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LNJ Logo 戸田ひさよし : 「北朝鮮の水爆実験に抗議する市議会決議」に反対した理由
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投稿者 : 戸田ひさよし

大阪府門真(かどま)市議の戸田から諸氏へ。(転載・コピー等自由)

■あなたが議員ならどうする?

 1/7(木)本日朝、議会事務局から
  「北朝鮮の水爆実験に抗議する市議会決議を出そうという提起が上がってい
   るが、戸田議員の意向はどうか?」
 という電話があった。

  これに対して戸田はいくつか理由を挙げて「私はその決議を出すことに反対
 だ」と述べた。
  議会閉会中に市議会決議を出すのは異例中の異例で、門真市の先例では、
   「全議員が賛成する場合のみ、案文を回覧して確認し決定する」、
 事になっており、
   「ひとりでも反対者がいれば、決議を出すのは取りやめされる」
 との事だった。
  (あえて臨時議会を開いて多数決で決議する事はしない)
 
  戸田の反対意向とその理由が議長副議長に伝達され、その結果、正式に、
 「門真市議会としては北朝鮮の水爆実験に抗議する決議は出さない」事になっ
 た。(門真市長からは朝鮮と国連の朝鮮代表部への抗議文が出されたが)

  ▲もちろん、決議に反対したのは戸田のみである。
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 【なぜ戸田は抗議決議に反対したのか?】
              (議会事務局への回答後に考えた事も含めて)

1:門真市は「非核平和都市宣言」をしており、「あらゆる核実験に反対する」
 立場だし、朝鮮の水爆実験については、「西側諸国」だけでなく国連も中国や
 ロシアも非難しているし、「東アジアの非核化」に逆行する事ではある。
  そういう意味では、門真市議会で「北朝鮮の水爆実験への抗議決議」を上げ
 るのは、「当然の流れ」であって、現在の「市民感情」、「国民感情」からし
 ても、それに議員として公式に異を唱えるのは、困難が多い事である。
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2:◆しかし、「問題の根源は何か?」を考えた時に、朝鮮が核兵器保有強化に
 走る原因となっている(朝鮮への悪意の立場からすれば「口実になっている」)
 のは、
 1)アメリカが、朝鮮戦争終結(1953年)以降63年めになってさえ(!)、朝
   鮮がいくら求めても「戦争終結」を認めて「停戦協定を平和協定に切り替
   える」事を拒否し続ける。

 2)アメリカが「核兵器の先制不使用の宣言」を決してしようとせず、また、
   「朝鮮の政権転覆攻撃をしない」との姿勢表明も決してしようとしない。

 3)アメリカが毎年必ず、「朝鮮爆撃占領計画」に基づいた、その本番実行に
   いつでも切り替えられる超大規模な軍事演習を朝鮮直近で実施して威圧を
   かけ続けて、決してやめようとしない。

 4)アメリカが「敵」と見なし、かつ「核兵器を持っていなかった国」が、次
   々とアメリカの軍事攻撃によって「国家存在そのものを破壊されてきた」
   現実が山積みである。
    (理不尽でデマだらけの非難宣伝も含めてその国が「悪魔的な独裁国家」
     に描き上げられて、「自由と民主主義のための戦争」が発動されて!)
   「つい最近の例」だけ挙げても、アフガン、イラク、リビアがそうであり、
   シリアがその危機にさらされ続けている。
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3:◆そういう現実がある以上、朝鮮が「明日は我が身」と思ってハリネズミの
 ように身構え、「アメリカに朝鮮国家破壊戦争を思いとどまらせる唯一の手段」
 として核兵器の開発強化に突き進む事、それだけを取り出して非難するのは、
 決して公正な姿勢とは言えない。

  朝鮮の核兵器政策を非難するならば、少なくとも「アメリカが異様に長く継
 続させている『停戦状態』を終結させて朝鮮との平和協定に切り替え、毎年の
 挑発的な軍事演習を止める」状態になってからでないと、朝鮮への説得力を持
 たないのではないか? 
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4:「被爆国日本」として、各地各団体で、隣国の水爆実験に非難決議を挙げる
 のは、ある意味で当然の事ではあるが、アメリカによる国家破壊戦争の脅威を
 現実に受けている(少なくともそう感じている)状況の根本問題への考慮を抜
 きにして、朝鮮の核兵器実験のみを「日本の朝野を挙げて非難し続ける」事は、
 今後もそれを続けていけば、かつての「暴支膺懲世論」と同質のヒステリック
 な「朝鮮撃滅世論」にすぐに行き着いてしまうのではないだろうか?

  そうなった時に起こってくるのは、「朝鮮への非難憎悪の感情を共有しない
 者は非国民だ!」、「在日コリアンは朝鮮という敵に手先だから粉砕しろ!」
 「『アメリカ側の問題点』を言うヤツは日本の敵だ!」、等々のヘイト攻撃で
 あり、それは既にかなり実現してしまっている。

  少なくとも「コリアンも含めた全住民の護民官であるべき議員」として、そ
 の流れに追随してしまって良いのか? 決して良いとは思えない。
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5:■少なくとも「言論の府たる議会」においては、ありきたりのひな形文書の
 回覧のみで「議会決議」を挙げるべきではない。
  議会を開いて、決議案の文面調整をしたり、質疑や賛否の討論を公開の議会
 の場で行なう、という前提の上で「重大時事問題に対する決議」を行なうべき
 だと考える。
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▲本日1/7(木)の大阪のニュースでは、摂津市市議会などが「北朝鮮水爆実験へ
 の抗議決議」を上げた事が報じられていた。
  明日1/8(金)のニュースでは、もっと多くの自治体議会で上げた事が報道さ
 れるだろう。
  しかし、明日1/8(金)に「議会で決議を出すかどうか」が議員に打診される
 議会も多いはずだ。

■「議員であるあなた」は、どう対応したか? もしくはどう対応するか?
 
 「その時、日本の議員達はそれぞれどういう対応をしたか?」、が歴史に問わ
 れる問題である。 

 かつてアメリカの「9・11事件」直後に、アメリカの国会で対アフガン戦争
 ・対「テロ」戦争を発動させる法律にたったひとり反対した女性議員がいて、
 その人の勇気と良心を称えた日本の活動家や議員が、それなりの数で存在した
 が、「この日本で」、「今」、「北朝鮮の水爆実験への全国民的な非難世論」
 の中で、この件で、「議員としてのあなた」がどうするか、が問われている。
 
 1/7(木)23:27 戸田ひさよし 拝

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*  戸田ひさよし(門真市議・鮮烈左翼「革命21」)  toda-jimu1@hige-toda.com
*  ヒゲー戸田HP http://www.hige-toda.com/  
*  事務所;大阪府門真市新橋町12-18 三松マンション207
*         TEL;06-6907-7727 FAX;06-6907-7730 
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