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テント1000日記念 小島力さん詩の朗読会

                    報告=笠原眞弓

今日6月6日はテント1000日の日。第2テントで、小島力氏の詩の朗読会があった。遅れてテントにつくと、正清さんの挨拶が終わり、朗読が始まっていた。テントは満員。

小島さん(写真)が読まれたのは、ご自身の詩集「わが涙滂々」の中から、1年4カ月ぶりに帰宅した時に詠んだ『草茫茫』。田畑、庭、村が荒れ果てている様子を最後に「草茫々ふるさと亡々 わが涙滂々」と表現した。(レイバーネットTV「さよならのポエム」コーナーでも朗読した詩)

いま、風化と言われているが、どこにも風化はない。人間は忘れることはあっても、風化はしない。「風化」というのは、させたい人が言っているに過ぎないと語り、いま、ブラジルでは、それこそ国民的スポーツであるW杯に反対してデモをしている。引き換え日本では、オリンピックの前にすることがあると。

「表現の自由」とは、権力に対してそれを保証しろというものではないかと語り、明治公園で行われた集会に参加した時の詩『五人のデモ隊』を読む。続けて、登山をしていた頃に山深い南八甲田の猿倉温泉で詠んだ『廃道をたどる』を読む。

小島さんは、双葉郡の奥地葛尾村に住んでいた。そこで労働運動と音楽活動を通して「憲法を守る会」の創設に加わった。運動の目的は「原発反対」だが、それをストレートに表現できない地域の事情があった。30年以上前のことである。

その運動の中で、原発労働者の聞き取りをした。原発関連で働くことで、冬の出稼ぎがなくなったり、恩恵を受けている中での労働実態を話すことに強い抵抗があったという。それを、何度も通うことで、やっと重い口を開いてくれた。その聞き取り資料は1メートル以上の高さになったと。その時の様子を詩にした『原発問答』は、密やかなユーモアもあり、力強かった。つづく『火災』(東電の事故隠しがテーマ)、『原発下請け労働者』は、現場の実態を余すところなく伝えている。

詩集に未収録のものも読まれながら、最後は『望郷』だった。

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望郷

帰りたい でも帰れない

まだ帰れない ふるさとの大地に

音もなく降り積もるものは

人目には決してみえない物質だから

集団で避難先に運ばれた人々も

襲いかかった魔物の正体を

まだ誰も突き止めてはいない

(中略)

理不尽に降りかかっる放射能が

双葉地方の住民から奪い去ったものは

生まれ育ったふるさと

我が家とわが土地だから

いとも無造作に放逐された人々は

異郷の空の下で

あてもなくさすらい続けるのだ

だからこそ帰りたい

帰れないふるさとへ

帰れなくとも 帰りたい

目に見えぬ穢に侵された土地でも

我が家と田畑が そこにある限り

帰りたい いつか必ず帰ると

決意するしかないのだ

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朗読のあと、お連れ合いのヤス子さんの話があった。原発の被害が起きないうちに、その危険を書く人は珍しい。力氏の詩を評価する評論家の話を聞いて、お父さんはすごかったんだなぁと思った。今は、狭い部屋(避難先の)で顔を付き合わせているなど、ユーモアたっぷりに話された。

その後、お嬢さんの坂口美日(みか)さんと、そのお仲間で、小島さんの作詞作曲の歌を中心に歌われた。彼女たちは、毎週欠かさず経産省前行動に参加して歌っている「日本音楽協議会・反原発うたいたい」の方たちである。

参加者の感想なども話されて、散会した。今日は大雨で、官邸前行動は中止だという。雨のテントはひっそりと、力強く、霞ヶ関二丁目の交差点に建っていた。


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