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石を投げる子どもを育ててはならない〜「俳句掲載拒否を考える市民の集い」に160人

                      報告 堀切さとみ

 乱鬼龍さんが川柳と共に「東京新聞」に掲載されるという、嬉しいニュースがある 一方で、わが地元さいたま市では三橋公民館が、同公民館の句会で選ばれた72 歳の女性の句「梅雨空に憲法守れの女性デモ」を公民館だよりに掲載すること を拒否した。掲載拒否の理由は「世論を二分するテーマであり、これが公民館 の主張だと思われると困る」というもの。 しかし、俳句が個人の作品だという のは誰がみてもわかることだ。 七月に「東京新聞」「埼玉新聞」などが報じて以来、 多くの人が三橋公民館やさいたま市教育委員会に抗議のファックスを送ったり 話しあいを求めたりしてきたが、未だ女性の俳句が掲載されることはなく、さ いたま市長もこれを支持している。 こうしたなか、9月27日、市民会館おおみやで「俳句掲載拒否を考える市民の集い」が行われ、 160人が集まった。

 はじめにさいたま市在住の教育哲学者・大田尭さん(96)がビデオレター(写真下)で登 場。「小さな公民館で起こったことだが、今の社会状況を考えるととても深 刻。公民館はすべての人が自由に学習し、成果を表現しあう学びと憩の広場だ が、 日本ではいまだに『公』が『政権』や『お上』を意味すると言う感覚が 残っている」「さいたま市の句会への介入を招いた背景には、2006年第一次安 倍内閣 の教育基本法の改正で10条を破棄したことがある」と訴えた。

 つづいて、さいたま市公民館運営審議会の安藤聡彦さんは「公民館だよりは市報 とは違う。ただお知らせを載せることにとどまってはならない、コ ミュニケー ションメディアとしての役割を果たす。これを一人一人が守らなければならな い」。どういう俳句はいけないのか、新しい基準を市が検討すると言ってきた こともあったが、それについては教育長が取り下げたことが報告された。

 ●参加者が主人公

 その後は会場からの自由発言。さいたま市だけでなく、遠方から駆けつけた人も 多く、20人ほどの人が次々とマイクを握った。 会場を使わせてもらえなかった り、名称を変えろといわれたり、後援を断られたりするといった経験談も多かっ た。どの話も思いがこもっていて、会場からは共感のかけ声や拍手があがっ た。

 三橋公民館の句会グループの女性は「多くの皆さんが自分の問題として考えて く れていることがうれしい。掲載できないと言われたときは本当にびっく りし た。理由を聞いても納得できないと抗議すると、『上と協議し検討す る』と言 われ、その結果が不掲載になった」と経緯を説明。さらに「公務員は憲法守って 仕事をするんじゃないですか?『九条壊せ』なら問題かもしれないけれど。言 論封殺というのは歴史の勉強では習ってきたが、まさか自分たちの身に起こると は思っていなかった」。

 「NHKの『花子とアン』を観ている。二度と非国民と言われた時代に戻りたく な い。掲載に基準をつくるなんてやめてもらいたい。戦前の思想弾圧と同じ だ」と高齢者が発言すると、 さいたま市職員の40代男性は「市の中にいる者と して、市長は国の方ばかり向いていると感じる。職員への人事評価が賃金に反映 されるようになり、職員は市長の機嫌をうかがうようになっている」。 別の男 性が「その昔『今は非常時、パーマネントをやめましょう』という標語があっ た。子どもはこれをみて、良かれと思ってパーマをかけた女性に石を投げた。 さいたま市の職員は、子どもと同じことをしているようだ」。定時制高校の教 師は「特定の出版社の教科書を使うなと言われ、それを選んだ八つの学校の校長 が糾弾された。学校の中だけでは限界がある。でも石を投げる子どもたちを 育てちゃいけないんだ」と力をこめた。 市内の公認会計士は「日本には政治的な話をしてはいけない風潮があるが、それ ができないなら民主主義国家ではない。スウェーデンでは小学六年生 の授業で 政党の綱領を読ませ、自分の支持する政党を選び話し合う。これが民主主義だ」 と発言。

 また都内からかけつけたわかち愛さん(写真上)は「九条にさせてはならぬ尊厳 死」の句を掲げ、戦争に反対した鶴彬のことを紹介。「表現の自由が壊されよう とするなら、私たちはもっともっと表現しましょう」と訴えた。

 「朝日新聞」が叩かれている中で、マスコミも俳句や川柳のコーナーで掲載拒否を する日がくるのでは危ぶむ声もあった。でも今回の件は当事者が声をあげ、そ れを新聞がとりあげたことによって多くの市民の知るところとなった。呼応する 市民の輪は必ず広がっていく。公民館長・市教委も、ここまで大きな問題に なるとは思っていなかっただろう。これをきっかけに考えてほしい。


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