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「首切り自由」先取り判決を弾劾する!〜「郵政65歳解雇無効裁判」で不当判決


   *写真撮影=内田正

 7月17日、東京地裁で「郵政非正規社員65歳解雇無効裁判」の判決が言い渡されました。原告の請求をいずれも棄却する判決でした。判決は、会社の言い分をコピーしたような、非正規雇用というものの本来的なあり方や労働実態を考慮せず、また、解雇に至る手続きや条件の不備を一顧だにしない不当なものでした。

 裁判長に聞きたい。では、「非正規労働者は定年後、どのように 生きればよいのですか?」 このような判決を確定させれば、2千万非正規労働者に影響が及びます。原告団は、控訴を決意しました。控訴審へのご注目、ご支援をお願いします。

 以下に、声明を貼り付けます。ご一読いただければ幸いです。(原告=丹羽良子)

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声 明
「郵政非正規社員65歳解雇無効裁判」判決を弾劾する


 さる17日、東京地裁民事11部(佐々木宗啓裁判長)で郵政非正規社員の65歳解雇を全面的に肯定する不当判決がなされた。われわれは、この不当判決を徹底的に弾劾する。

 被告日本郵便は、民営化に際して就業規則で非正規社員の契約更新限度を65歳とする規定を設けた理由として、当初、65歳を過ぎると仕事能力が低下し事故が起きやすくなるなどと主張していた。しかし、われわれの正鵠を射た批判により完全に論破され、追い込まれた結果、被告側鈴木証人は、証人尋問において、民営化すると非正規社員にも解雇権濫用法理が類推適用されるようになり、更新限度を設けないと円滑に雇止めできないとした。すなわち、65歳更新限度が業務遂行能力の問題ではなく、「首切りのためのスキーム」であり解雇権濫用法理の脱法措置であることをあけすけに語った。他方、諫山日本郵政副社長は、国会で議員の質問に対してこの証言を否定する答弁をするなど、被告の主張の論理矛盾が露呈した。

 ところが、東京地裁は、会社側の「首切りのためのスキーム」であるとの本音にとびつき、この就業規則の不利益変更に合理性があるとして全面的に擁護した。そして、普通に解雇権濫用法理が類推適用されれば原告らは解雇無効だが、65歳雇い止めの就業規則の適用に際しては解雇権濫用法理は類推適用されない、とし、会社側の主張をカーボンコピーしただけの不当・脱法判決を出した。

 いうまでもなく、非正規社員は正規社員と同等の仕事をし、非正規社員が正社員に仕事を教えることさえあるにもかかわらず、賃金は正社員の3分の1程度、退職金は何年働いてもゼロという劣悪な労働条件である。65歳から年金が支給されるといっても、元々の賃金が正規社員の3分の1では、年金だけでは生活できず、引き続き職を得て働かなければならない。

 判決は、このような非正規労働者の現状と本件解雇によって受ける不利益を一顧だにしない。判決が考慮するのは、「首を切りたいときに切る」との企業利益だけである。まさに、資本が狙う「首切りの自由」を先取りした判決であり、「首切りの自由」を先導する本判決を強い憤りをもって弾劾する。

 時あたかも労働者派遣法改悪案が衆議院で可決され、総非正規化の動きが強まっている。本判決が、生涯派遣を強要するこの動きとも連動していることも無視できない。

 われわれは、不当判決にくじけることはない。控訴審で必ず逆転勝利して、「首切りの自由」と総非正規化の流れを阻止することを誓うものである。

2015年7月17日
「郵政非正規社員65歳解雇無効裁判」原告団
「郵政非正規社員65歳解雇無効裁判」弁護団
「郵政非正規社員65歳解雇無効裁判」支える会


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