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わたしたちはあきらめない〜「ほしのいえ 講演とミニライブ」開かれる

真冬の到来を思わせる寒い夜。下町のコンサートホールに、美しい歌声と優しい音色が響いた。12月3日、東京荒川区のムーブ町屋で開かれた講演とミニライブ。集まった人々は、社会のあり様を問う提起に耳を傾け、静かにクリスマスソングを口ずさんだ。主催したのは「ほしのいえの集い」実行委。「ほしのいえ」は東京・山谷地域で1991年以来、野宿者への支援活動を続けている。毎週火曜日には約700個のおにぎりとみそ汁を用意し、夜回りで配る。年末恒例のこのイベントも、今回で21回目となる。

「シルベスタークワイヤー」によるトーンチャイムの演奏も、すっかりおなじみになった。トーンチャイムとはアルミ合金製のパイプを叩いて共鳴させる楽器で、やわらかく優しい音色が特徴。奏者一人が複数の単音を担当し旋律を奏でる。

主催者を代表して中村訓子シスターがあいさつ。「生活保護費は減額され続け、申請はたらい回しにされる。こんなにも命を大切にしない社会はおかしい。このままでいいのか」と怒りをあらわにし、「選挙に行ってこんな社会はいやだと意思表示をしよう」と呼びかけた。

中野晃一さん(上智大学教授)は「人の尊厳を守る政治を」という演目で講演。「人間は共同体のなかで、他者との関わりのなかでこそ、能力を発揮できる」と冒頭に語り、安倍首相や橋下徹大阪市長ら、強者が支配する今の政治を批判した。ベルリンの壁の崩壊からこんにちの新自由主義席巻まで。「どうしてこんな社会になったのか」とよく聞かれるが、それは自分自身への問いでもあるという。

「自民党と右派勢力に見られる国家主義・歴史修正主義そして規制緩和を唱えるリーダーたちは、みな靖国に参拝する」。「格差を広げ、旧来からの共同体を壊しながら煽られるナショナリズムは、人々から奪ったものを埋め合わせるイデオロギーになる」と論じた。また「裏口から壊される憲法」との表現で、「もし9条がなくなれば日本は丸腰になる」と、戦争勃発後の日本の対応にまで、深い危機感をもって言及した。

こんな動きに対して、私たちはどう巻き返していくのか。

まず運動のすそ野を広げること。そのためには独善的な態度を改め、対立する人々の尊厳をも守りながら、笑顔で粘り強く、相手を味方につけようと努力することだという。 中野さんは、過去に縛られない若者たちの新しい闘いにも、大きな期待を寄せている。先輩たちはそれを支え見守りながら、徐々にバトンタッチをしていく。

壊れた社会を立て直すために――この日のメインタイトルでもある――「私たちはあきらめない」と宣言して、講演を締めくくった。

かつて「久保田早紀」の名で「異邦人」の大ヒットを飛ばしながらも引退。現在は音楽宣教師として精力的に活動している久米小百合さんが、ステージに登場した。ピアノを弾き語り、讃美歌からオリジナルソング、そして「ふるさと」「上を向いて歩こう」「涙そうそう」など、日本の楽曲も披露した。演奏技術と歌唱力に一段と磨きをかけ、観客を魅了した。

ロビーには支援団体のブースが並び賑わっていた。格差と貧困が深刻化し、国家は戦争への道を突き進んでいく。

なぜ、いつからこのような時代風潮になったのか、と主催者は問いかける。来場者たちは改めて、いのちを結ぶ社会をめざす、その思いを共有した。(Y)


Created by staff01. Last modified on 2014-12-05 22:38:50 Copyright: Default

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