本文の先頭へ
LNJ Logo 報告 : 日本の司法は中世〜裁判ウォッチャーによる現場からの報告会
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1116hokoku
Status: published
View


裁判資料をネットで公開したら起訴された!

11月16日、東京・豊島区立勤労福祉会館において、草の実アカデミー「日本の司法は中世〜 裁判ウォッチャーによる現場からの報告〜」が開催されました。講師は細田加代子さん (裁判ウォッチャー・写真)で、講演テーマは「裁判資料をネットで公開したら起訴された!恐ろし い話」。参加者はメディア関係者、市民運動家、大学生など約30名で、活発な意見・情報 交換と今後の対策をめぐって議論しました。議論の中心は刑事訴訟法違反事件で、これ は秘密保護法の先取り的適用ともいえる事態です。細田さんによる講演要旨は、以下の 通りです。

◆最高裁の民事裁判の中で、不真面目な裁判官に抗議したYさんが、退廷を命じられ た。その際、警備員により暴力的に排除されたが、逆に公務執行妨害罪・傷害罪で訴え られた。納得のいかないYさんは、刑事裁判資料をインターネットで公開したが、この行為 も刑事訴訟法第281条の5〔目的外使用の罪〕で訴えられている。これが全国初の刑事 訴訟法違反事件で、刑訴法第281条の3〜5が焦点。現在、Yさんがツイッターで裁判の 傍聴支援を呼びかけると、それに対して検事が「消せ」と言ってきている。

◆憲法第82条〔裁判の公開〕や憲法第37条〔刑事被告人の権利〕に、刑訴法のこの条項 は、違反するのではないか。また刑訴法には、第47条(訴訟書類の非公開)と、第53条 〔訴訟記録の公開〕の規定がある。前者は、公判開廷前に関するもの。

◆刑事訴訟法違反裁判は、警備法廷ではなく一般法廷で行われているが、大勢の公安 刑事が傍聴人を監視している。被告人Yさんは、政治活動歴をもつ人ではないが筋を通 す人で、現在も果敢に闘っている。当局は弱者を狙い打ちしたつもりが、その点を見間違 えたのだろう。

◆「司法制度改革」の一環として、2004年に裁判員法が成立したが、刑訴法の281条 の5も、同じ年に追加された。裁判員制度も、非公開の公判前整理手続など、問題が多 い。そして2013年、刑事訴訟法違反が事件化され、秘密保護法案が提出されたが、こ れらは一連の流れの中にある。とりわけ、2011年の東日本原発大震災と、その2年後 に出された秘密保護法案は、1923年の関東大震災と、その2年後の治安維持法を連想 させる。また、1987年のチェルノブイリ事故の4年後にソ連邦は崩壊したが、今後の日 本に関しても危機感を抱く。

◆今年の5月以降、東京地裁・東京高裁で200件以上の裁判を傍聴してきたが、日本の 司法は危機的だ。他にも、典型的な「転び公妨」事件である山谷差別冤罪事件や、東京 拘置所内で行われていた便宜供与を内部から告発し、逆に公務執行妨害罪に問われた 事件がある。診断書もなく、不当判決が下されている。証拠にもとづかない判決は、私が 支援してきた狭山裁判から変わっていない。公判中にネイルアートいじりに没頭する国選 弁護人もいれば、居眠りしている裁判官もいる。

◆刑事訴訟法違反裁判で有罪判決が確定したら、ジャーナリストは裁判関係の報道が、 資料付きでは不可能になるということ。冤罪事件や権力犯罪の講演・シンポジウムに対し ても、大幅な制限がかかるだろう。裁判支援の市民団体や当該個人のウェブサイトにも、 資料は掲載できなくなる。違反した場合、逮捕され監獄行きもあり得る。事件を周囲に広 く伝え、可能な人は、裁判を傍聴・支援しよう。

以上が講演要旨ですが、続く質疑・応答では、「マスコミと検察は癒着している」、「ジャー ナリストは失業するので、次の職を探したい」、「不当判決を読み終えた裁判長に、『ヒラメ 判事!』と弾劾することにしている」、などの意見が出されました。終了後、細田さんを囲 んだ懇親会でも、様々な話題になりました。なお、刑事訴訟法違反事件の次回期日は、1 2月10日(火)午後4時東京地裁だそうです。

【報告】佐藤和之(佼成学園教職員組合)
http://blogs.yahoo.co.jp/tocka_jikkoi/64766444.html
【詳細】草の実アカデミー(第二言論サミット)
http://kusanomi.cocolog-nifty.com/blog/

ツイキャス録画


Created by staff01. Last modified on 2013-11-19 23:41:22 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について