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「安保法制」のたたかいはどこまで来ているか〜高田健さんに聞く

    湯本雅典

インタビュー動画(4分)

 昨年9月の「安保法制」強行採決以降、闘いは衰えるどころかむしろ同法の廃棄に向け た行動が継続している。それは、今年7月の参議院選挙を目標にしているが、現状をどう 分析すればいいのか。「市民連合」や「総がかり行動実行委員会」で大きな役割を果たして きた「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」の高田健さんに聞いた。

●安倍内閣は、何をしようとしているのか

 この戦争法を実際にやろうとすると最終的には、引き続き憲法改悪をやろうとしている と思います。それが特徴的なことだと思います。この国を本格的にアジアで覇王となることができる国になる。その意味では彼らは、直接戦争がやりたいとかやりたくないとかではなくて、戦争ができる国としてこのアジアに確立したいというのが一番の狙いで、そのために憲法がじゃまということではないでしょうか。

●いい加減さが際立つ内閣

 安倍さんの計画というは、計画性があるようでない、ほとんど計画性がない。かなりいきあたりばったりのところがあって、ただ最終的なターゲットだけははっきりしているから、それに向かってどのようにすすむかは、彼も試行錯誤だと思います。今考えているのは、「緊急事態条項」を入れる。ついこの前までは、96条であったり、今回のように解釈改憲でやったり、いろいろやってみて、とにかくいろんな道をたどって最終的に憲法を破壊するというところに安倍さんの狙いがあると思います。バカな話があるのですけれども、戦争法を3月末に施行して、発動は5月という情報が去年はしきりに安倍政権から流れてきていたのです。5月頃にPKOの自衛隊をかけつけ警護で動かすという、ところが途中から11月だと言い直し始めた。これは途中に参院選があることを今頃気が付いたというか、法律を作るころから知っていたんだけど、急きょ5月から11月に変えたというところも彼らのいい加減さが出ていると思います。

●「緊急事態条項」の危険性

 私は福島出身なので、3・11のことをよく考えるのですが、同じ福島出身の佐藤正久(自民党参議院議員・自衛隊出身)がなぜ「緊急事態条項」が必要かと言えば、福島第1原発の爆発のときにタンクローリ運転手に福島までガソリンをもっていけと言ったら、運転手で断ったやつがいると。これは、今憲法に「緊急事態条項」がないからだと。あれば彼らに行けと命令ができたはずだと。こういうところから「緊急事態条項」が必要だという、とんでもない説明をするわけですよね。憲法18条には、いやな労働は強制されないというのがあって、それがじゃまになっているということなんだと思います。ただ佐藤の話を聞いていて思うのは、彼が例に出しているのは、ガソリンを運ぶ運転手さんだけれども、この手でいけばお医者さんでも、公務員でもなんでも、原発に関係する人ならだれでも強制できるというとんでもないことを佐藤正久は考えていると思います。 それは、ひとつの理由なのです。災害がおきたらどうするとか、戦争になったらどうするとかは一般受けすることで、それに対する備えがないということで憲法改悪を乗り切れると思っているのだと思います。

●「市民連合」の意味

 今回市民連合ができたことは、本当に画期的なことで、政党以外の団体が本格的に選挙にかかわって行動するというのは、80年代の「連合」以来なのですね。「連合」は労働組合が背景としてある団体ですが、今回は初めて市民団体が主体となって作って、安倍内閣の3分の2議席獲得を阻止しようとしている、これは画期的なことだと思います。一番の私たちのねらいは「一人区」の32か所で安倍を破る。そのことが最大の「市民連合」の狙いになっています。選挙ですから、各政党にとっては政治生命に関わることで死活のこと。連合を作るのは、簡単ではありません。熊本で候補者と「市民連合」が政策協定をむすびました。あと31で統一候補者を作って支援する仕事に、この1か月あまりの時期しか残っていないと思うのです。これは簡単ではないですが、各地でも「市民連合」のような運動を作っているので呼応したいということで悪戦苦闘の最中です。これをやらなかったら安倍に負けるわけで、民主党さん単独でも共産党さん単独でも、申し訳ないけど勝てないのです。勝てないのだから一緒にやるしかない。

●「2000万署名運動」の成果

 2000万署名は、本当にどこでもみんながんばっています。いい運動になったと思います。これが背景にようやく「戦争法廃止法案」が出せるところまできました。200万署名運動の影響は、大きいと思います。 今各地域で集約しているのでわかりませんが、この署名運動はだれでもできる、自宅でできる、いろんなやりかたができるのが特徴です。これは、デモとは違う意味があります。

●自分の市民運動の人生をふりかえって

 私はこの何十年かは、自称「統一派」なんですよ。いつも統一、統一ばっかり言い続けてきて、おととしの春ごろの日比谷野音の集会で、「私の夢は大連合を作ることだ」と言ったら、マルティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)の真似しているんじゃないかと言われて、からかわれたんですけども、それが実現できていて力になっているのがうれしいですね。こういう時代に、各潮流のリーダーたちが、今どうするんだと自分たちの運動を振り返ったんだと思います。一歩踏み切るという決断をした。実際には、これも持論なんですが、統一を阻んでいるのはリーダーたちなんです。そのもとで運動している人たちは、統一,連合を願っているのです。だから障害になっていたリーダーたちが決断すると、できちゃうんです。みんなが願っていたことだから。冗談で、安倍さんのおかげだと言えます。

(インタビュアー・文責:湯本雅典、取材:2月16日)


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