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『アジア記者クラブ通信』280号発行:軍産複合体の実態と役割を特集
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森広@アジア記者クラブ(APC)です。

『アジア記者クラブ通信』280号を発行しました。

軍産複合体の実態と役割を特集しています。

世界中の戦争とテロ、安保法制や辺野古の新基地
建設など国内情勢とも密接に関係した構図が理解
できる内容です。

海洋法条約の問題点が南シナ海の領有権紛争を激
化させているというカルマンの解説、リトビネン
コ殺害を巡る「プーチン殺害指示」説というトン
デモを見事に批判したレイモンドの解説、北朝鮮
情勢を巡るメディア、ジャーナリズムの混乱と迷
走を批判したアクロフの論考など秀逸な論考が集
めています。日本語では他では読めません。

最先端のオルタナティブメディアの現状をご確認
いただければ幸いです。

★2月定例会(2月24日)?22日(月)で予約終了です。
中野亜里さん『ベトナム戦争から40年後の現実』
http://apc.cup.com/


**********(280号の目次はここから)**********


★★特集:軍産複合体の世界支配と安保法制
『アジア記者クラブ通信』280号(2016年2月)
※本文は、通信本体でお読みください。


■定例会リポート(2015年12月9日)
日本占領期インドネシアの実像に迫る
戦時性暴力被害、開発独裁と日本
倉沢愛子(慶応大学名誉教授)

 3年半ぶりに実現した昨年の日韓首脳会談で一致をみた従軍慰安婦問題での「妥結」
が年末に両国より発表され、新たな展開が注目されている。慰安婦は中国や台湾、イン
ドネシア、フィリピンなどにも存在し、賠償の対象にすべきとの海外市民団体の声も報
じられた。東南アジアの地域大国インドネシアはオランダに支配された後、3年半の日
本軍政を経て独立。軍政時代は広範な日本同化策が施され、スカルノ初代大統領の失脚
につながる9・30事件後に登場したスハルト政権は開発独裁手法を通じて日本企業のイ
ンドネシア参入への道を広げた。戦中、戦後の両国はどのような関係にあったのか。日
本占領期のインドネシア研究に長らく携わり、『戦後日本=インドネシア関係史』(草
思社)の著書がある慶応大名誉教授・倉沢愛子さんにお話をうかがった。(編集部)


■イスラム過激派テロを操る米国の影の権力            
ジャカルタ事件を介し再考
ジョアキム・ヘゴピエン(元米陸軍将校)

 ジハーディストのテロ攻撃の背後には米国の諜報機関がいる。2001年の9・11(米同
時多発テロ)を契機に、イスラム過激派の“テロ”とCIAをはじめとする米英の諜報機
関との結び付きが強く疑われるようになった。元米陸軍将校で内部事情に精通した筆者
は今年1月14日にジャカルタで発生した同時多発型テロを分析して、「今回のテロ事件
発生のまさに直後において認識すべき最も重要なことは、現代史上実行されてきたあら
ゆるテロ活動は事実上欧米の諜報機関コミュニティによって国家資金で支援されている
ということだ」と言い切った。さらにイラク戦争に強く反対して不審死した英国のロビ
ン・クック元外相と、元米軍上級諜報機関員兼CIA工作員で内部告発したロバート・デ
ヴィッド・スティールの同趣旨の発言を引用して、その見解を補強する。本稿はジャカ
ルタでのテロを通じて、覇権国・米国の実質的な権力は一体誰が握っているかを改めて
問うている。(編集部)


■「地上軍は不派遣」とのオバマの誓いは骨抜き          
米国の真の支配者は?
マーティン・ベルガー(ジャーナリスト)

 本稿は米国の政権を背後で操る影の権力である「戦争屋」の実態を改めて指摘する。
「自由と民主主義の世界への伝播」を「明白な使命」としてきたアメリカ合衆国の歴史
のほとんどが実は対外戦争で埋め尽くされていたこと、さらにグローバル覇権国となっ
た第2次大戦後に米国が二重権力状態へと陥っていることを分かり易く説明する。その
直近の事例としてシリアへの地上軍派遣の決定プロセスを挙げる。ベトナム、イラクな
どでの失敗を教訓とするオバマ大統領の「地上軍は派遣しない」との誓約が背後で蠢く
戦争屋の代理人を務める共和党の“有力”議員や国防長官らの圧力で揺らいで行く過程
を描いている。本通信280号掲載の「イスラム過激派テロを操る米国の影の権力 ジャ
カルタ事件を介し再考」と併読されたい。(編集部)


■最新鋭兵器製造を「打ち出の小槌」とする軍産複合体        
国防利権に絡む病巣
ジョナサン・マーシャル(調査報道ジャーナリスト)

