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〔根津公子の都教委傍聴記 2013年9月12日〕


         右=根津公子さん

教育委員の多くは体罰に甘い?

 定例会は昨日(9/12)も木村委員長の、「議事妨害があれば、退場を命じる。法的措置をと る」との宣言で始まった。

 議題には懲戒処分案件が教職員12件、都教委職員1件と記載。この件数の多さは 何なんだろうと思っていたら、今朝の東京新聞が「体罰60回、昼食抜き40キロ走 … 153教職員を処分」の見出しで報じた。

 報告事項は東京教師養成塾に「特別支援学校コース」を新設、江東地区第二養護学 校(仮称)の開港予定年度の延期(有害物資地や悪臭の発生のため)、「体罰根絶に 向けた総合的な対策について」等7件の報告がなされた。最後の「体罰根絶に向けた 総合的な対策について」を紹介する。

 大阪桜ノ宮高校で顧問教員から体罰を受け、生徒が自殺した事件を受け、都教委は 実態調査を行った。4月11日に「体罰の実態把握(第一次報告)」、5月23日に その最終報告があって、今回、部活動等のあり方検討委員会報告が示された。昨日の 処分もその結果だとのこと(東京新聞)。

 報告は、「体罰を行った教員の約60%が一時的な感情により、約40%が体罰を 指導の手段とする誤った認識により、体罰を行った」という(実態把握調査より)。 これに対し、「教員の意識改革」を最大の課題と位置づけ、どういう行為が体罰なの か、あるいは行き過ぎた指導なのかのガイドラインを示し、「暴力・暴言しない、さ せない、許さない」取り組みをあげている。「校長のマネジメントの強化」「Good Coach賞の創設」には頷くことはできないが、全体としては是認できるものであっ た。 

 さて、ガイドラインを巡って2人の委員から発言があった(竹花委員は欠席、乙武 委員はこの件では発言なし)。 内館委員:「私のところに教員から手紙が来た。教育委員会にわかってほしいことが ある。生徒の態度があまりにひどい。何かあれば、『教育委員会に言いつけてやる』 と生徒は言う。唾を吐く生徒を教員が蹴る。授業のチャイムが鳴っても教室に入らな い生徒の首根っこをつかむ。これがいけないというなら、教員はどうしどうしたらい いのか、という手紙に、私は何も言えなかった。」 山口委員:「報告書はよくまとまっていると思う。しかし、これによって教員が萎 縮してしまうのではないかと危惧する。暴言は今までの習慣なので、いっぺんにただ すのは難しい。徐々にただしていくことだろう。また、上級生、下級生という部員同 士の指導による暴言等についても今後検討してほしい。」(いずれも趣旨)

「私は何も言えなかった」「教員が萎縮してしまうのではないか」との2人の発言を 聞いて、何と甘いこと、体罰容認に通ずる意識ではないかと思った。現状是認では、 体罰根絶は不可能だ。学校教育法11条は体罰禁止を謳っているが、体罰が無くなら ない現実は、それを如実に物語る。当の教員も、体罰容認の中で教育を受け、生活し てきたのだから、根絶のためには意識して、一切の体罰・暴力をしない、させない、 許さないことに尽きる。体罰・暴力は、理を尽くしての指導放棄であることを認識す べきだ。

私は長いこと中学校教員をしてきて、体罰という暴力を受けた子どもたちが、身体が 大きくなった時に暴力を再生産する現実を目の当たりにしてきた。山口委員が言う 「部員同士の…暴言」もその一つである。 教員による体罰・暴力が一掃されたら、社会の暴力は極端に減るはずだ。さらに、力 による支配から脱却し、論議して決定する社会になると思うのだ。

なお、今日は定例会に先立ち、4月11日の竹花発言が議事録にないことについての 質問書を教育情報課に提出してきた。

「体罰の実態把握(第一次報告)」の折、竹花委員が「(部活動での:筆者補足)死 ね、殺す、出て行け、という強い発言、…今くらいのことは精査しなくていい。こん なのは指導の範疇だ」と発言したのを、傍聴していた私は聞いたのだった。あまりに 驚き、すぐにメモを取り、閉会後、一緒に傍聴した3人の友人に確かめて、3人とも 「間違いない」ということだった。この発言の最中、山口委員が大きく頷いた姿が脳 裏に焼き付いている 8月になって、この日の議事録が都教委のホームページにアップされていることに気 づき、読んだところ、この発言がない。これはいったいどういうことか。それを知り たくて、質問書を教育委員長、教育長、総務部定例会担当者宛に、1週間以内に回答 をほしい旨伝え、提出してきた。


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