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LNJ Logo 「過労死をなくそう!龍基金」第8回 中島富雄賞授賞式の報告
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全国一般東京東部労組の須田です。

皆さんにご参加・ご協力いただいた8/10「過労死をなくそう!龍基金」第8回
中島富雄賞授賞式の報告です。

過労死をなくすために活動している「過労死をなくそう!龍基金」は8月10日、
第8回中島富雄賞授賞式を東京・葛飾で開催し、今年6月に国会で成立した「過
労死等防止対策推進法」(過労死防止法)の制定に多くの過労死遺族とともに尽
力した森岡孝二さん(関西大学名誉教授)を今年の受賞者として表彰しました。
ワタミ過労死遺族の森豪さんと森祐子さんは「ワタミの責任否定を許さない」と
今後も闘っていく決意を表明しました。ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越え
る国際ネットワーク(のりこえねっと)共同代表の辛淑玉(しん・すご)さんに
よる記念講演「生きる権利を守る」もありました。台風の中でしたが、会場には
112人が集まり盛況でした。

授賞式の冒頭、龍基金の中島晴香代表の夫・富雄さんと前沢笑美子副代表の長男
・隆之さん(いずれもファミリーレストランすかいらーくで過労死)、そしてワ
タミで過労死した森美菜さんの遺影に対し、参加者全員で黙とうを行いました。
主催者として中島代表が「暑い夏が来るたび夫が過労死でなくなった悲しみを思
い出す。過労死はいまだなくならず、若い命が企業によって切り取られている。
そうした中で政府は残業代をつけないで長時間労働でさらに過労死を増やすよう
な法律をつくろうとしている。過労死をしなくてもいい社会を皆さんと作ってい
きたい」とあいさつ。前沢副代表も「皆さんとご一緒に過労死をなくす活動をやっ
ていきたい」と話しました。

龍基金事務局の須田光照さん(全国一般東京東部労組書記長)が、昨年12月に裁
判提訴したワタミ過労死問題の経過を報告した後、遺族の森豪さんと森祐子さん
が闘いの現状と今後の決意を述べました。豪さんは「ワタミ側と遺族側でそれぞ
れの弁護士のみで当初行っていた交渉はお金の話ばかりが先行し、何か足りない
と感じていた。そんな時に龍基金の存在を知り、会社の経営者にきちんと向き合っ
てもらい娘の労働実態を明らかにすることが重要とのアドバイスを受けて現在に
至っている。労働基準監督署が認定した事実すら否定する不誠実なワタミの対応
を許さず闘っていきたい」と話しました。祐子さんは「一部の会社のみをブラッ
ク企業と言うのは不公平でないかという意見があるが、おかしいと分かっている
企業から改善するべき。自社で過労死が出たことすら知らないで入社する労働者
の方が不公平だと思う」と、今後もワタミの責任を追及していく決意を訴えまし
た。

中島富雄賞選考委員を代表して玉木一成さん(弁護士/過労死弁護団全国連絡会
議事務局長)、平野敏夫さん(医師/東京労働安全衛生センター代表理事)が過
労死をなくす思いを語るとともに、政府が導入を検討している「残業代ゼロ法」
を批判しました。

授賞式では「過労死防止基本法制定実行委員会」委員長として過労死防止法づく
りを先頭で担ってきた森岡さんに中島代表から表彰状などが授与されました。受
賞した森岡さんは「過労死防止法はいかにして作られたか」と題して講演。「反
過労死運動の担い手は何よりも被災者の妻や母たちだった。悲嘆の涙から怒りの
涙へ、涙をこらえて闘う活動家に変わった。過労死防止法制定にはワタミ事件の
インパクトもあった。できた法律をどう過労死をなくす運動につなげていくかは
労働組合にかかっている」と叱咤激励しました。講演後には森岡さんとともに過
労死防止法制定に尽力してきた全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表と東
京過労死を考える家族の会の中原のり子代表も壇上で過労死をなくす運動を進め
ていく決意を述べました。

続いて今年の記念講演として、のりこえねっと共同代表の辛淑玉さんが登壇。今
年4月に韓国で起きたフェリー「セウォル号」沈没事故を取り上げ、大半の乗組
員が非正規労働者だったことなど新自由主義の利潤追求・効率優先の考え方が命
を軽んじていると批判。また子どもたちが大人の言うことを聞いて逃げずに亡く
なったことを「社長の言うことを聞くしかない」「お上に逆らってはいけない」
という意識が浸透していたためと指摘しました。飲食店などでアルバイトが反社
会的な行動を取る「バイトテロ」も題材にして「これ以上落ちるほどの社会も上
昇できるほどの社会もない、いじめられても誰も助けてくれないという絶望感が
背景にある」と説明しました。

現在の日本社会の問題点について、辛さんは、本当の責任者が責任を取らない、
そして美しい犠牲を求める「自己責任」の考え方が強い点をあげました。過労自
殺した労働者の遺書に会社に対して謝罪する言葉があったことに衝撃を受けたと
言います。こうした自己責任の風潮が、沖縄、女性、被差別部落、公務員、在日
外国人、障害者らを叩く「下からのレイシズム」につながっていると話しました。
他方、全国各地で吹き荒れているヘイトスピーチのデモに対しカウンターの運動
が盛り上がっていることを紹介し、「過労死に対しても抵抗者がいた、声を上げ
る人がいた。既存の労働運動と思いを持った人たちがつながることが社会を変え
る一歩になる。当事者や被害者に向き合って、自己責任にだまされず、国家や企
業の責任を取らせていきましょう」とまとめました。

※参照:ブログ「労働相談センター・スタッフ日記」
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/9b6b388758be65de76224e35d9c556a2



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