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LNJ Logo 木下昌明の映画批評 : 岩崎雅典監督『福島 生きものの記録シリーズ4』
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●岩崎雅典監督『福島 生きものの記録シリーズ4』

震災後の福島「生きものの記録」〜被曝した「生命」追う4作目完成

 原発大惨事から5年半。いま福島はどうなっているか――人々は忘れ去ろうとしている。そんな中で鳥や獣や魚などから福島をみつめている映画監督がいる。

 『福島 生きものの記録シリーズ』の岩崎雅典。彼はこれまで「野生の王国」や「生きもの地球紀行」などのテレビ番組もつくってきた。その彼が惨事後の福島を中心に、行き場のない“生きもの”の移り変わりを撮り続けている。第1作「被曝」、2作目が「異変」、3作目は「拡散」と次々と公開してきた。

 そして今年、4作目の「生命(いのち)」が完成した。撮影は1作目から一緒に行動している明石太郎カメラマン。

 これまで福島の惨事を描いた映画は数多くあるが、それらは放射能によって故郷に住めなくなった人々に焦点を当てている。が、岩崎の映画はひと味違っていて、人々がいなくなった現地に生息する動植物に光を当てたものだ。

 本作では、被曝したシカやオオタカ、アカネズミ、イノシシ、サル、それにマツタケ類……それらの放射性セシウムの被曝量を調べる。特に飯舘村や浪江町などの帰還困難区域に入り、調査を続けている研究者たちに同行して、その生態を明らかにしている。もっぱら学術的調査なのに、これがみていて飽きない。

 牛と同じ白斑のツバメ、けもの道と化した道路。イノシシなどはエサが豊富なので、地元のハンターは「山さ帰んねべな」と呆れたり。カメラを設置すると、サルの大群やハクビシン、アライグマが次々に映し出される。それらを捕獲して検査すると、いずれも高濃度に汚染されている。「10万ベクレルのイノシシもいた」と若い研究者は事もなげに話す。

 シリーズを通し、人間の営みがなければ“生きもの”もまた生きていけない生態の危うさがみえてくる。そして生態系を破壊しているのが放射能である、と。
(『サンデー毎日』2016年10月23日号)

*『福島 生きものの記録シリーズ4〜生命〜』ポレポレ東中野にて10月15日〜28日、連日15時30分から1回上映


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