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「一生かけて償う」はずの渡邉美樹氏出廷せず〜「ワタミ過労死裁判」第1回口頭弁論

「美菜の思いをどれだけ・・」と言い始めた森豪さんは絶句。しばらく下を向いて必死にこらえる。そして途切れ途切れに言葉を継いだ。「一人で死んでいった娘の気持ちを思うと、どれだけのことが言えたか心元ない。でも、現在思い浮かぶことだけは、法廷で述べさせていただいた」(写真/報告集会)。2月17日午後、入社後2ヶ月余で「過労自殺」に追い込まれた森美奈さんの「ワタミ過労死裁判」第1回弁論が、東京地裁(竹田光弘裁判長)で開かれた。被害者両親・森豪さんと祐子さんが冒頭陳述を行い、娘を死に追いやったワタミの凄まじい職場実態を告発した。被告の渡邉美樹氏の出廷が注目されたが、被告席は代理弁護人3人だけ。渡邉氏は「悔いている。一生かけて償う」と2月4日の自民党部会で発言する一方、この日は大阪の就職セミナーに出席していた。その口先だけの無責任ぶりに、報告集会では怒りの声が上がった。

2人の冒頭陳述はそれぞれ7分ほどの短いものだったが、そこにワタミが娘に強制した長時間・過重労働の実態が詰め込まれていた。和民京急久里浜駅前店に勤務していた美菜さん。休日もボランティアという名で強制的に駆り出され、睡眠をとることができなかった。父の豪さん(写真上)がもっとも許せないこととして挙げたのは、仕事が午前3時に終わっても電車に乗らないと帰ることができない社宅を、会社が娘にあてがったことだった。美菜さんは、午前3時から始発の5時すぎまで仮眠室もないお店で、疲れたまま拘束されていたのである。そして豪さんは、「私たちが知りたいのは、なぜ娘がたった2ヶ月で死ななくてはならなかったかということ。実態を明らかにしなければ金銭の話はできない」と述べ、今回の損害賠償裁判で、被告・ワタミ側が真相を明らかにすることを強く迫った。

母親の祐子さん(写真上)は、「入社以前に抱いたイメージとまったく違う会社の実態に疑問を抱き、夢を裏切られた絶望的な状態で死んでいった娘の魂が安らぐことを願っている。娘の魂を安らかにする判決をお願いしたい」と陳述を結んだ。二人の冒頭陳述は、40人をこえる満員の傍聴人の心を打った。

報告集会で、東京東部労組の須田光照書記長は、今回の裁判の特徴は、会社だけでなく渡邉美樹など当時の役員の個人責任を追及していること、懲罰的賠償として通常より高額の賠償(1億6千万円)を請求していることを挙げた。

渡邉美樹氏は、反省の弁を口先では述べているものの、第1回裁判で被告側から出された答弁書では、長時間・過重労働など重要な事実はすべて否認している。まっこうから争うつもりだ。「カネは払うが責任は認めない」、ブラック企業ワタミとの本格的たたかいは、これから始まる。次回の裁判は、3月27日(木)午後1時30分、東京地裁705号法廷。(M)

動画(報告集会・森夫妻の訴え 7分)

↓報告集会には当該の東京東部労組をはじめ、大阪・三重・福岡・大分の個人加盟ユニオン、首都圏青年ユニオン、NPO法人ポッセなど約70人が参加した。メディアの参加も多かった。


Created by staff01. Last modified on 2014-02-18 08:44:54 Copyright: Default

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