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オリバー・ストーン「オバマは羊の皮をかぶった狼」
  ―化学兵器騒動の裏側

            木下昌明

 シリア攻撃をほのめかす今度のオバマの言動をみていて、『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』(NHK)の最終回で、オバマを「羊の皮をかぶった狼だ」と断じている意味がよくわかった。

 オバマが問題にしているのは、シリア政府が化学兵器を使ってシリア民衆を無差別に大規模に殺害したという――ことだ。それも国境なき医師団の現地報告によると355人の死亡とあるが、オバマはこれを無視し、1429人死亡したという。しかも、この数字の大きな開きはどんな調査によるものか明らかにしていない。

 それ以前に、化学兵器を使用したのは政府側か反体制側かも明らかになっていない。現在、国連が調査中であるが、その結果もまたずに一方的に政府側と決めつけている。しかも、その証拠も一切明らかにしていないし、明らかにしようとしない。そもそも自国の政府が自国の女性や子どもを含む民衆に向かって無差別に大量の化学兵器を使うだろうか。そんなことをして、事が発覚すれば民衆全体から総スカンを食って、政府は自壊するだけである。

 もしアメリカがシリアを爆撃するとすれば、それは他国の内戦を口実にした犯罪行為ではないか。たしかな情報はなく断定しがたいが、思うに、これはウソで固めてイラク乗っ取りを謀ったブッシュの2番煎じだといえないか。ナオミ・クラインのいう「ショック・ドクトリン」の手法の一つにみえる。

 オリバー・ストーン(写真)は『もうひとつのアメリカ史』のなかで、オバマがウォール・ストリートのゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースや軍事産業関係等々から多額の選挙資金をもらったことでその政治姿勢を大きく変質させたことを明らかにしている。 当初、オバマはイラク戦争を「愚かな戦争」と厳しく批判していた。それが大統領になるやイラクからの帰還兵の歓迎式典で手のひらを返したように、この戦争によって「イラクは安定した」。これは「正義の戦争」という演説をした。そして「9.11の犯人に正義を下した」とまで言い放ってブッシュのウソの戦争の上塗りまでした。イラクのフセインが9.11とはなんの関係もなかったことは歴史的に証明されたのに、である。

 また、イタリアのドキュメンタリー『誰も知らない基地のこと』が暴いたように、オバマはブッシュ政権を上回る軍事予算を通した。かれは「帝国」の世界支配の野望に利用された召使いに成り下がっていた。

 軍産複合体のこの「帝国」は、イラクをグローバル市場の中東での拠点にすることに成功した。ここを足がかりに、いま新たにシリアを狙い、これを踏み台にイランも射程に入れた中東全域の支配にのり出した。「化学兵器」騒動は、そのための一歩でしかない。だまされるな!

*9月3日、両国のシアターXで、映画をみて、みんなでディスカッションしようではありませんか。9/3上映会詳細


Created by staff01. Last modified on 2013-09-02 23:19:56 Copyright: Default

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