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この世の地獄!〜無差別空爆と虐殺にさらされるシリア民衆

  泥憲和(元自衛官・防空ミサイル部隊所属)

シリア 仏の決議案を8日採決へ 停戦と空爆停止 安保理 http://mainichi.jp/articles/20161008/k00/00e/030/236000c  フランスがシリア北部アレッポでの即時空爆停止と軍用飛行機の飛行禁止を提案するそ うです。  ロシアが拒否権を発動するに決まってます。  仮に西側が独自に飛行禁止区域を設定しても、そんなものをいまさらロシアが守るはず もなく、仮にシリア空軍が飛行禁止空域を飛んだとしても、ロシアと直接対決したくない 西側は手を出せないと思います。  フランスは善意の第三者を装っているだけ。ただのパフォーマンスです。  いまのまま戦乱が続いたら、たる爆弾で無差別に空爆されるシリアの民衆はたまりませ ん。  仮に空爆が功を奏して反政府勢力が敗れ、そのせいでラッカのイスラム国が生き延びた ら、シリアの民衆にとって恐怖です。  シリア政府がアレッポを奪還すると、おそらく住民虐殺を始めます。  それは、イスラム国の支配よりも恐ろしいことです。  シリア政府を打ち負かさなければ、シリア民衆に良いことはひとつもありません。  でもバックにロシアがついている限り、その方法がないのです。  ロシアは西側主導の秩序をひっくり返したいだけであって、あの地域を安定させる力も なければ信望もありません。その気もないでしょう。  民間人を何人巻き添えにしてもお構いなしに空爆したロシアのやり方で、ISはたしかに 痛めつけられました。  戦争は野蛮な方が強い。けれども、野蛮なだけでは秩序ある平和が作れません。  ロシアは久々に大国の貫録を示せて大満足かもしれません。  そのせいでシリアの民衆は希望を奪い去られるのです。  仮に革命勢力が力をつけてシリア政府軍を撃退できたとしても、統一性のない革命勢力 は互いに殺し合いを始めることでしょう。  あっちについたといっては住民を処刑し、こっちについたといっては拷問して殺す。  どう転んでも力のない民衆は暴力にさらされて逃げ惑うしかない。いや逃げる場所さえ 閉ざされつつあります。  この世の地獄とはシリアのようなことをいうのではないでしょうか。

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