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記録の中から見えてくるもの〜映画『圧殺の海 第2章 辺野古』

    笠原眞弓

  *写真=抗議船を転覆させた海上保安庁 2015年4月28日 (c)鈴木桃美子

 藤本幸久・影山あさ子監督のドキュメンタリー映画『圧殺の海 第2章 辺野古』を観に行った。前作『圧殺の海−沖縄・辺野古』は1時間40分のほとんどが、闘争というか、キャンプシュワブのゲート前の座り込みと、大浦湾の埋め立て現場のカヌー隊行動の場面だった。たぶん今作もそうだろうと、分かっていた。だから、どんなふうに上映されるのかと、とても楽しみだった。

 私も、今年の2月には、遅まきながらゲート前に行って、監督の藤本幸久さんにもお会いしているし、山城博治さんの湧き立つような反基地の思いと、参加者を守ろうとする配慮にも接していた。たまたまその日は工事資材の搬入などなかったものの、ゲート前では日の出前から座り込んで歌を唄った。そんな経験を下敷きにこの映画を観ていると、警官の動きなど、『圧殺の海』よりリアルに感じられたのは当然かもしれない。

師匠の言葉に従って「記録」に徹する


  *映画から (c)森の映画社

 前作が翁長知事誕生で終わったので、このフィルムは、そこから今年の3月までの1年3ヵ月ほどの「記録」だった。藤本さんは、「我が師匠、土本典昭監督は『記録なければ事実なし』と言っていた。ナレーションもインタビューで相手に聞くのも、こちらの言いたいことを言わせていることになるので正確な記録とはいえないと思うから、それらも出来るだけ排除した」と言う。

警備する人々の本音

 前作で影山さんの首を締め上げた海保のお兄ちゃんもまた出てきた。ゲートの通行を確保している県警の「にーに」たちは、時に表情を緩めることもある。平気でウチナンチューのおばぁやおじいを罵倒して引っ掴む警視庁派遣警官。「危ないですから」と声を掛けながら、乱暴に肩を確保して運んでいく。フェンス越しにカメラを回す海兵隊員たち。次々新しい戦術を編み出しながら、不屈に攻防を繰り返していくゲート前。

 海上では、抗議船の「にーに」に言い負かされて思わず本音を吐く海保の若者がいる。カヌーと海保の黒ボートが入り乱れ、もつれていたと思うと、悲鳴と共に画像が突然水中になる。転覆させられ、ヘルメットに取り付けたカメラが潜っているのだ。「もっていかれた」人を救い出すために、県警前での徹夜の座り込みもする。その声がどんなに孤独を癒し、闘う気力を保ち続けられたかと釈放された人は言う。

「沖縄に寄り添う」ということは


 *映画から (c)森の映画社

 時々、翁長知事と官邸との裁判経過などが挟まって、時の経過もわかる。「和解」後に本土から話し合いに来たという防衛庁の役人など国側の人たちが全員、上等なかりゆしを着ていた。それって、安倍のいう「沖縄に寄り添う」ということなのかと、吐き気がした。たくさんの県民、本土からの参加者が辺野古の海を守っている。映画の中で、知人が声を上げている。もみくちゃにされている。そんな中で今回の「記録」は終わった。

私も沖縄に行ってもいいんだ!!

 前回の『圧殺の海』では、沖縄の知人はいても、本土の知人はほとんど映っていなかったが、今回のには国会前でたびたび見かける方など知人が何人かいた。それだけ沖縄・辺野古が、私はもちろんみんなの中で近くなったんだな、だれでも行っていいんだと思えるようになったと感じられた。連帯の輪は確実に広がっている。

*6/25から8週間ポレポレ東中野にて公開。大阪・沖縄上映中 全国展開予定


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