〔レイバーネット国際部発〕
先日お伝えしたホンダの100%子会社、本田汽車零部件製造有限公司(南海本田)での待遇改善をめぐる争議について、香港の労働NGOによる論評を紹介します。組合員の声を反映した労働組合活動の困難さを垣間見ることができます。
南海本田労組のこの2年間のより詳しいレポートが英語ですが公開されています。記事の最後にリンクが張られています。
地元の中国メディアでも今回の争議の詳しい報道があります。
http://nandu.oeeee.com/nis/201303/20/26237.html?bsh_bid=207169948
資料的にはこちらのほうが充実はしているかと思います。
最近出版された『中国絶望工場の若者たち 「ポスト女工哀史」世代の夢と現実』(福島香織/PHP出版)でも2010年のホンダストについての記述があります。
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再びストライキをうった本田労組
再編された労組の問題点
Mon, 03/25/2013 - 06:46 ― LabourWorld
原文 http://worldlabour.org/chi/node/562
3月18日、またもや南海本田〔本田汽車零部件製造有限公司〕でストライキが発生したというニュースが伝わってきた。今回のストライキの原因は、会社の提示した賃上げ案に組合が同意したことにある。末端の1級から最上級の5級の労働者の賃上げ率は、1級10.2%(220元)、2級12.3%(330元)、3級19.8%(760元)、4級19.8%(1030元)、5級18%(1550元)である。労働者によると、この案では上級職だけが有利で、下級職には不公平だという。そうして、組立科の労働者は業務を停止し、その結果、工場の操業全体が停止した。再度、ホンダ労働者がストライキを行ったのである。
管理者が組立科の労働者と話し合いにやってきて、会社と組合とが一緒になって組立科の労働者の意見を聞きたいといってきた。その席で管理者は南海本田の賃金は付近の工場よりも高いと言ったが、労働者たちはより公平な賃上げ案、そして賃金水準を隣の一汽大衆〔中国第一汽車とフォルクスワーゲンの合弁企業〕の賃金水準(7月の生産開始時点で一般工は3500元程度)に引き上げることを要求し続けた。
会社側は最終的に次の案を提起した。1級工は14.4%(310元)、2級工は16%(430元)の賃上げ率とし、それぞれ50元の住居手当を支給し、その他の級は当初通りとするものである。労働者はこの案を受け入れることを決めて、ストライキはすぐに解除された。
今回のストライキは、組合の影響力がそれほど強くはないこと、現場労働者との意思疎通が不足していること、そして労働者が権利を守るためには組合を乗り越えてストライキを打たなければならなかったことを示している。
2010年のストライキ以降、再編された組合によって賃金交渉が三回行われた。以下は各年の交渉結果である。
2010年6月のストライキのあと、南海本田の本工は実質500元/月、33.1%の賃上げ
2011年3月、交渉で611元、30.4%の賃上げ
2012年4月、交渉で430元、16.4%の賃上げ
2013年3月18日、交渉で220元、10.6%の賃上げ
2013年3月18日のストライキで、1級工の賃上げ360元(50元の住宅手当含む)、14.4%の賃上げ
ここから分かるように、基本的には賃金交渉は続けられてきたが、組合側の訴えの力は限定的で、会社側が優位に立っていたようである。四回の賃上げ交渉をみると、賃上げ幅は年々下がっており、今年の交渉では労働者が納得しなかったことから、組合を乗り越えてストライキを打つことで、納得のいく賃上げを勝ち取ったといえる。
今回の交渉に当たる組合側の姿勢について、組合の態度は会社側と同じ立場であるという労働者もいる。ストライキの際にも組合が分会長に対して「安定を維持せよ」と指導しながら、労働者の要求を会社側に伝えなかったという。
南海本田労組が労働者を代表することができないのは、組合選挙が幾重にもコントロールされ、現場労働者の被選挙権が事実上剥奪されているからである。現在、南海本田労組では、最末端の分会の班長を除き、上級の役員はすべて直近上部の組合が候補者を指名することになっている。上部組織が下部組織をコントロールしている。つまり、組合が好まない人物が組合執行部に入ることを阻止すると同時に、労働者の真の声を代表する執行部を確立することができなくなってしまう。
南海本田労組は2010年に再編され、企業労組を通じた団体交渉の実施によってストライキ発生を減少させるという中華全国総工会のモデルケースとなった。しかし、上からの組合コントロールでは、労働者の要求を反映させることができず、逆に労働者の要求を押さえつけ、不満爆発の新たな火種を抱えたのである。
Rena Lau 香港全球化監察(グローバリゼーションモニター)
南海本田労組の再編については下記レポート(英語)も参照
Restructuring of the Honda Auto Parts Union in Guongdong China A 2-year Assessment of the 2010 Strike.pdf
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Last modified on 2013-03-26 11:11:04
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