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会議のお粗末さに驚きあきれる〜都教委定例会の傍聴を続けて

                       佐藤茂美

 私が月2回(第2と第4木曜日)の東京都教育委員会・定例会を傍聴するようになったのは、3年前からだと思う。させない会で「君が代」処分も、都の教育政策の全般もそのすべてが都教委定例会で決定されている。どんな話し合いをしているのかしっかり監視しようということになったからだと記憶している。させない会で暇なのは私ということもあり、定例会傍聴をする羽目になってしまったのだ。ところが、仕方なく定例会を傍聴してみると、その会議のお粗末さに驚き、あきれてしまった。約1時間ほとんど議論らしいこともなく、会議は進み、事務方の言うなりに内容は決まってしまうのだ。「こんな会議で処分や東京都の教育政策が決定されていっていいのであろうか。よし、しっかり監視し、その様子をみんなに知らせよう」と考えるようになり、まともに定例会を傍聴するようになった。

 それでは定例会を傍聴して感じること、印象に残る人(傍聴しているのはさせない会だけではなく、毎回10名ほどが傍聴。)などについて報告する。

 世の中の右傾化がますます加速化していることは周知の事実だ。都教委も会議は相変わらずお粗末だが、その権威主義、権力主義が増していると痛感する。傍聴し始めのころは、あまりのお粗末な会議にあきれ、会議の是正を求める声を上げた傍聴者が警備員によって退場させられるということは何度かあった。しかしそのことでペナルティーを課せられるということはなかった。ところが1年前からであろうか、傍聴者の後ろに教育職員が10数名座り、傍聴者一人一人の言動を克明にメモし、ペナルティーを課す証拠集めを始めたのだ。傍聴者の言動調査は違法だとの我々の抗議でいったん止めたのだが、最近はこの傍聴者言動調査が常態化している。そして権威を振りかざし、傍聴させないというペナルティーを課してくるようになった。

 定例会では、発言者の声がよく聞き取れないことがしばしばある。そこで、「聞こえません」と一言訴えただけで「議事妨害、退場を命ずる」と木村委員長が叫び退場させられてしまう。またある日の定例会の議題に、教育問題とあり、プライバシーに関する案件でもないのに、なぜか非公開となっていた。事務方に尋ねるも要領を得ず、疑問をただすため定例会で尋ねると即退場させられてしまったのだ。退場2回の人は「次回は声を上げるなどの妨害行為を決してしません」と誓約書を書かされる。退場を3回食らうと無条件に次回は傍聴できない。傍聴するためにはまた誓約書を書かなければならない。

 今、退場2回の人は、させない会の3名、そして3回の人(いまだに傍聴を拒否されている)が1名。私たち3名は都教委定例会の様子、内容を世間に公開する使命から退場処分を回避せざるを得ません。理不尽な議会運営に、うずうずしているがじっと我慢しているのが現状だ。

 もう一つ都教委の権力主義を示す事例を上げると、検定を通った実教出版の日本史教科書を各高等学校に採用しないよう強制することを決定した定例会のこと。都教委の見解と題した各学校への通知が読み上げられた後、木村委員長は、上目使いに委員を一人一人にらみつけ、「異議ないですね」とばかり恫喝したのだ。乙武委員はすっかり縮み上がってしまったことが傍聴席にも伝わってきた。委員5名「異議ありません」。「君が代」処分も、こんな調子で非公開の席上、何の議論もなしに決まっていくであろうことは容易に想像できる。許すわけにはいかない。

 次に定例会傍聴にかかわっている3名の気になる、印象に残る人について取り上げる。

 Sさん:9:30ごろ整理券を配布する30階に来るにもなかなか待合室には到着しない。途中、教育委員会事務室を“守る”ため立たされている職員にやさしく怒鳴りつける。そのど迫力、「何の仕事をしているのか答えなさい」と的確な指摘に職員は体を固くして、下を向き続ける。答えないとまたたたみかけるように叱責が続く。そこでなかなか部屋まで到達できないのだ。また傍聴席に入るや否や、「木村、まだやっているのか、長すぎる早くやめろ」とまくし立てる。即、退場させられてしまう。またある時は「比留間、お前は今年2回も処分を食らっている。お前こそ減給処分だ」すぐ退場処分。一度だけおとなしく傍聴していた時は本当につまらなそうにしていた。理不尽なことには黙っていられない根っからの体質を持っているのではないか。しかしやみくもに怒鳴り散らしているのではなく、しっかりと調べ、理路整然と相手を吊し上げる。彼が登場するとその場はピーンと張り詰める。本当に存在感のある人だ。

 次にOさん:彼は来るとSさんと同じように立ちんぼう職員に話しかける。やっぱり見識があるので職員は何も答えられず直立不動で立ち尽くすだけだ。しかしかれは決して罵倒せずやさしく問いかける。彼の持論は「敵陣の中にも同調者はいる。敵陣の中に食い込み見方を作ること」が重要と考えている。一度しか退場をさせられていない。私の感覚では傍聴の席上、一番吠えている気がするのだが。定例会終了後に上手く声を発しているのであろうか。

 そしてNさん:いつも時間ぎりぎりになって息を切らしてやってくる。私が知らない情報を毎回持て来てくれる。傍若無人にふるまうので他の人から煙たがられる。しかし傍聴者の個人調査に対しても敏感に反応し、しつこいくらいに今も抗議をし続けている。そして実教出版の問題も抗議し続けている。今は田無高校、大島高校生徒の自衛隊宿泊訓練についてしっかりと取材し追及を続けている。頭の下がる思いだ。ちょっとうるさいのが玉に傷だが。

 最後に写真を撮るようになって感じたことを上げる。職員は本当に嫌がっている。立ちんぼう職員はただ下を向くだけだが、幹部候補生は最近ちょっと違う態度を見せるようになった。以前はなかったのだが、撮るのを妨害するようになってきた。ある女性の幹部候補生は執拗に資料でカメラを遮断しようとしてくる。またある男の幹部候補生は体が大きいのをいいことに体当たりをしてくる。彼らが言うのはプライバシーの侵害だと。とんでもない。都の職員の私生活を写真に撮っているのではない。公の仕事をしているその仕事ぶりの実態だ。職権を乱用し、「君が代」処分など出さず、まともに仕事をしていてくれていたら仕事の様子を写真公開などする必要はない。

 我々市民の権利、義務である傍聴を妨害するなど、平然と行っている都の教育職員、そういう都教委の現状を市民に知らせ考えてもらう責務が私たちにはあると思うから写真を撮る。この人たちは自分のプライバシーを主張するのに、私たち市民を隠し撮りし、市民のプライバシーを侵していることに思いを致すことがない。本当に傲慢で自分勝手な人種と言っても過言ではない。(都教委傍聴・写真記録係)

*河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会ニュースNO.53(2015年1月23日号)より転載

↓根津公子さんは毎回報告をレイバーネットに載せています
根津公子の都教委傍聴記(1/22)


Created by staff01. Last modified on 2015-01-27 16:42:54 Copyright: Default

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