 有名なアイゼンハワー大統領の退陣前の演説を皮切りに、これまで多くの論者が肥大
化するばかりの米国の軍産複合体について警告を発してきた。だが本稿は一歩踏み込ん
で、米国が空軍や海軍の最新鋭兵器をいかにずさんに製造し、財政資金を浪費している
かについて具体的に数字を挙げながら説明する。空軍のステルス戦闘機F-35やF-22、海
軍の沿岸海域戦闘艦(LCS)などが実は欠陥だらけの“最新鋭兵器”であるにもかかわ
らず、国防利権に群がる巨大な軍需企業、連邦議員、米政府高官、米軍幹部の誰もが「
見ざる、言わざる、聞かざる」を決めつけている実態が浮き彫りされている。このイン
ナーサークル=軍産複合体はもはや軍事目的から遊離してしまい、兵器製造自体を自己
目的化して、「打ち出の小槌」としてしまっているのだ。彼らは常に米国の脅威となる
敵対勢力を「作り上げ」、国民の危機感を高めて、利権の確保、増大に努めてきた。こ
の病巣は米国のみならず大半の軍事大国で蔓延っており、日本も決して例外ではない。
本稿は本通信280号掲載の「『地上軍は不派遣』とのオバマの誓いは骨抜き 米国の真
の支配者は?」の姉妹稿をなす。(編集部)


■在外米軍基地は米国と世界を害している             
米国の絶対覇権への固執  
マット・ペッペ(ブロガー)

 日本では原発事故や新安保法制の確立を契機に戦後の日米関係の実態を深く掘り下げ
ようとする試みが盛んになった。言い換えれば、既成の戦後史観が抜本的に見直されて
いるのだ。その中核をなすのが日米安保条約、地位協定とそれに依拠する在日米軍基地
の再評価である。そこから日米間の安全保障を巡る法制が憲法を頂点とする日本国内の
法律を越えて「そびえ立ち」、政治・軍事的には半永続的に米国の占領下に置かれてい
る戦後日本が見えてくる。本稿は第2次大戦を契機に絶対的な世界覇権を追求し、国内
に軍事利益を享受する巨大な複合体を形成した米国が世界に網の目のように米軍基地を
張り巡らしたことによるさまざまな弊害を指摘するものだ。なぜ在日米軍が占領軍的地
位と治外法権を享受する一方で、米国政府が耳触りのよい「日米同盟」という表現で右
傾化する日本の世論を抱きこもうとしているかを理解する上でも重要な論考と言える。
(編集部)


■海洋法条約が歪める南シナ海の領有権紛争            
中国の膨張拒む米国
ブライアン・カルマン(アナリスト)

 本稿の最大の特色は南シナ海の領有権紛争を国連海洋法条約(USCLOS、1982年採択)
による領海や排他的経済水域(EEZ)の線引きの妥当性から論じたことにある。著者は
同条約のEEZsに関する条文が「際限のない議論を引き起こす十分な余地を残している」
と指摘した。また、数世紀にわたる南シナ海の領有権紛争は近年、大量の石油・天然ガ
スの埋蔵が確認されて一気に高まり、その「主役」を域内国の中国と域外国の米国が演
じ、舞台裏で米国のオイルメジャーと中国の巨大な国営石油企業との綱引きが展開中だ
。しかし、問題の根幹は19世紀末以来、太平洋全域を基本的に支配し、現行秩序の維持
に執着する米国に対し、中国がその打破を目指していることにある。著者は「公海上で
の航行の自由を米国が声高に唱えるのは公正さや利他主義によるのではない。地政学的
な駆け引きにおいて、真に利他的な意図を持っているとの認識はいかなるものであれ甘
い。すべての国は、時代を問わず、自国の利益のために行動する」と断言。旧来の発想
に依拠して、南シナ海の岩礁埋め立てを進める中国の行動に釘をさしながらも、米国の
グアムやサイパンや英国のジブラルタル領有などと比較すれば、米国が一方的に中国を
批判する根拠は薄れると指摘する。(編集部)


■北朝鮮の核攻撃を想定し先制攻撃に備える米韓          
北の4回目核実験を口実に
アンドレイ・アクロフ(ジャーナリスト)

