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おかしいNHKの「戦争法案」テレビ中継〜電話取材でただす

                    西中誠一郎

 5月26日から安保関連法案(戦争法案)の国会審議が始まったが、26日の衆議院本会議と同様、29日の衆議院「平和安全法制特別委員会」のNHKの国会中継は、新聞のテレビ欄に載っていなかった。27日、28日の同委員会の審議はテレビ中継されたので、なぜ29日はしないのか、国会審議が始まった午前9時過ぎにNHKに電話して聞いてみた。    「ふれあいセンター」スーパーバイザーの回答によると、NHKが国会中継するのは以下の3つのケースだという。

(1) 本会議での施政方針演説や首相の所信表明演説と、関連する代表質問を放送する。

(2) 衆参両院の予算委員会の基本的質疑のうち、各会派の第一巡目の質疑を放送する。

(3) 党首討論や国民的関心の高い重要案件を扱う委員会の質疑などは、適宜総合的に判断して放送する。

 29日のケースは(3)に該当するはずなので、「適宜総合的に判断する」の内容を確認した。以下のような回答だった。

 「昨日、一昨日の委員会で、自民、維新、公明、共産党の質問があり、首相が答弁しました。安保法制は内容が多岐に渡り、通常国会の会期中ずっと審議されます。本日の委員会に安倍首相が出席しないことが、昨日の夕方に分かった段階で、番組編成局の担当者が国会中継しないことを決めました(安倍首相は29日午前、参議院本会議に出席)」。

 回答はさらに続いた。「総合的な判断とは、国会記者クラブや議員運営委員会などの担当記者の情報に基づく、番組編成局の判断です。各党が事前提出する質問内容や、首相の出席の有無などで判断します。野党の中には、いじわるな人が突然質問内容を変えて、政府与党が答えられず混乱するケースもあります。そのようなことも含めて、番組編成局で自主的に判断します」。

 「いじわるな質問? 随分と政府与党の都合に合わせて、判断するのですね。与党側から中継しないように言われたのですか?」。「いいえ、自主的な判断です」。これでは納得がいかない。

 続いて衆議院事務局広報課に電話した。

「昨日の夕方『平和安全法制特別委員会』の理事会で協議して、政府側の答弁者が決まりました。本日の出席大臣は、防衛大臣、外務大臣です。テレビ中継については、『衆議院委員会先例集』に基づいて委員会が申し入れを許可しますが、本日の中継についてはNHKの申し入れはありませんでした」とのことだった。

 やはりNHKの「自主的な」判断に基づいて中継しないのだろうか? 首相欠席での審議も中継すべきではないか? 本当に与党側の判断は働かなかったのだろうか?

 衆議院事務局は、29日の質問予定議員の名前と時間帯をすべて教えてくれたので、その一人、沖縄選出の共産党•赤嶺政賢衆議院議員事務所に電話した。

 「これだけ重大な法案ですから、26日の特別委員会の理事会で、野党側は、冒頭4日間の審議すべてに、総理、全大臣出席での『総括質疑』を求めました。しかし与党側は最初の2日間は総理出席で総括質疑を行い、1日おいて来週月曜日に総理出席で集中的に総括質疑を行いテレビ中継もすると決めました。今後も集中質疑を10数日間やるべきだと求めていきます」とのことだった。

 結局、この電話取材の直後に口永良部島の火山が噴火しNHKはその緊急放送に追われた。戦争法案の特別委員会も民主党•後藤祐一衆議院議員の質問に対する岸田外相の答弁内容で紛糾し、冒頭一時間で野党が退席し散会してしまった。NHKは衛星放送も含め5つのチャンネルをもっている。安倍首相の出席の有無で質疑内容がどう変わるのかについても、NHKはテレビ中継すべきだ。


Created by staff01. Last modified on 2015-05-30 09:23:36 Copyright: Default

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