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改憲の動きに強い切迫感〜「憲法公布70年 秋の憲法集会」に400人

 11月3日、東京・千代田区水道橋の在日本韓国YMCAホールで、「憲法公布70年 秋の憲法集会」が開催された。主催は「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」。午後2時の開会を待たず参加者が続々と集まり、主催者は開場時間を繰り上げた。

 プレ企画として、お面をつけた3人による街中芝居「どうなるの?日本国憲法」が披露された。「日本人の手による憲法を」などと改憲論者は喧伝するが、こちらは素朴な問いかけ式の寸劇で、護憲の立場をわかりやすく明確に打ち出すパフォーマンスである。

 まず高田健さんが主催者あいさつをした。毎年5月3日には大集会が開かれるが、公布日の11月3日は、これまで注目されてこなかった。しかし今日は大新聞がこぞって社説で憲法に触れている。右派による「明治の日復活」の動きもある。「安倍政権は世論をうかがいながら、しかし究極の目的は9条を変えること」。「安倍政権を打倒する運動を作り、自衛隊を南スーダンから引き揚げさせよう」と高田さんは訴えた。

 9月に完成したドキュメンタリー映画『高江−森が泣いている』の一部が上映された。7月の参院選直後、全国から動員された500名の機動隊によって、抗議行動の拠点である市民のテントが暴力的に破壊された。その時の激しい衝突を記録した作品だ。このあと、民進・共産・社民・沖縄の風の野党からのメッセージが代読された。

 最初の講演者である栗田禎子さん(千葉大教授)は、「混迷する南スーダン情勢と自衛隊の派兵」について語った。南スーダンは2011年に独立したが、その後も内戦と和平を繰り返している。皮肉にも、植民地時代と変わらぬ富の分配をめぐる歪みがあり、独立前と同じ状態に陥っている。そんな地に日本政府は自衛隊を派遣している。今月末にも「駆けつけ警護」という新任務を付与する。現地の危険な状況は、これまでとはレベルが違うにもかかわらずだ。

「私はPKO活動じたいを認めていない」――栗田さんは力を込める。だが政府は、国連を経由することで巧妙に人々の不安や怒りを抑え込む。9条の破壊に向け、隊員に銃を撃たせ、実績を重ねようとしている。そこで自衛隊が死んでも、NGOらが死んでも、日本政府は国会で拍手をするだけでやり過ごすだろう。何も考えていない、関係がない。この繰り返しで経済と社会が軍隊化することは明らかだ。栗田さんは予定時間を大幅に超過して、熱く語り続けた。

 石川健治さん(東大教授)の演題は、「立憲主義の破壊と『戦後』の終わり」。昨年9月の安保法制の成立に至る一連の政府の強硬姿勢は、法律を動かさないことによる「法的安定性」を破壊したクーデターだ。違憲訴訟が起きているが、最高裁が合憲と判断すれば、敵のクーデターは完成する。そして新法もまた、法的安定性が求められることになる。

日本では、立憲主義と平和主義が密接に関係している。自民党草案では、現憲法13条「個人の尊重」が「人の尊重」に変えられている。人々はこれまで個人の自由を獲得し、その平和主義に運動が呼応して、70年間にわたって憲法を支えてきた。憲法を誰が作ったかは関係がない。敗戦という現実主義とユートピアとしての平和主義が競争することも重要だ。「『戦後』の終わりを、少しでも遠くへ追いやるために」。石川さんは最後まで落ち着いた語り口で講演した。

 250人の定員に対し、400人近くが駆けつけた地下ホール。座席はすべて埋まり、後部での立ち見、通路や階段・舞台前の座り込みでも収容しきれず、最終的には舞台の上にも椅子を用意するほどの盛況だった。

憲法審査会の議論が今月中にも始まろうとしている。人々の強い切迫感・危機感に満ちた集会は、時間を延長して閉会した。(Y)


Created by staff01. Last modified on 2016-11-04 22:46:42 Copyright: Default

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