 北朝鮮が4回目の核実験に踏み切ったことで日本を含め西側メディアの北脅威論はエ
スカレートし、米国の対北先制攻撃の動きを黙認するばかりとなっている。こんな中、
筆者は西側メディアが無視して報道せずにいる北朝鮮の米国への不可侵条約や自由貿易
協定の呼びかけにワシントンが真摯に立ち戻り、6カ国協議の再開を訴えている。言い
換えれば、2003年に実質決裂した、北の核開発プログラム凍結と段階的に米朝国交正常
化を進めるとの1994年の米朝枠組み合意という原点を見つめ直せとの勧告でもある。北
朝鮮指導部の経済政策の誤りや非人道的扱いは枚挙にいとまがないが、経済低迷の大き
な理由の1つとして、北朝鮮が米韓両国から攻撃される脅威を跳ね返すために、国防に
膨大な資金と人材を投入せざるを得ない現状があるのは衆目の一致するところであろう
。本稿はこの弱みにつけ入るかのように米韓両国が北朝鮮へ軍事力を誇示する不合理を
批判的に検討している。(編集部)


■民族解放から太平洋完全支配目論む米国に隷属へ         
現代ベトナムの分析
ジェームズ・ペトラス(ジャーナリスト)

 本稿は1975年の対米戦争勝利・民族解放から今日に至るまでのベトナム現代史を分析
したものだ。筆者は独自の社会主義経済体制を構築できず、再び米国をはじめとする西
側資本主義、とりわけ新自由主義に取り込まれてしまったベトナムの道程を振り返り、
結論として現状の腐敗体制を打破する方途を提示する。筆者によれば、現代ベトナムの
悲劇は、対外的には、米国が賠償を拒否したばかりか、国民と政府に報復的な経済制裁
を課して、屈辱的な敗北に復讐したのに加え、ソ連邦崩壊と中国の資本主義への転換に
よって中ソ両国とは別の資金調達源を探すことを余儀なくさせたことにある。国内的に
は、政治・軍事闘争では優秀で、対米戦争を勝利させた戦略家であったベトナムの革命
指導者が経済戦略では二流だったことである。結果、彼らは香港、台湾、中国本土の企
業家と結び付いた革命前のビジネスエリートの元に向かった。政治的に最も深刻な問題
として、南シナ海問題を巡り米国主導の中国封じ込め軍事政策に参加、日本と同様の対
米隷属の道を選択したことを挙げている。(編集部)


■極めつけの支離滅裂な「プーチン陰謀」論             
リトビネンコ事件の英報告書
ジャスティン・レイモンド(Antiwar.com 編集長)

 2006年に亡命先のロンドンで放射性物質ボロニウム被爆で死亡したリトビネンコ元ロ
シア連邦保安局(FSB)職員の殺害疑惑事件について、英国政府の独立委員会はこのほ
ど事件発生から10年経て「殺害はFSBの指示で行われた可能性が高く、恐らくプーチン
大統領の承認を得ていた」との調査報告書を発表した。英国メディアを中心に「リトビ
ネンコ殺害はプーチンの指示」との報道が一斉に開始され、邦字メディアは何ら検証す
ることなく欧米メディアを転電し、垂れ流し続けた。2014年の親ロ政権追放とウクライ
ナ政変、クリミアのロシアへの再編入、マレーシア機撃墜、ロシアのシリア空爆などを
西側は「悪魔の所業」とし、プーチン政権の悪魔化キャンペーンを続けている。本稿は
この流れの中で、事件から10年後に唐突に公表された報告書が結論部に「恐らく(prob
ably)」と記さざるを得なかった不自然さと証拠の欠如を厳しく糾弾する。「本当にそ
うなのか」と冷静に事件を検証しようとする筆者は「リトビネンコがロシアから持ち出
した放射性物質の密売に関与する中、自ら被爆した」との見方が最も自然と指摘する。
(編集部)


■実務家プーチンもうひとつの素顔(編集部)


■世界経済はリーマンショック前以上に危機的だ          
政府債務の削減を急げ
ワシントンズブログ

 中央銀行による量的緩和(EQ)や金融緩和策は債務危機を解決するどころか、世界経
済を破綻させるまでに公的債務を増大させるだけだ。本稿は世界のトップエコノミスト
であるウイリアム・ホワイト氏の発言を柱に据えながら世界の金融状況が2008年のリー
マンショックの直前以上に危機的な状況にあることを伝えるとともに、危機の唯一の回
避策が過剰債務の一掃であることを改めて強調している。これは間接的ながら異次元緩
和の名の下、無制限に政府債務を膨らませ、借入金(債務)によって投資ならぬ投機と
バブル経済を助長するアベノミクスを厳しく批判する内容となっている。尚、訳文中の
「参考」は原文に組み込まれた参考記事を必要に応じて抜き出し、その骨子を紹介した
ものである。(編集部)


■伊藤孝司の平壌日記

■核兵器のトリプルスタンダード(編集部)

■山崎久隆の原発切抜帖

■映画評:フレデリック・ゲルテン監督『バナナの逆襲』(スェーデン/2009・2011年
)

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