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●根津公子の都教委傍聴記(2013年10月24日)

習熟度別授業や補習の強制にまったく問題を感じない教育委員たち

きょうの議題は教員等の懲戒処分4件、校長の任命1件の非公開議案と、公開議題で報告2件(1.採用前実践力指導養成講座について 2.「全国学力・学習状況調査」の結果について)のみでしたが、今回も傍聴者は13人ほどいました。

1.採用前実践力指導養成講座について

「採用前に実践的指導力を身につけさせることが喫緊の課題」だとして、一昨年は体育の講座を小学校教員及び中・高体育教員の採用候補者名簿登録者を対象に、昨年は理科の講座を小学校教員及び中・高教員理科教員の採用者名簿登録者を対象に行い、今年度は新規に道徳と学級経営、特別支援教育、保護者との信頼を築くための講座を設け、11日半、悉皆で受講させるというものでした。「受講しない者は採用しない、と思わせるような意気込みで伝えた」(人事部長)と言い、地方居住者や社会人については一部分短縮するとのことですが、「交通費は全額自己負担」とのことでした。

これに対し竹花委員から、「(受講しない者は採用しないという)それはどうかな。受講生から文句は出なかったのか」。この質問に対して人事部長は「文句は全く出なかった」と回答。「悉皆ならば、交通費支給など、法律的に問題が出るのではないか。今後検討してほしい。(受講が)強制にならないように、教員になる準備を助ける意味で都教委はやってほしい」と竹花委員。この竹花発言には頷けました。

都教委は一方で新規採用1年後に校長による評価によって3%の人を不採用(=実質の首切り)にしています。新採用教員が安心して仕事を覚える環境がない中では、子どもたちとの信頼関係を築くことも困難になってしまいます。

都教委のすべきことは、採用前実践力指導養成講座の実施ではなく、新規採用教員が若さを生かし、失敗を恐れず子どもたちと体当たりで動き楽しみ、安心して仕事を覚えられる環境をつくることだと思います。

2.「全国学力・学習状況調査」の結果について

いわゆる全国学力テストの結果についてです。今年4月に行った学力テストの東京の結果は 崗・中ともすべての教科で全国の平均正答率を上回っている」 ◆崙辰肪羈惺擦21年度と比較して上昇している」 「(△陵由は)習熟度に合わせた教材使用の学校が増えたことと、放課後を利用した学習サポートを実施している学校が増えたこと」。しかし、づ豕に比べ、学力調査上位県(秋田県)の児童・生徒は「家で、テストで間違えた問題について勉強している」割合がぐんと高い。ズ8紂一層、習熟度別指導や放課後等を活用した学習サポート(=補習)に取り組むということでした。

都指導部は上位県との学力の違いの原因を「東京の生徒がテストで間違った問題を家で復習する率の低さ」と分析し、どういうわけか“放課後の補習授業をいっそう推進する必要性がある”と強調しました。しかし昨年のデータによると(指導部発言)放課後、補習授業をしている学校の割合は 東京94%(3年前は91%)、 全国86%だそうです。補習授業をしている学校の割合はすでに全国に比べ、10%以上も東京が上回っているのです。東京が「学力向上は補習授業、習熟度別授業の充実にある」として全国に先がけて推進してきたことがよく窺えます。しかし結果は。上記と平均点が上がったこととに因果関係があるとは思えません。指導部も教育委員もこのことをどのように考えているのかと疑問に思いました。

習熟度別授業の弊害についても、委員の誰からも疑問が出されなかったことには首をかしげました。「できる」「普通」「できない」のコースに分けられての授業形態が生徒に優越感や劣等感を与え、その弊害は現場では問題にされてきたところです。「できない」コースの授業そのものが成立しない状態を私も見てきました。

子どもたちが勉強すること・わかることを楽しいと思えるようになることが大切なのであって、そのための手当てや30人学級の実現にこそ教育行政は力を注ぐべきです。

文科省がこれまでの見解を変えて学力テストの結果を学校別に公表することを検討し始めたことに関連して、都教委はどうするのかと竹花委員から質問が出されると、「区市町村教委も公表してよいと都教委は考えている」と言い、次回以降は学校別の結果公表を行うことをほのめかしました。

