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レイバー映画祭2014の雑感〜嫌韓・嫌中どこ吹く風

                  堀切さとみ

いくつかの映画祭をみてきましたが、レイバー映画祭はますます魅力あふれるものになっていると思います。スタッフの皆さん、本当におつかれさまでした。映画はもちろんですが、ロビーでの交流や、公園での二次会(写真)など参加者や出演者、制作者が気兼ねなく一体になれる映画祭でした。

上映作品について、今回は五つの中・長編を選んだということで タイムテーブル的にぎゅうぎゅうになったという声もあるようですが、『あしたが消える』と『A2−B−C』を同時に観ることができたのは、とてもよかったと思います。

チェルノブイリと日本地図を重ね合わせ、「明日福島で事故が起きたら・・」と想定する箇所がありましたが、まさしく現実になってしまった。少なくともチェルノブイリを受けて、少なからぬ人たちは自分たちの明日を見据えていたのです。

「快適さを子どもに教えてはいけない。他者の犠牲の上にあるものだから」という母親の言葉は慧眼で、それが生かされることなく3・11を迎えてしまいました。それでも「何とかしなければならない」という思いは、福島の前と後をつらぬいている。『A2−B−C』の続きを、私たちが作っていかなければいけないと思います。

『続・メトロレディーブルース』は同一労働にもかかわらず、正規・非正規の格差の理不尽さを伝えていました。前回以上に、カメラは四人の組合員の生活に分け入っていて、一人一人があまりに等身大。「引きこもりの息子が待つ家に帰ることから逃げるために組合を頑張っているのかも」という疋田さんの本音。

最後の勤務の日、カメラを回してもらえることを喜ぶ加納さんの姿。退職するというのに花束さえもらえない契約社員Bであることのくやしさ。仲間が蘭の花を手渡す時、会場全体が拍手で湧き上がったのは感動的でした。自分の中に近しいものを感じるからか、まわりで何人もすすり泣いている人がいました。

上映後、後呂委員長が「裁判の傍聴にきてほしい。勝ち負けより、この格差差別の実態を多くの人に知ってほしい」と訴えるのが、 通り一遍のものでなく心に迫ったのは、映画の力によるものが大きいと思いました。

『貪欲の帝国』。韓国サムスンの非道性を告発した映画ですが、日本も1990年代、三菱の子会社が同じようなことをマレーシアでやっていました。半導体の部品を製造する工場で、働いていた人が白血病になったり重度の障害を持つ子どもが生まれたり。

若い女性労働者が病気になり、母親と共にサムスンの重役に相対するシーンは目が離せませんでした。経営者として、どんな言葉が出てくるのか、固唾をのんで見守りましたが、やはり何の返答もなく表情一つ変えることがない。サムスンと東電は同じであり、韓国と日本は合わせ鏡のようでした。

『60万回のトライ』のパク両監督(写真 中央の二人)も参加していて、ロビーで少しだけ話すことができました。

昨年、私が韓国・光州に行ったときは、福島原発事故に対する怒りが、日本以上に強いと感じたのですが、パク・トンザ監督は日頃は大阪にいて、今は関心が薄らいでいると言っていました。

サムスン、東電の、労働者の命を粗末にする体質や、メトロコマースのように格差を固定化するあり方など日韓に共通することは多いと私自身感じることは多く、公園二次会まで残ってくれた監督たちと、もっと意見交換できればよかったと思いました。

二次会では、初めて来たという人とも話ができました。レイバーネットTVは欠かさず観ているという人や「自分も映像をやってみたくなった」と言う人も。その後の三次会では、中国人留学生と同席になり、「日本は労働三権があるからうらやましい」と言っていました。嫌韓・嫌中など、どこ吹く風。映画を通じて交流し連帯できた、素晴らしい一日でした。


Created by staff01. Last modified on 2014-07-27 17:42:04 Copyright: Default

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