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3.11 あの時のことを忘れるな!〜映画『太陽の蓋』が描く「官邸・記者・東電」

    ジョニーH

 6月16日に、安倍晋三自公政府と東京電力が雇った第三者委員会が、調査結果として、事故発生当時の記者会見で東電担当者が「炉心溶融」「メルトダウン」を隠蔽していたことをやっと発表した。

 その際、東電広報担当者が記者からの質問に対して答えようとした直前に、清水正孝当時社長からの伝令がやってきて、広報担当者の耳元で「官邸から『炉心溶融』とか『メルトダウン』という言葉を使うなと・・・」とささやくシーンが、字幕付きで公開された。

 これに対して、当時の総理官邸では「そんな指示はしていない」と否定した。当時の枝野官房長官が「炉心溶融の可能性がある」と記者会見しているシーンも公開された。そして、第三者委員会は当時の総理官邸には確かめていないと堂々と言っている。

 冷静に考えると、清水正孝当時東電社長が「官邸から『炉心溶融』『メルトダウン』という言葉を官邸から口止めされた」と嘘を言っている可能性が高いことが判る。それなのに東電から雇われた第三者委員会は、当時の官邸を悪者にして東電をかばうメディア操作をしているのは明らかだ。

 翌日の6月17日、記者会見をした民進党枝野幸男氏からは、安倍晋三自公現政府による参議院選挙前のネガティブ・キャンペーンだと、この第三者委員会に対して抗議をした。

 なんだかはっきりしないのだが、このモヤモヤを解消することのできる映画ができた。佐藤太監督作品『太陽の蓋』だ。

 「真実は小説より奇なり」とはよく言ったものだ。今年7月に公開される映画『太陽の蓋』は、2011年3月11日の大地震後の5日間、福島第一原発で刻一刻と起きていた事故に向き合っていた「総理官邸・新聞記者・東電」の内部の人たちの動きを事実に基づき、わかりやすくテンポよく、描いている。そして、まるで三谷幸喜あたりが脚本を手掛けたかのように、軽妙にストーリーが展開し面白いのだ。

 ほとんどが偽名で登場するのだが、たぶんこの人だなとわかる。逆に当時の閣僚は実名で登場し、おなじみの俳優が演じている。菅直人内閣総理大臣役は三田村邦彦、枝野幸男内閣官房長官役は菅原大吉、福山哲郎内閣副官房長官役は神尾祐と、最初は一見して本人とまるで違った印象だが、さすがベテラン役者たちで劇中でだんだんと似ていく。官邸担当記者役の北村有起哉は映画初主演だが、落ち着いた演技で、ストーリーを回している。

 そして、コミカルでインパクトがある節目節目で、リアルタイムに自分(観客)は何をしていたかを思い出させてくれる。政府もマスメディアも東電から隠蔽されていた初めの3日間は、インターネット上で、いろいろな噂が飛び交ったが、この映画を観ていくうちに整理ができた。そして当時自分が何をし、どんなことを考えていたのかを思い出させてくれる。

 原発推進の安倍晋三政府と東電は5年もたてば、日本人はすっかり原発事故のことを忘れてしまうと考え、インチキな情報を平気で発信している。だからメディア・リテラシーを守るためにも、この映画を観ておさらいしておくとよい。

 首都圏壊滅がたまたま免れたことで、私たちはこの映画を冷静に楽しんで観ることができる。それと同時に、政権が変わっても、原子力ムラ優位の総理官邸と東電との力関係は現在も変わっていないことに気づき、うやむやの理屈で原発再稼働が進んでいる恐ろしさに愕然としてしまう。

 そして、この先も原発関係の担当者は、事故の責任を問われるたびに、開き直って言い訳するのだろう。「私は専門家ではない」と・・・。

*映画「太陽の蓋」は2016年7月16日(土)から渋谷ユーロスペースより全国順次公開される。

『太陽の蓋』オフィシャルサイト→ http://taiyounofuta.com/

『太陽の蓋』予告編→ https://www.youtube.com/watch?v=CKqMQxP5qjw


Created by staff01. Last modified on 2016-06-18 16:45:24 Copyright: Default

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