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LNJ Logo 根津公子の都教委傍聴記(11.14)〜特定秘密保護法を先取りした?都教育委員会定例会
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●根津公子の都教委傍聴記 2013.11.14

特定秘密保護法を先取りした?都教育委員会定例会
  「なぜ非公開?」――「それは秘密です」のよう

教育委員会を傍聴するに当たっては当然のことながら事前に、教育委員会HPで議題を確認している。きょうの議題は報告事項2件及び、議案が3議案(84号議案:教育に関する議案に係る意見について 85号議案:東京都公立学校長の任命について 86号議案:東京都公立学校教員等の懲戒処分等について)とあり、3議案とも非公開が見込まれる旨、書かれていた。

84号議案はなぜ、非公開? 85,86号議案は個人のプライバシーに関する人事案件なので非公開であることは承知している。しかし、84号議案はどういった議案であり、なぜ非公開なのか、議案の表題からはわからない。気になりながら、傍聴に臨んだ。 傍聴受付を済ませ、待機しているところで私を含む何人かが受付業務をするS氏に、84号議案が非公開の理由の説明を求めた。S氏は「アンケートがまとまっていないので」と言い、さらに聞き質すと返事に窮した。「ならば、非公開理由の説明をするよう求めて来てほしい」と私たちは要求。S氏はいったん室外に出、戻ってきて「皆さんの要求を伝えてきました」「議会に出す議案のことだから非公開ということです」と言った。

開始時刻が来て傍聴者が入室を始めると、木村教育委員長が「静かに!」と強い声で連発するのが、傍聴者の最後尾にいた私に聞こえてきた。委員長は随分ピリピリしているものだと思いながら、私は席に着いた。定例会の冒頭、委員長は「84〜86号議案は非公開」と言った。S氏から私たちの要求は伝わっているはずなのに、非公開の理由は説明なし。

「不規則発言、退場!」と言われるのを覚悟し、おそれながら「申し訳ありませんが、非公開の理由を説明してください」と私は言った。不規則発言ではないという意味を「申し訳ありませんが」のことばで表現し、配慮したのだが、そんなことを木村委員長は斟酌しない。

人事案件以外は公開が原則の教育委員会を、教育委員たちの計算で実質、非公開にした定例会が、7月にあったばかり。実教出版「高校日本史A」「高校日本史B」を学校が選定しないよう「見解」を出すことを事前に決め、公開の定例会では「教育委員総意のもと…見解を…決定した」との結論を木村教育委員長一人が発言し、各教育委員の考えは公開させない、しなかった件だ。それと同様のことが84号議案で行われるのか、それを黙認してはならないと思い、私は発言したのだ。

 私の質問に対し、木村委員長は「静かに」を連発するだけで、説明はしない。それに怒った他の傍聴者の、少なくとも8人が説明を求め、声をあげた。すると、木村委員長は「3人は退場」と言い、その指示を待っていたかのように総務部長が傍聴者席の前にやってきて、「威力業務妨害で通報する」と言い、私たち3人は警備職員によって退場させられた。

 しばらくして、もう一人、Aさんが退場させられ、出てきた。私たちを退場させた後、総務部長は「傍聴人規則2条(7)にかかわる者には誓約書を書かせる。書かなければ傍聴をさせない。3人のうち2人はこれまでも退場させられている(ママ)。今度傍聴にきた時には、会議を妨害しないという誓約書を書かせることにしたい」と発言したのだという。それに対し、Aさんが「不当だ」と抗議したところ、Aさんも退場させられたのだという。

その後、総務部長の発言に対し竹花委員が、「『妨害しない』というのでは本人は『質問をしているだけ』と言うだろうから、それも『妨害』にあたるような文面にしてもらいたい」と言い、総務部長は「検討します」と答えたのだと、退場させられなかった傍聴者から聞いた。次回の傍聴に際し、私たちは誓約書を書かされるのだろうか。

公開の教育委員会(会議)の原則を破り、傍聴者を敵視する教育委員会の委員たち。そして、背面監視は止めたけれど、次の新たな弾圧に出ようとする担当所管(事務方)。この人たちには、傍聴者から疑問や要求が出るのは、議事運営に問題があるのかもしれないと振り返る謙虚さを持ってほしい。秘密保護法案先取りの定例会だ。

