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LNJ Logo 根津公子の都教委傍聴記(7/28) : 民主主義のない学校で「いじめ対策」はできるのか?
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●根津公子の都教委傍聴記(2016年7月28日)

民主主義のない学校で「いじめ対策」はできるのか?

 公開議題は議案が≪来年度使用の都立中学校、特別支援学校小学部・中学部用教科書の採択について≫、報告が≪いじめ問題対策委員会答申について≫。他は非公開議題。5件の懲戒処分のほかに、≪いじめ防止対策推進法28条に基づく調査について≫が上がっていた。

 ≪教科書採択について≫は、小・中学校は4年に一度の採択で、4年間は同一の教科書を使うことが「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」によって定められている。採択は小学校が一昨年、中学校が昨年だったので、来年度は今年度と同じ教科書を使うことを確認した。

 ≪いじめ問題対策委員会答申について≫

 都教委がいじめ問題対策委員会に、「いじめ総合対策」に示された取り組みの進捗状況の検証、評価、いじめの防止等の対策を一層推進するための方策について諮問したところ(2014年10月)、その最終答申が出たとのことで、資料が配布され、答申内容についての報告がなされた。答申をもとに、今年10月頃の都教委定例会で「いじめ総合対策 第2次骨子」が、来年2月頃の定例会で「いじめ総合対策 第2次」を策定するとのこと。骨子には教員対象の研修プログラムと子ども対象の授業プログラムを示して、教員に研修を課し、来年度から「いじめ総合対策 第2次」を使って、全公立学校で取り組みを開始するという。

 答申に書かれた一つを挙げると――いじめの「未然防止・早期発見の取り組み」では、スクールカウンセラーによる全員面接を小5、中1、高1で実施。「早期対応の取り組み」では、児童・生徒のトラブルや気になる様子の情報収集、実態把握、いじめ認知、対応。「重大事態への対処」では、いじめをきっかけとした欠席日数が30日を経過したら重大事態発生と捉え、組織として調査・対応する、とある。

 「児童・保護者からいじめられて重大事態に至ったという申し立てがあったときには、重大事態が発生したものとして報告・調査に当たる。」「『いじめ発見のためのアンケート』を年間3回以上実施する」「社会全体の力を結集し、いじめ問題に対峙する。地域、関連機関との連携」等々も。明記しなくても当然行うだろうということも文字にしている。

 報告を受けての教育委員の発言は、「ポケモンゴーは夏休みに入ってからだから指導は難しいだろうが、教員に指導をしたか」とか、「いじめられたかいじめたかだけでなく、見て見ぬふりをしたかもアンケートで訊いてほしい」とか。

 木村教育委員の発言にはかなりの傍聴者がびっくり。「答申、よく行き届いている」と前置きして「(答申  は)子どもの目線ではなく、指導する立場からの書き方だ。イギリスやオーストラリアの学校では、『あなたは民主主義社会の一員だよ。あなたが黙っていると何が起きるか』と問いかける。子どもの組織を作ったらいいのでは」と。答申は確かに子どもの目線ではないし、木村教育委員が挙げたような子どもへの問いかけは適切な指導だと思う。しかし、である。職員会議での発言禁止や「日の丸・君が代」の強制など、都教委が学校の民主主義を奪い尽しておきながら、よくもこのようなことを言えるものだ。あきれ果てる。

 子どもがいじめを大人社会から学んでいることに思いを馳せ、弱肉強食、上意下達の大人社会を変革することが最も大事なことだという認識からの発言は、今日も皆無だった。また、膨大な事務量を押し付けて教員を忙しくさせ、放課後の教室でゆっくり子どもと過ごす時間を教員から奪っていることがいじめ発見を遅らせるのではないかという視点からの発言もなかった。子どもたちとの時間が確保できれば、アンケートに頼らずとも、子どもたちの様子は教員にわかるものだ。アンケート自体が密告を煽ることにつながりはしないか、とも私は杞憂する。

 非公開議題の≪いじめ防止対策推進法28条に基づく調査について≫は、重大事態のいじめが発生したことによる調査の報告のようだ。前回の続きか。

 前回の定例会で退出際に「声を発した」として教育長から「退場命令」が出された傍聴者について、私はこれまでと同じ措置かと思い、(次回の傍聴は禁止され、それ以降の傍聴からは宣誓書を書かないと傍聴させてもらえない)と記したが、都教委は新たに次の告示を出した。「次回」の1回ではなく、「次回から3回の傍聴は禁止」だという。ヤジが飛ぶのは議事運営に問題があるからか?と教育委員・教育長は一切思わないのだろうか。自己の言動を疑り振り返ることは大切なこと、と私は思うのだけれど。

■教育委員会告示 7月22日

「平成28年7月14日開催の平成28年第11回教育委員会定例会において、誓約書の内容を守ることなく議事を妨害する行為を行い、四度目の退場命令を受けた者が出ました。当該者については、傍聴人規則第2条に基づき、平成28年第12回教育委員会定例会から同年第14回教育委員会定例会までの傍聴を認めないこととし、当該者が再度傍聴を希望する場合には、決して再び議事を妨害しない旨の指定の誓約書を提出し、当該誓約書の内容を厳守することを前提に、教育委員会の傍聴席に入ることを認めることといたします。」


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