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沖縄の一人ひとりの思いが寄せる渚の抵抗運動〜映画『戦場ぬ止み』

                   笠原眞弓

ドキュメンタリー映画『戦場ぬ止み (いくさばぬとぅどぅみ)』を見た。

 海保と防衛局の大きな船とたくさんのボートが大浦湾に出て、たった数隻の基地反対の漁船とカヌーを制圧する風景は、異常としか言いようがない。その闘いの合間を縫うように、闘いの現場に立つ人々の一人づつの想いが語られていく。闘いの現場とは、それだけが日常から切り離されてあるわけではない。毎日の流れの中に闘いがある。

 三上智恵監督の前作、『標的の村』でもそんなことを再確認させられる映画だった。だからこそ、この2作目にも大きく期待していた。そして、それは、裏切られなかった。おばあは語る。闇夜に水を探して弟に飲ませた。朝見れば血の混ざった池の水だった。そ んな戦中を生きてきた。だから、トラックの前で、びくとも動かないのだ。

 17年前、辺野古移設反対を生きてきた親子がいる。17歳になる息子は、将来を語る。弁護士かな?人の役に立つことしたいといいながら、警官もいいかなという。中に入って、内側から反対側になるように崩していく…と、健康な笑い声を立てる。ふたごの妹たちも、どうしたら止められるかと、考える。毎週家族でするロウソク抗議は、怖いけど怖くないと首を傾げながら話す。測量が終わって台船を取り払う日、ウチナンチュウの海保と今日は祝いだから、ヤギ潰して焼き肉パーティーだと海の上で約束している若者たち。

 おばあが救急車で運ばれたあとで、「機動隊隊長、責任とって今すぐ辞表出せ。それだけの体力があったら、我々の隊長に抜てきしてやる」とトラメガが叫び、両陣営に穏やかな空気が流れ、若い機動隊員の顔が笑いをこらえてひきつる。

 山城博治さんは、あなた達は、敵ではないとも県警や機動隊によびかける。そして、逮捕者が出たと聞けば、何があるかわからないから今日は解散し、明日は、奪還に集中するという。一番弱いところ、一番困っているところを助けるのが、民衆運動だからといいながら、山城さんは、みんなの想いを確認する。

 翁長さんが知事になる。勝利をカチャーシーで表したのもつかの間、再開された工事に、また立ち向かっていく。沖縄が変わったら、本土が変わってほしいというおばあの言葉が深くしみる。

 山城さんは、高校生の時から反基地運動に打ち込んでいたといい、愛唱歌「ウィシャルオバーカム」を歌い出す。映画館内からも、それに唱和する声が聞こえてきた。思わずの拍手や笑い声に、場内もまさに辺野古になった感覚に囚われた。

 ポレポレ東中野で一日一回(夕方)の先行公開中だが、あまりの人気に、6月1日を抜かした6月5日まで、夜の部(21時から)が追加された。


Created by staff01. Last modified on 2015-05-24 10:43:32 Copyright: Default

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