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LNJ Logo 井戸川前町長・双葉町民が赤裸々に語る〜『原発の町を追われて』上映会
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 8月19日、渋谷アップリンク・オープンファクトリーで『原発の町を追われて〜避 難民・双葉町の記録』の上映&トークイベントが開催された。 3・11福島原発の事故から埼玉県に避難した双葉町。最初の一年を記録した前作 につづき、二年目の避難生活を追った『続編』も同時上映された。

 映画に登場する双葉町の前町長や町民の参加もあり、開場前から多くの人たちが列 をつくった。入場制限で入れない人もいるほどで、多くの人たちの関心がうかがえた。

 上映後のトークでは、井戸川前町長が、町長の辞任や町民どおしの対立についての実 情を赤裸々に語った。また、福島県内外で避難生活を続ける二名の双葉町民は、映画を 上回る迫真力で、集まった人たちの心を動かした。

 事故は終わったかのような風潮に抗うように、避難民と都市部の人たちが心を通わせ る集いとなった。

↓アップリンクにて

 まず制作者の堀切さとみ(筆者)があいさつ。「一年間、多くの人たちに支えられて、さま ざまな場 所で自主上映会をしてもらってきた。初めて劇場上映まですることができて、感謝して いる。 一か月前に続編を作ったが、一年目よりさらに追い詰められた、二年目の双葉町のこと を知ってほしかった。埼玉に避難所をつくった町長が辞任に追い込まれ、町民どおしが 対立した。私自身とてもつらかったが、なぜこういうことになったのかを汲み取ってほ しい。現在進行形の問題として、双葉町がどうなっていくのか見続けたい」と語った。

↓「赤裸々に描くしかないと思った」(堀切さとみ)

 福島県内の町政懇談会で、町民が町長に怒りをぶつけるシーンに、会場の多くの人が 驚いていた。それを受けて、井戸川克隆前町長が「おこられ役の井戸川でございます」 と挨拶。

「避難生活が長期化し、一番心配したのは町民の争い。それと何より自殺を防ぎたかっ た。文句があれば何で も町長に言っていいよといってきたが、それが高じてしまった」 「新町長は強引に騎西高校を閉鎖にしようとしているが、本当に困っている人たちがい る。だって、帰るとこないんだから。この人たちを救うべきなのは事故原因者なのだが 、ものの見事に雲隠れしてしまっている」 「一番この映画を観てもらいたいのは安倍総理 ですね。あれくらい怒られてみろと。原 発輸出を言う前にこの映画を観ろと、皆さん声をあげて下さい」

↓「町政懇談会では、私より先に堀切さんがキレちゃった」(井戸川前町長)

 続いて、騎西高校で交流カフェを開いている双葉町民の鵜沼友恵さん。 「あれから何年たったんだろうという気持ち。特にお年寄りをみていると、毎日命がけ で生きている。 法律上は避難所がまだ続いているのはおかしいし、生活する環境ではない。 でも、なぜ残っている人がいるのか。先の見通しがないからだ。引っ越せと言われても 、皆不安を抱えて脅迫観念を持って出て行ってる。 今、原発事故の被害者が、福島県外でも安心して避難生活を継続できる住まいの確保を もとめる署名を集めている。ぜひ協力してほしい」

↓「一生かかっても片付かないだろう」(鵜沼友恵)

 松木清隆さんは双葉町の中でも、原発が爆発した直後、もっとも線量が高かった上羽 鳥 地区に住んでいた。

「重度ストレス障害です。どこで泣き出すかわかりません。十五万人の人々が、今も家 を追われて・・・あちこちで自殺者が出ています。365日のうち、300日、泣いてきた。 「原子力・放射線の専門家としてやってきました。もう二度と、東電で仕事はしない。 日本人の習性からいって、原子力は不可能。核と原子力に、安全ということは絶対にな い。これだけは言っておきたいと思います。 「今すぐ、着の身着のままで逃げろ!・・そういわれたら皆さんどうしますか。家族が どこにいるかわからない。ガソリンがない、食い物がない・・そういうことを体験した 時 、自分たちは日本人ではないと、つくづく思いました」

↓松木さんのトークはユーモアと迫真力に満ちていた

↓「井戸川町長もよく泣くんです」

 その後、会場から次々と出される質問にも、リアルな言葉が返された。 「福島って、もう大丈夫じゃないの?という人が多い都会で、関心をもってもらうには どうしたらいいと思うか」という質問に対し、松木さんが「現地をみてほしい」と言う と、井戸川さんが「福島に行ってはいけない」と反論。鵜沼さんは「東京の人たちも、 3・11に電車が止まって帰れなくなりましたよね。あの状態がずーっと続いているの が私たち。それを想像してみてください」と言うと、会場から思わず溜息がこぼれた。

 また、マスコミ報道について尋ねられると、松木さんは「福島県内の安全キャンペー ンを煽るのは地元紙だ。これが双葉町の分断に拍車をかけている」と力をこめた。

 三時間のイベントを終えて、参加者から「原発避難者の置かれた現実は、自分の想像 を 超えていた。トンカチで殴られた気分だったが、これからも殴られることが必要だと思 った」という声がよせられた。

 決して忘れることなく、関心を持ち続ける人が増えることを、願ってやまない。(報告=堀切さとみ)

トーク動画(YouTube)

8/23「あおぞら放送」トーク(24分から 堀切さとみ・鵜沼友恵)

映画公式サイト


Created by staff01. Last modified on 2013-08-25 00:17:37 Copyright: Default


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