だと後ろに回されてしまう。民主労総の中でも企業利己主義がはびこり、指導部も大企業中心、男性中心の力学が働く。形式的な手続きや、権威主義が労働運動をむしばんでいる。現場は非常に生き生きしているが、幹部は保守化して、足踏み状況というのが現状だと厳しい評価が続いた。

●労働者階級の政党をつくること

 いま、韓国を揺るがしているパククネ退陣闘争。この闘いの中で労組はどのような役割を果たしているのだろうか。「労働者が先頭に立っているとは言い難い。労組は、国民とともにキャンドルを掲げる中で、政治的民主主義だけではなく、経済における民主主義、労働分野での民主主義を、社会の課題としてかかげる必要がある。いま、民主労総と韓国の民主勢力にとって一番大事なことは、四分五裂している野党の乱立状況を克服して、労働者階級を中心とする政党を作ることだ」とウニョンさんは力をこめた。 

●剃髪への思い

 剃髪姿がすがすがしいウニョンさん。韓国の運動では、最後まで闘うという決意を表明するために剃髪することが多い。親からもらった肉体に傷をつけてはいけないという儒教的な考えが韓国には色濃くある。しかし、それをやぶってでもという決意の高さに周囲の人は感動し、断髪式には涙するという。普通は、一回剃ってその後は伸ばすらしい。ウニョンさんとあと二人の仲間は、昨年9月7日に剃って以来、地労委の命令が出るまではと剃髪を続けきた。昨年12月には地労委で勝利命令が出たが、まだ3人の剃髪は続いている。

(インタビューは1月31日に収録。写真は2月22日のレイバーネットTV)


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