私は退場させられたので、報告事項2件については一緒に行った渡部さんの報告を以下に転載します。

定例会の中身は、二つの報告に対する質疑というものでした。一つは、「高校生書評合戦首都大会2013について」。

<目的>は、「言葉の力」再生プロジェクトの一環として、高校生の読書活動の一層の推進及び言語能力の向上を図る」。<方法>は、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県・夕張市の各自治体の予選を勝ち抜いた生徒が、書評合戦を行い、チャンプ本を決定する。というもの。すでに予選が行われ、東京都代表13名、埼玉県・千葉県・神奈川県・夕張市代表17名(計30名)が決まっており、(準決勝・決勝)は、11月23日(土)、ベルサーチ秋葉原で行われるようです。出場者と紹介する本の一覧というものが出ていましたが、係職員いわく「軽い本が多い」ということでした。

もう一つの報告は、「平成26年度教育庁所管事業予算見積もりについて」でした。以下この中で、いくつか気になったことを紹介します。
<学びの基礎を徹底する>として、
 ・小5・中2を対象に都独自の学力調査(悉皆)を実施
 ・全都立高校の第一学年で、「学力スタンダード」に基づく学力調査を実施。
 <個々の能力を最大限に伸ばす>として、
 ・科学に興味・関心の高い中学生を対象とする「東京ジュニア科学塾」を実施
 ・高校:理数フロンティア校(5校)を指定、「理数教育チャレンジ団体」(12団体)を指定
 ・都立小中高一貫教育校の設置に向けた検討
 ・国際社会で活躍する日本人の育成
  (都立高校生200人の海外留学を支援、JICAと連携し、「青年海外協力隊」の派遣前の研修を体験させるプログラム開発・実施 【新規】 <豊かな人間性を培い、規範意識を高める>として、
 ・道徳教育の推進
 ・新教科の設置・・全都立高校に、教科「奉仕」の成果を踏まえ、教科「奉仕」とキャリア教育、道徳教育を一体化した新教科を設置 【新規】
<社会の変化に対応できる力を高める>として
 ・企業等による体験型講座の実施 【新規】
<体を鍛える>として
 ・オリンピック教育の推進 【新規】
  (「オリンピック教育推進校」を全校種から300校指定し、2020年に向けてオリンピック教育を推進) 
   ・インターハイの開催(8月1日〜8月20日)
<健康・安全に生活する力を培う>として、
 ・防災関係機関と連携し、二泊三日の宿泊防災訓練を実施
<教員の資質・能力を高める>として
 ・体罰の根絶に向けた取組の推進 【新規】
 ・若手教員の育成
  (採用3年目の英語科教員(中高)200人程度を3ヶ月間海外に派遣)
<質の高い教育環境を整える>として、
 ・いじめに関する総合対策の実施
 (全校にスクールカウンセラーを配置、小5、中1及び高1の全児童・生徒を対象とする面接を実施)
<家庭の教育力向上を図る>として、
 ・学校と家庭の連携推進事業
 (小中学校に「家庭と子供の支援員」を配置(300校)
<地域・社会の教育力向上を図る>として、
 ・学校支援ボランティア推進協議会の設置促進
 ・放課後子供教室の推進
  (25年度 52区市町1170箇所⇒26年度 52区市町1187箇所)
一言で言えば、改悪教育基本法にみられる国家主義教育の東京都具体化版です。あらゆる面にわたって、児童・生徒たちが管理されつつあることがわかります。 教職員をあれだけいじめている都教委が「いじめ」対策に力を入れるなどということはあり得ません。これは「いじめ」対策ではなく、いわゆる「悪い子」を徹底的に管理するような子どもへの治安対策になるでしょう。 これは、子ども保護者の立場にたった教育ではなく、露骨に国や都の立場に立った教育と言えるでしょう。

なお、予算については略しましたが、国際教育、英語教育、若手教員育成、オリンピック教育、いじめ対策、放課後子供教室、などにかなり多くの予算が割かれています。   傍聴が終了した際、都教委に対する抗議の声が上がりました。私も、「山本太郎議員は『天皇の政治利用』として批判された。都教委は『君が代』を強制し400名以上の職員を処分している。天皇は『強制はよくない』と言った。にもかかわらず都教委は『君が代』を強制し処分している。都教委は天皇を政治利用しているのだ。」と述べました。


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