ぶっとんだ!〜フィンランド映画『パンク・シンドローム』 | |
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ぶっとんだ!〜フィンランド映画『パンク・シンドローム』湯本雅典
確かに障がい者が音楽に携わり、すばらしいものを作り上げている事実があることはあるし映画もいくつか発表されている。しかし、どんなにそのことが評判になっても、家族の苦労は果てしない。僕は、障がい児が通う私塾を8年やっている中でそれを感じてきた。どこかで「障がい者はすごい」というキャンペーンを乗り越えるパンチがほしいと感じてきた。そしてこの映画も、障がい者の乗り越えたくても乗り越えられない壁を当然表現している。違うのは、彼らが「表現」したい中身が出ていることだ。彼らが「言いたいこと」が表に出ている。 フィンランドで障がい者のパンクバンドが結成された。グループ名は、「ペルッティ・クリカン・ニミバイヴァド」(ベルッティ・クリッカの名前の日)。このグループは、2009年にNPOリュフトが主催したカルチャーワークショップで結成された「知的障がい者」のパンクバンドだ。このバンドは、これまで7インチレコード5枚、カセット3本、CD1枚、LPレコード1枚をリリースしている。売れているのである。それは、映画の中で小さなコンサートだけでなく、かなりの観衆のコンサートにまで参加し、観客を「のせている」シーンからもうかがえる。そして私がぶっとんだのは、彼らの歌詞である。歌詞はすべて彼らの作詞作曲だ。一曲紹介する。 「カッツオーン」(曲:ベルッティ 詞:カリ) 全編通じて(撮影期間2年と聞いたが)、バンドのメンバーのバンドの活動と生活が無理なく流れているのである。監督の一人J−P・パッシは彼らのことをテレビで観てどうしても作りたくなったのだそうだ。私はアマチュアだが、プロでもマスコミの後追いで製作に没頭することがあるんだと感心した。しかし、その後の粘り強い取材がこの作品を作り上げたのだと思う。 そしてちょっとひっかかったのだが、フランスの爆破事件や「イスラム国」とどう違うのか。頭に来たらぶっ壊したくなる気持ちはどちらも同じだろう。しかし表現することで大衆を引き付けることを目的としているか否かが天と地だと思った。バンドのメンバーも不満をぶちまけ、バンドの中で大喧嘩を繰り返すが、結局バンド演奏で歌いきっている。すごいと思った。文化という手段で闘うことがいかに重要か。ふさいだ奴は、この映画を観るべきだ。 ・公式サイト http://punksyndrome.net/ *写真=映画のポスター Created by staff01. Last modified on 2015-01-23 09:21:25 Copyright: Default |