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昔も今も変わらぬメディアの自主規制体質

報告:秘密保護法時代に読む『大本営記者日記』

12月21日、東京・後楽園内にある涵徳亭において、草の実アカデミー「秘密保護法時代に読む『大本営記者日記』ー検証・昔も今も変わらぬマスコミ報道の構造と体質」と題する講演会が開催されました。講師はジャーナリストの上出義樹さん(写真)で、参加者はフリージャーナリストや市民メディア記者、そして新聞学を学ぶ学生など約20名。主催者の林克明さん(写真右)を含むフリーランス表現者43名が「秘密保護法違憲訴訟」を提起し、12月10日から秘密保護法が施行されるという情勢の中での集会でした。

上出さんは、第二次大戦中の翼賛報道と現代のマスメディアとの比較研究をしています。講演では、1942年に海軍詰記者が著した『大本営記者日記』を下敷きに、当時の大本営と記者たちの関係や実態などを軸に報告し、さらに現在のメディアに対しても厳しい批判を展開しました。強圧的な報道弾圧・言論弾圧に加え、排他的な記者クラブ制度を中心にした自己規制という日本のメディアの“特異体質”それじたいは、昔も今も変わっていないからです。

『大本営記者日記』」の筆者は、こう書いています。「・・・やはり超えてはならぬ線は超えたくなかった。面白いものを書く事よりも、作戦上不利なことは書かないことの方が限りなく尊い時代であることを私とても知っている。念うところは第一線で生死を超えて報道に当たっている先輩同僚と等しく、私も与えられた場所で、可能な範囲で私の本分を尽くし、この記念すべき大本営生活を忠実にえがきたいということだけである」。ところが、戦後日本の記者たちの多くも、「政策上不利なことは書かないことの方が限りなく尊い時代」と考えているようです。

結論として、次のように論点整理がされました。 愨臻椡諜者日記』は、検閲制度とメディアの「自己規制」が、言論統制を機能させる両輪であったことを示している。◆岾し海両官」を「政治家」「警察」に、「検閲」を「オフレコ」に置き換えれば、現在でも記者クラブを介し、戦時下と同じような情報源とメディアの持たれ合いや報道の「自己規制」が、日常的に行われていることが分かる。こうしたマス・メディア報道の「自己規制」は、日本の支配的階層に強く見られる談合体質やイエ社会的意識などに加え、丸山眞男が問題提起する「無責任の体系」や「近代化」の視点からも論じることができる。て本のマス・メディアは、欧米の有力メディアのように記者たちを独立したジャーナリストとして扱うのではなく、あくまでメディア企業の社員として報道に従事させている。記者たちは重要な局面では、「公共の利益」より「企業の利益」を優先させる立場に置かれる。その点で、日本新聞協会の「倫理綱領」や「編集権声明」は、「自己規制」を生みやすい日本の特異なメディア環境を「補強」する役割を果たしている。


    *会場となった涵徳亭

続く質疑応答では、市民メディアとマスメディアとの交流、新聞研究者による「倫理綱領」絶賛の意味、経営による編集権独占の両義性などが議論になりました。その後、涵徳亭の広間で、美しい庭園を眺めながら望年会。上出さんがドイツ語の歌を披露し、社会運動と文化・芸術との関係、さらに前日のレイバーフェスタの話題で盛り上がりました。物販の書籍もよく売れ、来年1月15日「秘密保護法違憲訴訟」での再会を誓って散会しました。なお、講演の詳細は後日、主催者のサイトにアップされる予定です。

【草の実アカデミー】http://kusanomi.cocolog-nifty.com/blog/
【秘密保護法違憲訴訟】http://no-secrets.cocolog-nifty.com/blog/
【田中龍作ジャーナル】http://tanakaryusaku.jp/2014/12/00010482
【集会写真】http://blogs.yahoo.co.jp/tocka_jikkoi/65423071.html

〔参加報告〕 佐藤和之(佼成学園教職員組合)


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