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松本昌次のいま、読みつぎたいもの第10回 : 目取真俊「希望」 | ||||||
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目取真俊「希望」元米海兵隊員で軍属の男による、沖縄県うるま市の女性殺害事件に抗議する県民大会が、先月の6月19日、那覇市奥武山(おうのやま)陸上競技場で開かれました。参加者約6万5千人。1995年、米兵3人による、12歳の少女に対する強姦暴行事件に対する抗議の県民総決起大会(約8万5千人参加)以来の大規模な抗議集会です。主催は、翁長雄志知事を支持する社民・共産などの政党や企業でつくる「オール沖縄会議」。自民・公明・おおさか維新は不参加。人間の生命より政治的立場を優先する不思議な集団です。 新聞(朝日・6月20日付)によれば、1972年の本土復帰から昨年までに、米軍の犯罪事件は5896件、うち殺人・強盗・強姦などの凶悪事件は574件(県警調べ)に及ぶといいます。いうまでもなくこれらは表沙汰になったものだけで、ウヤムヤになったものがどれだけあるかは解りません。このように数字でしか言い現わせない一件一件が、どのような事実を背負っているか。それらは、政府・米軍一体となった「遺憾」「綱紀粛清」「再発防止」という常套句によって消去されてきたのです。と同時に、本土に住む人間たちの無関心によって。 県民大会で壇上に立ち、涙をぬぐいながら8分間のスピーチをした、名護市の大学生・玉城愛さん(21)が、静まり返った会場で、ぎりぎりまで悩み、しかしどうしても伝えたかったことは何んでしょうか。それは、沖縄を軽視しているように見える本土への怒りでした。彼女は訴えました。――「安倍晋三さん、日本本土にお住まいの皆さん、今回の事件の第二の加害者は誰ですか? あなたたちです。しっかり沖縄に向き合っていただけませんか」。(記事=奥村智司・吉田拓史)
いまから17年も前の1999年6月26日、「朝日」夕刊に、短篇というより掌篇といっていい400字詰原稿用紙にして5、6枚の目取真俊さんの小説が発表されました。要約の不備を恐れずに書けば、「今オキナワに必要なのは、数千人のデモでもなければ、数万人の集会でもなく、一人のアメリカ人の幼児の死なのだ」という声明文を残し、スーパーの駐車場にとまっていた白人の女の車のなかに残されていた三歳くらいの男の子の首を絞めて殺し、焼身自殺する男の物語です。題して「希望」。ヤマトゥンチューとして、この作品をどう胸に叩きこんで沖縄と向き合えるでしょうか。 *「希望」 『沖縄/草の声・根の意志』世織書房・2001年9月刊/目取真俊短篇小説選集3『面影を連れて(うむかじとぅちりてぃ)』影書房・2013年11月刊に収録。 Created by staff01. Last modified on 2016-07-01 18:12:45 Copyright: Default |