都の学力テストの結果が悪かった足立区では2005年のテストの際、学校間で順位を争い、点数の取れない児童・生徒に欠席を求め、また、教員が机間巡視をして誤答を指さし正解に導くことが、かなりの数の学校で組織的に行なわれました。しかもそのことが発覚したのは1年半後、保護者からの通報によるものでした。教員は沈黙してしまったということです。その反省が全くなされていない都教委の発言です。

そもそも、1964年に学力テスト(=学テ)が廃止になった主な理由が、競争の過熱・不正であったことを忘れるなと言いたいです。

◆4月11日の竹花発言「(部活動での:筆者補足)死ね、殺す、出て行け、という強い発言、…今くらいのことは精査しなくていい。こんなのは指導の範疇だ」が議事録から消えた?問題について、その後を報告します。
 24日の朝、都庁職員に配ったチラシ「都庁前通信」に書いたものです。

4月11日の定例会での竹花委員の発言の一部(注1)が議事録になかったことについて、9月12日、「都民の声を聴く」担当の教育情報課を介し、木村教育委員長、比留間教育長、総務部定例会担当者に宛てて筆者の個人名で質問書(注2)を出したところ、9月25日に「回答」らしきもの(注3)が郵送されてきたことを前回お知らせしました。その文書には、日付もどこの所管の誰が出したのかも記載がなく、封筒の差出人は総務部教育政策課となっていますが、文書との関係はわかりかねるものでした。

10月10日に教育情報課を訪ね、「日付なし、回答者・所管名なしのこの文書は『回答』たり得るのか。このようなことはこれまでになかった。今回このようになったのはなぜか」と訊くと同課の係長は、「情報課は政策課から回答を送ったと報告を受けた。団体ではなく、個人が質問をした場合はこういうことがある」と言いました。あり得ない話です。「直接訊きたいので、政策課に今日中に電話をくださるよう伝えてほしい」と同係長に頼んできましたが、電話はありませんでした。

そこで10月18日、教育情報課を介し、「回答」の制作・発送を担当した教育政策課主査と面会しました。普段、同主査は日付や回答者等を明記し文書をつくっているというにもかかわらず、この時ばかりは日付や回答所管・回答者名を省いたことに「理由はない」。上司からの指示で省いたのではないかと尋ねると、「かなり前のことなので上司と確認しないとはっきりしない」と、こちらもあり得ない回答でした。

そして、上司と確認したとして同日夜、同主査から電話を受けました。「課長から『そんなこともできていなかったのか』と厳しく注意を受けた」「10日以降電話をしなかったのは、忘れたから」というものでした。

同主査のことばをそのまま信じることはできません。全責任を同主査にかぶせている「組織」を感じます。日付も回答所管・回答者名も、問い合わせ先も書かなかったのは、都教委という組織としての回答の責任所在をうやむやにしたかったからに違いない、と思います。些細なことのようですが、都教委の無責任な体質があらわれているので、報告しました。

(注1)「体罰の実態把握(第一次報告)」の折、竹花委員が「(部活動での:筆者補足)死ね、殺す、出て行け、という強い発言、…今くらいのことは精査しなくていい。こんなのは指導の範疇だ」と発言したこと。

(注2)筆者(根津)は友人3人と傍聴し、全員がこの発言を聞いたことを示したうえで、,海糧言はあったのか否か △覆ったというならば、なぜ私たち4人に聞こえたのか H言はあったが消去、削除したならば、その理由は? との質問書。

(注3)「根津公子様 この度、平成25年9月12日付でいただきました質問書に対する回答を致します。竹花委員の発言は、東京都教育委員会ホームページに掲載されているとおりです。よろしくお願いいたします。」

24日の定例会の前に教育政策課・神山課長に面会し、日付も回答所管・担当者名もなかった理由について尋ねたところ、「ミスです。申し訳ありませんでした」ということでした。それで押し通すことを組織として決定したということでしょう。私の見解を同課長に告げて、面会を終えました。

 竹花発言は議事録から削除したとしか考えられません。


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